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第一工業製薬株式会社(京都企業紹介)

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画面を見やすく、環境にも配慮した液晶パネルのフィルム素材開発

(掲載日:令和4年12月2日 聞き手・文:ものづくり振興課 矢島、藤田)

 第一工業製薬株式会社本社

第一工業製薬株式会社(外部リンク)(京都市南区)の研究本部 研究カンパニー部 電子情報材料グループ 石川佳世様にお話をお伺いしました。

約10年間の試行錯誤を経て完成した液晶パネル用のフィルム素材

―令和3年度に、「エネルギー線硬化型樹脂組成物」で京都府発明等功労者表彰を受けられました。受賞された発明内容について教えていただけますか。

石川)今回受賞した発明は、レンズ等のコーティング材として使用される硬化型樹脂に関する発明です。
 ダイオキシンの発生や電子部材の錆の原因となるハロゲン原子や硫黄原子を含有せず、紫外線や電子線で硬化するコーティング材料を考案しました。
 テレビをはじめ、スマホやタブレットなどの反射防止フィルムとして使用されており、市場でも高い評価を得ています。

 

エネルギー線硬化型樹脂
エネルギー線硬化型樹脂
 

―このテーマに着目したきっかけは何ですか。

石川)私が2000年に当時の部署に配属されたときは、臭素系の高屈折材料が主流だったのですが、2001年頃から世の中はノンハロゲンが環境トレンドになっていて、実際、営業を通してお客様からの声も聞いていました。そこで、当社の強みでもあるノンハロゲンの技術を生かした高屈折材料の開発に着手することになりました。

 

―なぜ高屈折材料が必要なのですか?

石川)液晶テレビの薄型化を実現するために、フィルム素材の厚みを薄くする必要がありました。また、当時のテレビは斜め方向から見た時に、視聴者側の光が反射して、テレビの映像が見えませんでした。これらの課題を解決するために、高屈折材料が要求されていました。

 

―今回のアイデアはどうやって思いつかれたのですか。

石川)ノンハロゲンの分子構造で高屈折率を達成するにあたって、ベンゼン骨格が屈折率を上げるという知見をもとに、上司や先輩からの助言も参考にして、ベンゼン骨格の成分をベースに取り組みました。
 また、材料の低硬化収縮が求められますが、これについては、重合が起こる二重結合の濃度を下げると硬化収縮が抑えられるという知見をもとに、二重結合濃度を下げるよう成分の組み合わせを検討しました。

 

―低硬化収縮とは?

石川)低硬化収縮とは、樹脂が硬化した時に起こる体積収縮を小さくすることです。樹脂を塗布・硬化したフィルムでは、樹脂の硬化収縮が大きいとフィルムのカール性も大きくなって、フィルム成形でひび割れ等の原因となります。そのためフィルム成形において、硬化収縮の小さい樹脂が求められます。

発明特許材料_カール性写真
硬化収縮が大きいと一番右側の材料のように大きなカールが発生する。

 

―アイデアを実現し、製品化するまでに苦労された点を教えてください。

石川)開発期間は2、3年だったと思います。2002年から開発を始め、2004年に特許を出願しました。
 当時は計算科学を活用して材料開発を行うMI(マテリアルズ・インフォマティクス)が無い時代だったので、ひたすら合成、配合、評価を繰り返し、データ採取の手間と時間を要した点に苦労しました。
 素材を開発した後も、液晶テレビ画面のフィルムとして製品化するまでには9年ぐらいかかったと思います。

 

―改めて考案者としてのアピールポイントは?

石川)やはり、ハロゲンを含まず、高屈折かつ低硬化収縮の両方の性能を持った材料であるという点です。実際に液晶テレビやPC、タブレットなどの普及が拡大しつつあった当時、両方の性能を持ったものはなくかなり需要の高い材料でしたので、市場シェアを獲得し、会社の成長に寄与しました。

栄養士から化学の道へ

―続いては、石川様についてお聞かせいただきたいのですが、今の道を目指そうと思ったきっかけは何ですか。

石川)元々は、栄養士の道に進もうと思っていたのですが、大学在学中、理系分野の授業や実験に触れてみて、化学への興味が俄然高まり、化学メーカーの研究職に就職しました。

 

―研究職は男性の割合が多いイメージがありますが、貴社の男女比率はどれくらいですか。

石川)会社全体における女性研究者の割合は約5%で、研究部門における、女性研究者の割合は約22%です。確かに男性の多い職場ですが、そのことに関しては特に抵抗はありませんでした。

 

―研究を続けるに当たって、会社のサポート体制はいかがでしたか。

石川)私自身、仕事をしながら子育てを経験しましたが、会社の産休・育休制度を利用して、復帰してからも休みやすい環境でした。まわりの理解が得られやすかったのも良かったと思います。
 子育て支援制度として、当時は子供が1歳になるまで時短勤務を行うことができました。現在は、最長で小学1年生の6月まで延長可能となっています。最近では、男性の育休制度利用者も増えています。

 

―貴社として女性活躍を推進する取組は進めておられますか。

石川)当社では育児や介護などの両立支援の充実に加え、2019年度から在宅勤務制度、 2020年度からはフレックスタイム制度の導入、各種医療費の補助などワークライフバランスの実現にむけて積極的に取り組んでいます。
 製造現場では、環境整備の一環として力が必要な作業である原料の投入作業や運搬作業が容易にできるよう、油圧式の昇降機を導入しました。これにより、女性だけでなく誰にとっても作業がしやすくなりました。
 その他のインフラ整備を整え、2019年度より製造現場で女性の新卒高専生の採用を開始しました。

今後の目標と未来の女性研究者へ

―普段のお仕事や生活の中でのモットーなどあれば教えてください。また、今後の目標をお聞かせください。

石川)モットーは「継続は力なり」、長く続けていれば、たくさんの経験を積むことになり、その経験がいつか生かせることもあります。こつこつ継続して研究に取り組むことが大事だと思っています。
 現在は分析、評価の業務に携わっていて、分析・評価結果を開発にフィードバックすることで、バックアップを行なっています。当社が社会に貢献できるような材料を生み出せるよう、これまで培ってきた経験や知識を生かしフォローしていきたいです。

 

―未来の女性研究者にエールお願いします。

石川)当社ではワークライフバランスに対するサポート体制もあり、育休が明けてからもほとんどの人が就業を継続しています。育児をしながら働くことは大変なことも多いですが、経験者の声からサポート体制がさらに充実し働きやすい環境になっていくことと思います。長く研究職を続けられる環境のもと、活躍されることを期待します。

 

石川様

 

「継続は力なり」、地道な努力の積み重ねで「液晶パネル用のフィルム素材」という大きな花を開花させた石川様!今後さらなるご活躍を期待しています。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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