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イーコット株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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大型・長尺のアルミ型材加工に特化し、お客様の要望にスピード対応!

(掲載日:令和3年3月30日、文:ものづくり振興課 宮﨑)

イーコット株式会社(外部リンク) 取締役生産本部長 田邊 剛一 様 にお話を伺いました。

時代の潮流に合わせて伸銅品問屋から非鉄金属問屋+アルミ型材加工へ事業転換

まずは事業概要を教えて下さい。

田邊)弊社は1948年(昭和23年)に私の祖父が創業しました。創業当初は伸銅品の販売業者として事業を行っておりましたが、伸銅品の需要減少に伴い、現在は本社で非鉄金属の問屋業(卸売業)を、生産本部でアルミ型材加工・販売を手掛けており、生産本部では事務机や間仕切りなどのオフィス家具の部材や鉄道車両部品の製造を主に手がけています。

御社の社名であるイーコットとはどういった意味なのでしょうか。

田邊)イーコット(Ecott)の由来は、弊社の成長に必要と感じていた「Economy(経済性)」「Ecology(環境性)」「Time&Tide(将来性)」の頭文字を並べて作った造語で、現社長の就任時に「イーコット株式会社」へ社名を変更しました。

社名を変更されたきっかけは何だったのでしょうか。

田邊)創業者が京都の老舗企業である三谷伸銅株式会社の代表者の親族であったことから、1951年(昭和26年)に個人事業主から法人化した後は、「三谷金属株式会社」でしたが、現社長が社長に就任するに当り、新たな取引先の開拓や販売先を考え社名を変更する事となりました。社名を変更したことで、展示会や営業先との打ち合わせで「イーコットってどういった意味なの?」と社名への疑問から弊社に興味を持ってもらえるケースが徐々に増え、販路拡大にも繋がっています。

京都ビジネス交流フェアでできた「縁」から、鉄道車両部品製造へ事業を拡大

先ほど鉄道車両部品製造も手掛けておられると伺いましたが、創業当初から手掛けておられたのでしょうか。

田邊)いえ、私が入社するまでは、生産本部ではオフィス家具の部材が主な製品であり、売上のほとんどを一社の大手オフィス家具メーカーに依存していました。

そうなのですね。鉄道車両部品の製造に取り組んだきっかけは何だったのでしょうか。

田邊)京都産業21の京都ビジネス交流フェアへの参加がきっかけです。弊社では7年前に私が入社した後に、生産性の向上を目指して国の補助金も活用しながら6mのアルミ型材の切削加工が可能な長尺NC加工機等の設備投資を積極的に行ってきました。オフィス家具の部材は最長でも3m程度なので、この長尺NC加工機を使えば左右の部材を2本同時に加工できます。

そこで、長尺アルミ型材の加工が強みであることを2015年の京都ビジネス交流フェアでPRしたところ、偶然大阪の鉄道車両メーカーの社員様の目に止まりました。その会社ではそれまで鉄道車両アルミ型材部品の製造は自社生産が多かったのですが、人手不足等の影響とアルミ車体の鉄道生産の増加に伴い、アルミ型材加工品を委託できる外注先を探しておられました。こうした京都ビジネス交流フェアでの「縁」で、弊社をその鉄道車両メーカーのご担当者にご紹介いただき、受注に繋がりました。

その後、長尺NC加工機をもう3台導入するなど、更なる設備投資で生産能力をより向上させ、取引先からの急な増産依頼にも迅速に対応してきました。その結果、弊社の評判が口コミで広がり、現在では複数の鉄道車両メーカーから受注をいただくようになり、地下鉄や新幹線、特急列車等、様々な車両で弊社の製品が使用されています。

 

 

【現在同社が保有する5~6m長尺NC加工機(4台)】

従業員のモチベーションアップ・人材育成にも繋がったペダル式消毒スタンド「ふんでる」の開発

いいですね。需要に合わせた適切な設備投資で成長を遂げられた御社ですが、新たに新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)対策商品として、ペダル式消毒スタンド「ふんでる」を開発されましたが、開発の経緯をお聞かせください。

田邊)コロナ禍の影響でリモートワークの普及が加速し、オフィス家具の需要減少や取引先の休業等により、弊社では営業活動そのものが難しい状況が続いていました。

 そのような中、コロナ禍の今こそ、社会に貢献できる商品を開発・販売し、社員のモチベーションアップに繋げようと考えたことが、「ふんでる」開発のきっかけです。

コロナ禍の今こそですか!

田邊)まさに今だと思いました。また、モチベーションアップの他に、社員の技能向上と多能工化を図るという目的もありました。弊社では、これまで切削加工やプレス加工といったそれぞれの加工毎に専属の従業員を割り当てていましたが、「ふんでる」の生産時には、切削加工担当者のOJTのもと、プレス加工担当者に切削加工も経験してもらうなど、各々の担当者が普段行っている加工とは異なることを経験してもらい、人材育成にも繋げました。

「世の中にいいことイーコット」 SDGsの考えを取り込んだ商品開発

素晴らしいお取組ですね。「ふんでる」はどのような特徴をもつ消毒スタンドなのでしょうか。

田邊)「ふんでる」は、コロナ禍で弊社ができる「世の中にいいこと」とは何かという考えから開発された商品であり、SDGsの”2030年までに達成すべき17の目標”のうち、"すべての人に健康と福祉を”、”働きがいも経済成長も”、”つくる責任つかう責任”の3つの考え方を取り入れた商品です。ネジ等の一部の部品を除き、製品のほとんどがアルミでできているので、耐久性とリサイクル性に優れています。

 

※「ふんでる」:チャレンジ・バイ(京都府新商品・サービス販売促進支援制度)認定を取得

いいですね!

田邊)先に述べたとおり本商品は自社の社員のモチベーションアップと技能向上を図りながら生産しており、売上の一部を日本赤十字社に寄付しています。また、コロナが終息し、「ふんでる」が不要になった際は、弊社が無料で回収し、アルミ材へリサイクルする旨ご購入いただいた皆様にお伝えしています。「ふんでる」は製品のほとんどがアルミ製であるため、100%に近いリサイクル率で材料としての再利用が可能です。

最後に今後の展望をお聞かせください。

田邊)コロナの影響でオフィス家具の部材の売上が減っており、鉄道車両部品の注文も鉄道会社の業績悪化が続けば減っていく可能性があります。

 現在、自社商品として一般住宅向けの商品も開発中であり、現在のBtoBに加えて、BtoC事業にも進出しようと考えています。

 

逆境の中でも新事業を次々考案される、株式会社イーコットの今後の活躍に注目です!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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