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株式会社ゴビ(京都企業紹介)

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ウェアラブルRFIDリーダ「TECCO」と位置情報サービス基盤「タグシート」

(掲載日:平成30年2月13日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 

株式会社ゴビ(外部リンク)(京都市(京都リサーチパーク内))の島田代表取締役社長にお話をおうかがいしました。

逆転の発想が生んだウェアラブルRFIDリーダ「TECCO」

―まずは御社の概要から教えてください。

島田) この京都リサーチパーク開設と同じ平成元年に設立しました。当初は企業内部の情報システムの受託開発が中心でしたが、近年は、観光、教育・福祉、エンターテインメント等に関連するシステム、ウェブサイトの構築や、ICタグ等を活用した現場の作業支援システムの受託開発等にシフトしてきています。現在14名体制です。

―観光や教育ですか。

島田) はい。自治体の仕事で、観光情報の発信や、大手企業の仕事で、デジタル百葉箱をインターネットを介して繋ぎ、カメラ画像と気象データをリアルタイムに連動させて見られるシステムも手掛けています。天気と温湿度・気圧の変化の関係等を視覚的に捉えることができます。例えば、日本列島を台風が通過する際には、西の方から順番に気圧の折れ線グラフの谷が動いていきます。それと連動するように降水量の棒グラフは山が動いていきますので、「気圧が下がれば雨が降るのだな」といったことが、一目瞭然にわかります。

―いいですね。ICタグ等の関係はいかがでしょうか。

島田) 例えば、ウェアラブルRFIDリーダ「TECCO(テッコウ)」という製品を自社開発して販売しています。

―RFIDですか。「リーダ/ライタ」から電波あるいは電磁波を当てると、コイル状のアンテナを備えた「タグ」に電気が生じ、タグに情報が書き込まれたり、タグの情報をリーダが読み込んだりというものですね。電車の駅の自動改札などでも使われていますね。

島田) そうです。自動改札機のリーダ/ライタが、人が持っている乗車券カードに内蔵されたタグを読み込んだりするわけですが、当社は発想を逆にしまして、場所の方にタグを設置し、人がリーダを持って読み込んでいくという手法を考えました。それが手首にはめるこのTECCOです。

―しかし、人がリーダを手にはめるということは、重たくないのですか?

島田) 実際はめていただくと分かりますが、どうですか?

―あっ、軽いですね!せいぜい腕時計程度の重さしか感じないですね!

島田) はい、女性のユーザもおられますが、軽い点はご好評を頂いております。一方で、各場所に設定するタグはアクティブタグではなくパッシブタグ、すなわち、電池を持たないものですから、コンパクトにできます。こうして、多くの場所に安価でコンパクトなタグを設置し、人がそれを読み込む方がシステム全体の費用を抑えることができます。また、設置も非常に簡単です。

完全ハンズフリーで正確性・効率性が飛躍的アップ

―具体的な使用例はどういったものでしょうか。

島田) 例えば大手自動車メーカー様では、自動車組付け前の部品ピッキング業務に活用されています。部品棚の各間口に、部品内容を表示した品番票がぶら下がっており、その中にタグが入っています。作業者が部品を取ろうと棚間口に手を入れた際に、TECCOがタグを読み取り、正しい部品であるか即座にチェックし、ピッキングミスの場合は、TECCOがバイブ振動してお知らせします。こうしてピッキングの正確性が高まっていくわけです。他にも、商社様や物流企業様の出荷倉庫でのピッキング、建材メーカー様の組立作業時の部品ピッキングなど多々ございます。

―素晴らしいですね。効果・特長をまとめると・・・。

島田) まず、今申しましたように、作業の正確性とスピードを同時にアップできます。しかも、収集したデータを分析、活用して更なる効率化の追求が可能です。

―なるほど。

島田) 次に、完全ハンズフリーということです。一般的な「ハンディターミナル+バーコード」での検品ですと、ハンディターミナルを持ったり置いたり、バーコードをスキャンするために狙ったり、といった動作が必要になります。TECCOの場合は手首にはめておくだけですので、本来の作業に何ら影響なく「作業効率を落とさずに」作業ができます。

 

―良いですね。

島田) パッケージもご用意しており、例えば「Pickit Wear」は、基幹システム等から、作業者が身に付けているスマートウォッチ、あるいはスマホの画面に作業指示を出し、それを確認しながら、TECCOをはめて正確にピッキングしていくというものです。

磁束コントロールで現場に合わせたカスタマイズも可能

―しかし、タグを周辺環境にたくさん設置すると錯綜したりしないのですか?

島田) はい、大丈夫です。これが3つ目の特長で、他の追随を許さないところです。RFIDには電波方式と電磁誘導方式がありますが、後者を採用しています。磁束を集めて向きを変えるなどコントロールできますので、読み取れる範囲を狭めたり、数十cm離れたところでも読み取れるようにしたりといったカスタマイズも可能です。コンテナに取り付けたタグの場所を、全く気にせずに読めるようにすることもできます。

―どういうことですか?

島田) こうしたコントロール、カスタマイズによって、例えばコンテナの前面に取り付けたタグを、横や後ろからでも読み取れるようにすることが可能です。そうすることで、コンテナのどこを持っても読み取り可能になります。

位置情報サービス基盤となるタグシート

―御社のRFID技術は様々な応用がありそうですね

島田) はい、例えばロケーションをお知らせすることもできます。タグシートを床に貼ります。これには電源や配線は不要です。そして、物を運搬するカートにリーダを設置すれば、床面の各タグの情報を読み取り、「今は〇〇の前にいます」などという情報を得られるわけです。こうしたナビゲーションや、動線分析等様々な用途が考えられます。

―なるほど、タグシートが位置情報のサービス基盤にもなるわけですね。

島田) はい。目の不自由な方は、電車の駅のホームからの転落リスクも高いということで相談があったのがきっかけです。一般的な点字ブロックは、その凹凸で高齢者や幼児などがつまずきやすかったり、車いすやベビーカーには段差が障害となったりする問題もあります。そこで、タグを埋め込んだ凹凸のない点字ブロックを開発したのです。

―素晴らしい。

島田) 数十センチ程度の高精度な位置情報が得られ、配線工事も電池交換も不要と低コストで運用できます。人の足にリーダを付けておけば、目の不自由な方や車いすの方に、その位置に合わせたナビゲーションによる移動支援ができますし、お年寄りの方に、段差や階段の予告ができたり、トイレへの誘導ができたりもするわけです。

―大変有望な技術の数々ですね。最後に今後の展望はいかがでしょうか。

島田) 引き続き、人の支援をテーマにやっていきたいですね。コンセプトは「“ついうっかり”をサポートする」です。たいそうなものではなく、「あっ、忘れてたわ」というくらい、さりげなくが良いですね。

 

今後の展開がますます楽しみです!

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