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トップページ府民だよりトップ2023年1月号新春対談 未来を明るく、スポーツの力で

新春対談 未来を明るく、スポーツの力で

新春対談 未来を明るく、スポーツの力で

夢やあこがれ、明日への力にあふれた京都へ

惜しまれつつも2022年シーズン限りでユニフォームを脱いだ、与謝野町出身の元プロ野球選手糸井嘉男さんをお招きし、スポーツが持つ可能性や生まれ故郷・京都への想いを語っていただきました。
※新型コロナウイルス感染症対策を万全にした状態で取材・撮影を行いました(令和4年10月20日)

元プロ野球選手

糸井 嘉男さん

1981年 与謝郡岩滝町(現・与謝野町)生まれ。宮津高校(現・宮津天橋高校)から近畿大学、2003年にドラフト自由獲得枠で北海道日本ハムファイターズに入団(04~12年)。その後オリックス・バファローズ(13~16年)、阪神タイガース(17~22年)。13年ワールド・ベースボール・クラシック日本代表。

ファンを魅了した「超人」の野球人生

西脇 まずは19年にわたる現役生活、本当にお疲れさまでした。京都府出身とあってずっと応援していましたが、引退試合でもヒットを放ち、やはり「スター選手だな」と感動いたしました。

糸井 ありがとうございます。競技者としては、やり切りました。

西脇 引退試合には地元のファンを招待されたそうですね。

糸井 ええ。小さい頃から支えてくれた方ばかりなので...。ファンの存在はすごく大きいです。引退セレモニーでは、ファンに最後のお別れをするためにグラウンドを一周しながら、この光景を目に焼き付けよFうと一人ひとりの顔を見て懸命に手を振りました。

西脇 一流の選手だからこそ、支えてくれるファンの大切さを知っているのですね。ところで、並外れた身体能力で「超人」の異名を持つ糸井さんが、野球を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

糸井 僕らの世代は、他のスポーツの選択肢があまりなくて...。野球は周りにつられて、自然な流れで始めましたね。

西脇 私らの世代もそうでした。昔は多くの子どもが野球に親しんでいましたよね。

糸井 知事も中学・高校時代は野球をされていたそうですね。ポジションはピッチャーでいらしたとか。

西脇 ええ。ピッチャーは高校2年生の秋から1年間やりました。

糸井 私もプロ野球にはピッチャーで入ったんです。成績が振るわず、およそ2年で野手への転向を言い渡されましたが。

西脇 そこから大変な努力を重ね、野手として大成された。そのようなエピソードはファンのみならず多くの人に勇気を与えるものです。これまでの功績にあらためて敬意を表します。

岩滝少年野球クラブ時代の糸井さん(ご本人提供)

岩滝少年野球クラブ時代の 糸井さん(ご本人提供)

西脇知事から糸井さんに花束を贈呈
プロ野球界の第一線でご活躍された、顕著な功績に敬意を表して、西脇知事から糸井さんに花束を贈呈

離れたからこそ分かる地元の良さ

西脇 大学に進学するまでの期間を過ごされた、地元での思い出はありますか?

糸井 わんぱく野球小僧でしたので思い出というとほぼ野球なんですが(笑)。毎年5月に行われる宮津祭の神楽(獅子舞)を小さい頃にした記憶があります。あとは、宮津燈籠流し花火大会を見たことも思い出に残っています。

西脇 食べ物に関する思い出。例えば、ご家庭でばら寿司は出てきませんでしたか?

糸井 ばら寿司はよく食べていました!何かお祝いがある日は決まって母が作ってくれて、生活に根付いていましたね。

西脇 見た目にも華やかな一品ですよね。それと丹後地方と言えば、果物や海の幸もおいしいですよね。梨、メロン、ぶどう、丹後ぐじ、とり貝、ブリ...。

糸井 果物なら、おじいちゃんがみかんを作っていました。家の畑にみかんの木が植わっていて。

西脇 いいですね。まさに「食材の宝庫・京丹後」を身近に感じられますね。

糸井 ええ。海あり山ありの豊かな自然こそが地元の良さですよね。僕は北海道、関東、いろいろな所に住みましたが、地元に帰るたびにリフレッシュできる良い所だなと思っています。

