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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2023年11月29日更新、ものづくり振興課 足利)
裕人礫翔様(京都市)のプロモーションビデオです。
(2023年11月16日更新、ものづくり振興課 足利)
羽田空港第3ターミナル・伝統工芸高級店「ジャパンマスタリーコレクション」。裕人礫翔様(京都市)の蒔絵チョコレートです。
(2023年10月13日更新、ものづくり振興課 足利)
裕人礫翔様(京都市)の関わる「綴プロジェクト」(美術手帖記事(外部リンク))。
裕人礫翔様(京都市)が、旭食品株式会社(高知県)(外部リンク)100周年記念作品として納められたものです。
(2023年10月2日更新、ものづくり振興課 足利)
数千万円のテーブルです。既に多く売れているそう!すごいですね。
二条城(10月5日~9日)・東寺(10月27日~29日)・泉涌寺(11月25日~26日)でイベント開催
今後、羽田空港で「1万ドルの純金箔蒔絵チョコレート」を発表予定
裕人礫翔様(京都市)の宇宙兄弟屏風等。御寺 泉涌寺にて(2022年11月12日・13日)
世界遺産・二条城を舞台にした国際的なアートフェア「art KYOTO 2022」(10月14日(金曜)~16日(日曜))(外部リンク)に出展。
裕人礫翔『宇宙兄弟』コラボレーション(宇宙兄弟Offical Web(外部リンク))、 「月を見る。月から見る」(2022年3月10日~13日、東京国際フォーラム)
(掲載日:平成29年2月6日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
裕人礫翔様(京都市)にお話をおうかがいしました。
―伝統工芸士でらっしゃいますが、これまで、様々なアーティストとのコラボレーションなど多彩な活躍をされてますね。
礫翔) 京都・西陣で生まれ育ち、実家である西山治作商店は箔工芸を営んでいますが、私は40歳の頃独立しまして、現在、「箔アーティスト」として活動しています。
―箔工芸とは?
礫翔) まず、展延性のある金、銀、プラチナ、真鍮などの金属を打展して、0.1ミクロン厚に引き延ばしたものが「箔」ですね。金沢が日本の金箔の99%を「生産」しているのに対し、京都はその「活用」面で長けています。
―なるほど。
礫翔) 箔を柿渋、漆、特殊の糊で和紙に貼り、細い線状に裁断したものを「引箔」と言いますが、これを絹と合わせ、帯や着物の素材にする一連の作業が「箔工芸」です。西陣織の帯づくりには、金糸・銀糸を織り込む方法と、糸ではなく箔工芸で作った、細くはありますが幅のある平たい引箔を織り込む方法があります。
―そうなのですね。
礫翔) こうした「箔工芸」で培った技術を使って、インテリア、アパレル、ファッションアイテムなど生活の様々なシーンへの応用、アート作品への展開を行っているのです。おかげさまで、国内外から様々なお声がけをいただいております。
―「箔アーティスト」たり得る強みは何でしょう?まず驚くのは、金銀箔なのに色が多彩であるということですが。
礫翔) そうですね。まず1つは、箔の「表情」を自由自在に操れるということですね。金箔は通常、金97%に銀と銅を混ぜて伸ばすのですが、金の含有量が多いほど赤みが増し、逆に少なくなるほど青みが増して薄くなりますので、その辺りの微妙な風合いを考慮して金箔を作ってもらうのです。さらに、錆びさせることで変化を付けていくのです。
―金、銀も錆びるのですね。
礫翔) それにより、文字通りワビ、サビを表現できます。銀の場合は、色そのものを変化させることができます。硫黄と熱によって酸化させることで、銀から薄金、濃金、赤、青、緑、紫、黒、墨と変化します。この変化をコントロールして、自分が求める色を出すのが難しいのです。
―すごい技術ですね。
礫翔) 2つ目として、「異素材」とコラボレーションできる点も強みですね。
―どうやってくっつけているのですか?
礫翔) 柿渋や漆等を混ぜた糊で箔を和紙に貼るのが「引箔」だと申しましたが、素材や用途に応じて独自の糊を調合します。これがまた難しいのです。例えば、デニム素材の帯を作りました。これは家庭で洗濯できる帯なのです。今春公開の映画に登場しますが、主人公の役者自らがこの帯を選び身に付けてくれています。
―帯って普通絹のものしか思いつきませんよね。どうしてそういう発想が出てくるのですか?
礫翔) 伝統産業の中で生まれ育ち、そこで仕事もしていますが、実は、学校では油絵を学んでいました。そうしたことから、伝統産業、日本画の世界だけでは思いつかないデザイン、和と洋の融合したデザインを得意としています。そして、デザインだけではなく、箔の表情を自在に操るたしかな技術があるという点を評価いただいて、ニューヨークにある世界最高級の百貨店、Bergdorf Goodmanからお声かけいただき、出展させていただきました。光栄なことに何万人のデザイナーの中から選んでいただいたのです。
―それはすごい!
礫翔) 様々な異分野の方々とコラボレーションを進めていくうちに、大手広告代理店の方に「現代の尾形光琳」だと言っていただきました。これも大変光栄なことです。
―デジタルアーカイブにも取り組まれていましたね。
礫翔) キャノンの文化事業「綴プロジェクト」ですね。国外に流出してしまった屏風絵などを復元し、複製を元にあった寺社に戻したり、劣化を防ぐために頻繁に展示できない美術品を復元し、美術館で代わりに展示したり、あるいはこれらを教育に活用するものです。これに私の特許技術を活用しているのです。
―どういうことですか?
礫翔) キャノンのカメラを使って作品をいくつかに分割しながら撮影します。それらを合成、色の調整を行い、和紙や絹本に印刷します。その上に私が金箔を貼るのです。金箔の輝きなど、印刷では再現できないので、上から箔を貼るのです。
―難しいのですか?
礫翔) 本来は箔の上に絵を描いたわけですから、金箔があたかも絵の下にあるような細工も必要ですし、金のぼかし具合も難しいです。昔のように厚い金箔もありませんので、薄い箔を使ってどう厚みを見せるかなど苦労の連続でした。そして、復元ですから、新しい金箔を貼るのですが、何百年経過した姿になるように、錆びさせたり、削ったり、箔の表情を整えていきます。
―今後の展望はいかがでしょう。
礫翔) 最近、国内外を問わず、大変多くのコラボレーションの機会をいただきます。伝統産業で培った技術とデザイン力を活かし、京都・西陣を世界に発信していきたいと思います。
今後ますます楽しみですね!
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