京都ジョブパーク 総合就業支援拠点

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「実習」と「連携」が成功の要因(株式会社西村製作所)

株式会社西村製作所常務取締役の岡田則之様にお話いただきました。(2019年3月)

スリッター(自動切断巻取機)の設計・製作・販売・メンテナンス。従業員数約140人。うち障害者は3人で、全員が精神障害のある従業員。

西村製作所1

精神障害のある方の雇用のきっかけは

京都ジョブパークの依頼で、精神障害者の現場実習を受けたことがきっかけです。精神障害のある方の実習は初めてでしたが、「体験実習だけでも」とのことで引き受けました。

受け入れる前は職場もどう対応していいのかわからず不安でしたが、いざ受け入れてみると、「彼女は、どこに障害があるのですか?」という反応でした。最終的には、彼女の仕事ぶりが一生懸命なので、従業員の方から「採用してあげてほしい」との声があがり、採用に至りました。

最初は、清掃業務と食堂準備業務から始めたのですが、総務の新しい業務にどんどんチャレンジし、今ではPC業務や電話対応などもこなし、総務部門の戦力としてなくてはならない存在になっています。

どのような仕事を任せるか苦労されませんでしたか

会社の中には、誰でもできるがやらずにそのまま放置されがちな仕事がたくさんあります。例えば、掃除、弁当の用意、ゴミ集め、ファイリングとかですね。

そして仕事を任せる際には、仕事の能力や適性を見極めながら、段階的に範囲を広げていくようにすれば全く問題ありません。

障害者の方も、みんなもっと難しい仕事をしたいと思っているのです。ですから今後もひとりひとりをしっかり観察して個人の能力を正しく判断し、個々のレベルアップを図っていきたいと思っています。

障害の雇用管理上、どのような点に留意すべきでしょうか

精神障害の方は、もともと仕事はできるのです。ただ精神的なバランスが崩れたり、悩んだりすると疲れて休んだりするだけなのです。だからその点を注意すれば大きな戦力になるのですが、そこを誤解されている方が多いのではないかと思います。

この点を踏まえて、弊社では下記のことに留意して取り組んでいます。

  1. 指示を与えるのはひとりだけ
    障害者の方を見守る担当をひとり決めて、その担当者から仕事を渡すようにしています。複数の人が仕事を頼むと障害者の方は混乱して大きなストレスになります。
    よく、障害者の方を見守る担当者の配置は余裕がないのでできない、と言われる方もおられますが、新入社員が入れば最初は誰かが仕事を教えなければなりませんよね。それと一緒だと思います。
  2. 疲れた時は許可なしで休憩
    精神障害の方は「疲れたから休ませてください」とはなかなか言えないから、頑張ってよけい疲れてしまいます。だから疲れた時は机の上に「リフレッシュ中」という札をたてて休みを取ってもらうようにしました。すると意外に離席が減りました。いつでも休憩できるという安心感があるからかもしれません。
  3. 長く働いてもらうことを最優先
    「この会社で長く働いてもらいたい」ということを直接伝えたり、その気持ちを前面に出して接しています。そうすると「今日はちょっと調子悪いです」とか安心して話してもらえるようになりました。そして今では「明日また仕事ができると思うと、日曜日の夜が楽しみです」と言ってくれるようになり、うれしい限りです。

障害者雇用を進めてきた中で職場に変化はありましたか

職場の雰囲気はやさしくなりましたね。障害者の方は、出退社時に大きな声であいさつしますし、それに引っ張られて、みんなもしっかりあいさつするようになりました。ふつう、新入社員時代は誰でもきちんとあいさつしますが、段々おろそかになりますよね。でも彼らはずっと変わらないのです。

簡単なことですが、こういったことが職場の雰囲気を変えるのです。

西村製作所2

これから障害者雇用を進めようと考えている企業にアドバイスを

  1. まずは現場実習をやってみる
    まず実習だけでもやってみることをお薦めします。実習をやってみて、うまくいかなかった時は断ればいいのです。ところがいざ実習してみると「この人はどこに障害があるのだろう?」と感じることが多く、その仕事ぶりを観察していると「こういう仕事で貢献してもらえる」というイメージが湧いてくるのです。
    また実習を受ける障害者の方は、支援機関の方に事前に確認してもらっていますし、実習期間中には支援員がつきそってくださるので安心です。
  2. 企業・支援機関・精神科医の三者連携が重要
    8年程前に一度障害者雇用で失敗したことがありました。その時失敗の原因を考えたのですが、結局は「自社だけで頑張った」ということが大きな要因でした。つまり支援機関や精神科の先生との連携を全くしていなかったことでした。
    やはり障害者雇用を成功させていくためには、企業だけで悩まずに、支援機関と精神科医の先生の3者が連携し、進めていくことが重要です。

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京都障害者雇用企業サポートセンター

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