京丹後地方のみに伝わる鯖のおぼろを使った「ばら寿司」

京丹後地方のみに伝わる鯖のおぼろを使った「ばら寿司」。鯖のおぼろ以外に使用する具材や一段にするか二段にするかなどは、各家庭によって異なる

西脇 しばらくコロナ禍でストップしていましたが、糸井さんの地元は欧米の観光客にも人気があるんですよ。天橋立で有名な宮津湾は、舟屋で知られる伊根湾と共にモン・サン・ミシェル湾と姉妹湾協定を結んでいることもありますし。欧米の方は1週間から10日間、ゆったり滞在されるんです。

糸井 そんなに長期間?自然しかないのに。

西脇 いえいえ、食べ物はどれもおいしいし、絶景ビーチや美しい日本の情景がたくさんありますから。今後はコロナ収束後を見据えた観光振興に力を入れたいと考えています。

日本遺産の構成文化財の一つ、天橋立は糸井さんの地元。
日本遺産の構成文化財の一つ、天橋立は糸井さんの地元。
世界遺産登録を目指して府と丹後4市町、地元住民が連携して取り組みを展開中

スポーツを通して得られるものとは?

西脇 今回のメインテーマ、スポーツの話題に入りたいと思います。私自身、人格的な〝体幹〟や〝背骨〟のようなものは中学・高校時代の野球で培われたと思っています。そして一生の付き合いとなった仲間たちも…。糸井さんがスポーツを通して得たものは何でしょうか。

糸井 まず、スポーツって夢中になれますよね。そしてライバルと競い合う中で新たな目標が生まれ、達成に向けて努力できる。続けた努力がやがて結果に結び付く…。人とのつながりもできて、人間関係も学べます。こういった成長の過程は、特に子どもの頃は大事なのかなと思います。

夢中になって競い合うその過程が成長

西脇 目標に向かう途中には障壁もありますよね。例えば「けがでプレーができない」といった困難にぶつかった時は、どうやって克服されていましたか?

糸井 けがをすると「治るだろうか…」と不安になります。だからこそ一層強い意志を持って、復帰した時は必ず以前より成長している自分にしたいと思いながらリハビリに取り組んでいましたね。

西脇 さすがは「超人」、メンタルも強靱きょうじんですね(笑)。私も高校1年生の夏に大けがをした経験がありますが、入院中はチームメイトが毎日のようにお見舞いに来てくれて、それが支えになったことを今も覚えています。

糸井 そんな仲間ができるのも、スポーツの良い所ですね。

西脇 そう思います。ただ、育成年代におけるスポーツ活動には、現代的な少子化という課題があって、地域のスポーツ少年団や中学・高校の部活動に参加する生徒の数がかなり減っているんです。

糸井 スポーツ離れも進んでいるそうですからね。

西脇 特に団体競技の場合だと、学校単位のクラブ活動が難しい所も出てきています。それならばと、子どもたちがやりたい種目に取り組めるように地域と連携してスポーツクラブ「京のジュニアスポーツアカデミー」(仮称)を創設しようと現在、準備を進めているところです。

糸井 そういうクラブがあれば、子どもがスポーツをする機会を失わずに済みますね。

西脇 「子どもとスポーツ」という観点でいえば、糸井さんはご自身の名を冠した少年野球大会を地元で開催されていますね。

糸井 僕が子どもの頃は、プロ野球選手を間近に見るなんて経験はできませんでしたし、そんなことは夢のような話でした。それを今、僕にできるのであればと思い「糸井嘉男杯争奪戦」と銘打った大会を作っていただきました。

西脇 糸井さんを目の前にしたら、子どもたちはさぞかし興奮するでしょうね。

糸井 子どもたちのキラキラした顔を見ていたら、昔を思い出します。逆に力をもらえますよ。

並んで写真撮影をする知事と糸井さん

「みる」スポーツ「支える」スポーツ

西脇 スポーツは「する」だけではなく、「みる」、それからボランティアなどの「支える」という関わり方があります。糸井さんは、甲子園球場で真弓明信さんのホームランをまさに「みる」ことで、プロ野球選手になりたいと思われたそうですね。

糸井 小学生の時に父親に初めて連れて行ってもらった甲子園で見た豪快なアーチ...。あれは本当に興奮しましたね。

西脇 亀岡市に府内唯一の球技専用複合型スタジアム「サンガスタジアム by KYOCERA」が2020年1月に完成しましたが、行かれたことはありますか?

