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株式会社ゼネラルエージェンシー(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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世界初!AdBlue®供給ソリューションシステム

(令和3年11月24日、ものづくり振興課 鴨井、丸岡)

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令和2年度中小企業共同型ものづくり支援事業に採択されました株式会社ゼネラルエージェンシー(宇治市)の竹内亮代表取締役、大津正己氏にお話をお伺いしました。

人々の生活に欠かせないAdBlue®供給

まず、AdBlue®とはどういったものか教えてください。

竹内)AdBlue®はドイツ自動車工業会の登録商標で、次世代ディーゼルエンジンに必要不可欠な排気ガス中の窒素酸化物(NOx)洗浄技術の一つである尿素SCRシステム専用の高品位尿素水のことです。尿素SCRシステムはディーゼルエンジンを積んだ大型トラックやバスなどに多く採用され、普及が拡大していますが、NOx浄化のためには可燃性のアンモニアが必要となります。そこで、尿素水として常温で安全に車載できるAdBlue®が採用されるようになりました。

AdBlue®はどの程度、利用されているものなのですか?

竹内)車種や走行状況によって異なりますが、約1,000kmでAdBlue®を約1リットル消費しますので、定期的な補充が不可欠です。日本における市場規模は約2.1億リットル/年で、その需要は年々増加しています。物流に欠かすことのできないトラック輸送等の事業所では、AdBlue®保管用のタンクを保有しておりますので、給水用トラックで現場までAdBlue®を運び込み、客先で充填(給水)作業を行うのが我々の仕事です。

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まさにインフラを支えるお仕事ということですね!

竹内)こういった状況の中、今までの受注・供給形態は四方八方に点在する顧客の車庫や事務所から五月雨式に発注される納品(給水)依頼に対応する必要があり、非効率で高コストな事業構造になっていました。また、AdBlue®も製造工場から自社の大型車両で引取後、自社保管場所で一時ストックしていたことから、輸送・保管コストが嵩んでいました。

そこで、新しい供給システムを考案されたのですね。

世界初の供給システム

AdBlue®供給の新システムについて教えてください。

大津)この業界構造を改革するため、IoTと移動式AdBlue®製造装置を活用した、世界初のAdBlue®供給ソリューションシステムを構築いたしました。消費地に近い場所でAdBlue®を製造・ストックし、顧客のAdBlue®タンク残量をセンシングすることで、計画的にエンドユーザーへの給水を実現します。

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タンク残量のセンシングですか。

大津)お客様の敷地内に専用のタンクを設置し、水量を測定するセンサを取り付けます。センサはタンクの上部から常に水位を計測し、そのデータは無線通信でインターネット回線と繋がることで、遠隔地からでも定期的な水位モニタリングが可能です。また、タンク容量1000リットルに対して200リットルまで減少した所で、お客様にもメール等で残量が少ないことを伝えるアラートを出します。これによって、供給側・受給側ともに計画的な準備が可能となります。

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事務的な手続きもかなり減ったとお聞きしました。

大津)お客様からも実際に「目視で確認する必要がなくなって良かった」「タンクが空になる心配がなくなった」「給水依頼をする必要がなくなった」など、効果はめざましいです。もちろん、我々供給側も各地に計画的に配送(給水)することができますので効果は大きいです。

移動式AdBlue®製造装置も画期的ですね!

大津)製造装置を移動式にすることで、製造設備を複数準備する必要がなくなります。また、原料と上水を用意するだけで、現場でのAdBlue®製造が可能になりますので、輸送コストが格段に軽減されます。ポイントはAdBlue®のストックポイントを消費地により近い場所に設置することで、納品コスト削減と納品時間短縮が見込まれる所です。1箇所の大規模製造施設から輸送する場合、原料である尿素と水が混ざった重い尿素水を大量に運ぶ必要がありますが、移動式製造装置であれば、原料さえ用意しておけば、その場で製造できますので、輸送費は安く済みます。

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地産地消のエリアビジネス!?

このビジネスモデルを展開していくためにはどういったことが必要ですか?

竹内)このビジネスモデルでは地産地消型に近い製造の仕組みが必要です。大手製造メーカが進出していない都市部以外の地域に対して、移動式製造サプライチェーンの展開を図ることで、イニシャルとランニングコストの大幅な抑制が可能となります。また、地方都市へ進出することから、新たな事業機会と雇用の創出に繋がり、且つ、都市圏と同様の価格・サービスの提供ができるなど、利用者のメリットも大きいです。

「三方よし」の販売方法ですね!

竹内)実際、AdBlue®の需要は地方にも多くあります。国内自動車メーカは2010年までに全ての大型新車に尿素SCRシステムとディーゼル微粒子捕集フィルターとの併用式を導入し、2017年には4トン車、2019年には2トン車への導入も開始されました。こうした背景から、消費量の多い都市圏等の一部地域では大手製造業者と卸売業者の乱立と乱売により価格競争が発生している一方で、製造拠点が所在していない都道府県では、製造拠点とエンドユーザーとの間に距離があるため、物流コストの増加を招いています。

ただ、客先との距離が問題になってきますね。

竹内)弊社の実績としまして、エンドユーザーまで、半径100km圏内の距離が1社でカバーできる限界だと感じています。将来的には協力会社含め、半径50km程度の距離に補給ポイントを設置していくことで、日本全体をカバーしていければ理想的です。そのためには協力企業を探していく必要がありますが、実は関東や九州の同業社からも、このシステムの引き合いがきています。

サービスの販売からソリューションシステムの販売へということですね。

竹内)その準備として、既に本システムの国際特許を申請中です。実は、遠方では海外からの問い合わせもきている状況ですので、このシステムが国際的に広がっていくことも期待しております。

海外からも!?ビジネスモデル販売やサブスクビジネスの展開などへも繋がりそうですね!

竹内)ビジネスモデル販売によるロイヤリティ収入型モデルやサブスクリプション型ビジネス等も検討している所です。もちろん、システムの販売方法や共有化のルール等は更に検討していく必要がありますので、選択可能な販売形態を複数準備することで、供給側・受給側どちらにも導入メリットをご提案していく予定です。

AdBlue®以外にも発展するかもしれない素晴らしい取組ですね!最後に今後の展望について教えてください。

竹内)このシステムの導入箇所を徐々に増やして、配送ロスの軽減を図ることで走行距離の削減に繋げていきたいと思っております。地産地消型の製造モデルは物流コスト抑制が可能なサプライチェーン構築にも繋がり、業界として環境負荷低減を後押し出来るものです。人々の生活を支える物流・運輸業を支える重要なインフラ産業として、本取組が業界全体に広がっていくことを期待します。

ありがとうございました!今後の御活躍が楽しみです!

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商工労働観光部産業振興課

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