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植物園よもやま話(2022年)

いずれ菖蒲か杜若(令和4年6月3日)

「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」この言葉は、優劣がつけられない、区別がつきにくいことのたとえとして使われることがあります。

これに花菖蒲(ハナショウブ)が加わるとさらにわからなくなります。ハナショウブはノハナショウブを改良して江戸時代に多くの園芸品種がつくられました。

ハナショウブの写真 ハナショウブ(アヤメ科:はなしょうぶ園)

名前と漢字で混乱するものに、端午の節句に菖蒲湯で使われるショウブ(ショウブ科、以前はサトイモ科)があります。古くはアヤメグサやアヤメと呼ばれていて漢字名は菖蒲になります。葉はハナショウブと同じく中央の葉脈が目立ちますが、ショウブの葉は艶 やかで香りがあります。

ショウブの写真ショウブ(ショウブ科:植物生態園)

中国名、日本での漢字名と種の和名については、多くの植物において、このような混乱がみられますが、長い歴史と文化の中で、そのまま慣用的に使われていることはよくあることです。

美しい花にはトゲがある?(令和4年5月20日)

「美しい花にはトゲがある」という慣用句は、バラの花を引き合いに、(実態は別として)人に対しての心得を示したものとして使われることがあります。

バラの原種である野生のバラの仲間は、日当たりの良い明るい場所を好みますが、これらパイオニア植物(先駆植物)と呼ばれる植物には茎や葉に痛いトゲをもつもの、早く成長するもの、毒性があるものなど、様々な手段で獣などの食害から自らを防衛しているものが多く見られます。

他の植物を探してみても、トゲのあるものがすべて美しいとは限りませんし、美しさについても、見る側によって様々なものがあり、決して定義のあるものではありません。

バラの写真 バラのトゲの写真バラのトゲ

タラノキの葉の写真 タラノキの写真タラノキのトゲ

ヒイラギの葉の写真 ヒイラギの丸い葉の写真

ヒイラギの葉は上部にいくとトゲ(鋸歯)が少なくなり、丸くなる

ジャケツイバラの写真ジャケツイバラ(マメ科)のトゲ

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