糸井 まだなので行ってみたいです。亀岡市にできたことは知っていますよ。

西脇 亀岡駅前にあって、京都駅からJR山陰本線(嵯峨野線)の快速に乗れば約20分で亀岡駅に着くので、京都駅からだと30分以内でスタジアムに入れます。観客席とピッチまでの距離は近くて最短で7.5m。高低差は1.2mしかないので選手の息づかいも聞こえるほどです。

糸井 それは迫力たっぷりの観戦を楽しめそうですね。競技者を終えた今、これからいろんなスポーツを「みる」側になって、興奮したいなと思っていますので、行ってみたいと思います。

サンガスタジアム by KYOCERA

サンガスタジアム by KYOCERA。京都サンガF.C.のホームスタジアムで、国際試合も開催可能な府内唯一の専用球技場

西脇 次に「支える」スポーツですが、糸井さんは日本車いすスポーツ振興協会を支援する活動をされていますね。

糸井 皆さん車いすソフトボールという競技をご存じでしょうか。僕も車いすに乗って体験させてもらったのですが、とても難しくて奥が深いんです。

西脇 糸井さんでも難しいですか。

糸井 選手の皆さんはひとこぎが速くて。そのスピード感の中でみんな笑顔でボールを追いかけるんです。知事も一度体験してみてください。

西脇 ええ。ぜひとも。障害を持つ人も持たない人も、同じ目線で楽しめるパラスポーツの普及のためには、糸井さんのような「支える方」がもっとたくさん必要です。誰もがスポーツに親しめる環境づくりに、今後もしっかりと取り組んでいきます。

車椅子ソフトボールチーム「関西アンバランス」と交流する糸井さん(東大阪市提供)
車椅子ソフトボールチーム「関西アンバランス」と交流する糸井さん(東大阪市提供)

スポーツの力を京都の未来に活かす

西脇 2023年3月に文化庁が東京から京都へ全面的移転されます。中央省庁の地方移転は明治以来初めての試みです。スポーツ基本法にもスポーツを通じて健康で文化的な生活を営むことを目指すとされています。文化庁移転を機に、スポーツ振興にもあらためて力を入れてまいります。

糸井 2023年は僕にとっても大きな節目の年になります。今まで野球しかしてこなかった僕が、一人の社会人として新たなスタートを切る年です。やはり何かにチャレンジしたいですね。野球と同じようなモチベーションでできるかな、という不安はありますが...。まあ、もうそこまで自分を追い込まなくてもいいのか(笑)。

西脇 始めてしまうとすべて真剣にやってしまうタイプなんですね。では本日のお話の結びに、次のステージに向かう糸井さんから、府民の皆さんへのメッセージを頂けますか。

糸井 恩返しではないですが、今後は地元や京都にもっと関わっていきたいと思いますし、活気あふれるまちづくりに僕の力が役立てばいいなと思っています。

誰もがスポーツに親しめる環境を作っていく

西脇 これまでも社会的な貢献をされていますが、ぜひ、京都や地元のために関わっていただけるとありがたいです。今後の超人伝説第2章に期待しています。本日はありがとうございました。

糸井嘉男さんに聞く5つの質問

Q.座右の銘は?
A.超人、向上心、日々鍛錬
Q.子どもの頃の夢は?
A.プロ野球選手
Q.府内でお気に入りの場所は?
A.故郷である天橋立
Q.ストレス解消にはコレ。
A.ドライブ、睡眠
Q.好きな食べ物は?
A.肉類(タンパク質)
これからも「超人」であり続けるという意志が込められた糸井さんの直筆サイン

これからも「超人」であり続けるという意志が込められた糸井さんの直筆サイン

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