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ホロバイオ株式会社(京都企業紹介)

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京都品質

地域の生物の力で新産業を

(掲載日:令和2年9月14日、ものづくり振興課:足利・浦出、公益財団法人京都産業21:柴田、京都iCAP:橋爪)

水槽と先生

ホロバイオ株式会社(外部リンク)(京都市、京大桂ベンチャープラザ)代表取締役社長で、京都大学名誉教授の梅田眞郷先生にお話をおうかがいしました。

固有種の特性から生まれる革新的プロバイオティクス

--まずは、御社の事業概要を教えてください。

梅田)今年3月に京都大学を退官し、4月に設立したベンチャー企業です。日本各地の地域固有の生物が持つユニークな機能に着目し、最新の科学技術と分子生物学分野の知見から、社会を支える革新的技術を生み出すことを目的としています。

--例えばどのようなものですか?

梅田)京大で研究をしていた時の話ですが、琵琶湖固有魚種「イサザ」に、新種の腸内細菌「G135株」を発見しました。近年、サプリメントなどの健康食品の原料としても名高いEPA(エイコサぺンタエン酸)を生産するものです。

--EPAは魚類に多いとよく聞きます。

梅田)はい。ただ、淡水魚には少ないのです。しかし、イサザを調べてみたらEPAを豊富に持っていたのです。私どもは、イサザの腸管から多量のG135株を発見し、単離することに成功しました。さらには、他の動物に短期間経口投与した場合でも、高効率に腸管内で生残・増殖し、長期にわたって個体にEPAを供給することを解明しました。

--そうなのですね!

梅田)EPAは、動物の成長に必須の脂肪酸です。生産には多大なコストと時間がかかります。まず、海で養殖魚を育てるのに、マイワシ等の魚粉を配合することでEPAを補われていたりするのですが、マイワシ等の漁獲量の減少により、養殖飼料の高騰を招きます。かといって分離精製、量的生産をするには多大なコスト、時間がかかるのです。

--なるほど。

梅田)しかし、私どもが単離したEPA生産性腸内細菌を腸管内に定着させれば、体内で持続的にEPAを生産できることとなります。

--まさしく革新的プロバイオティクスですね!

梅田)現在、社内でG135株を投与したニジマスを飼育し、様々な研究を進めています。

--微生物というのは奥が深いですね。

梅田)人間に関しても、私たちの体を構成している約36兆個の細胞の10倍以上の微生物が、私たちの体に住み着いているのです。これらの微生物が私たちの健康や疾患、感染症、さらには意識や行動にまで深く関わっていると言えます。全生物の霊長として独立した生物体と思われてきた「ヒト」も、少なくとも生物学上は、無数の生物が集合した「超」生命体であるとも考えられるようになってきました。

--「超生命体」、なんかかっこいいです。

梅田)例えば、屋外で採取した野生のショウジョウバエは、多様な腸内細菌種を持っています。一方で、研究室の培養器の中でコーンミールと酵母のプロセスフードのみを食べて育ったショウジョウバエは、細菌の種類が極めて単純となります。

--なるほど。

梅田)私たちの腸においても同様で、腸内細菌の種類が多様であるほど、外来からの細菌やウイルスの侵入を防ぐことができます。

日本の新産業、ホロバイオ

--COVOD-19が世界的に感染拡大する中、示唆に富むお話です。ところで、先生が「地域固有の生物」に着目されたのはどうしてでしょうか?

梅田)私が長らく携わってきた分子生物学は、分子のレベルで生物の営みを理解する学問でして、西洋から輸入された手法に乗ってきました。実験用具から何から何まで。先ほどのショウジョウバエが実験対象に用いられるというのも、米国で樹立されたことですし、魚であれば、ゼブラフィッシュがよく用いられます。普通はこうした従来手法に則って研究が進められます。

--なるほど。

梅田)しかし、水と緑に恵まれた日本には、素晴らしい能力を持った動植物や、共生する微生物など、非常に豊かな生態系が存在しています。しかし、それらの生物が持つ「機能」については、まだまだ研究が進められていません。先ほどの琵琶湖についても、固有魚が十数種類いますが、その機能については未知の部分が多いのです。「ホロバイオ」とは、「すべての生物」を意味しています。私どもは、限られたモデル生物ばかりでなく、地域固有の様々な生物が持つユニークな機能を明らかにすることにより、社会を支える新しい技術が生まれると考えています。

--なるほど。

梅田)50年後の日本を考えましょう。GDPが上がらない中で、今までのやり方でいいのか?東京一極集中でいいのか?日本は資源がない国だと言うが、どうすればいいのか?

--ふむ。

梅田)資源がない?いや、自然が豊かです。地域には未知の固有種がたくさんあります。海だって暖流と寒流の両方が日本にやってきています。東京一極集中?いや、トヨタだって地方から生まれました。

--つまり、これからの日本の新産業として、地域の生物が題材としてあるのではないかと。

梅田)そうです。日本の豊富な自然と生物は、未知の機能にあふれています。こうした地域の生物を研究されている研究者もたくさんいらっしゃいます。しかし、こうしたものは、なかなか国の研究費の対象にはなりません。だから、私はいつか仲間同士で、こうした地域の生物研究を行うための財団か何かを作りたいと考えています。

シニア研究者が解き放つ自由な発想が社会を変える!

--欧米に対する日本、東京に対する地方、その解として、日本の自然、地域の生物。目からウロコとはこのことです。そういう意味では京都は自然が近く、新産業やスタートアップを呼び込むのに有利かもしれません。先生はどうして起業されたのですか?

梅田)これまでだと、退官後に私大に渡ってというパターンなどもありましたが、定年の年齢が変化してきているということもあり、私は会社を興してみるかということにしました。今後、そういうシニア研究者の起業は増えてくるのではないでしょうか。

--スタートアップを推進している私どもにとって、それはいい情報です!起業されていかがでしょう?

梅田)会社の「カ」の字も知らなかったので、大変です(笑)。しかし、これまでは、学生の育成のため、研究のために全ての時間を使ってきましたが、起業したら、自由に世の中のために役立つことができると実感しています。材料から何から全て既存の考えに捕らわれずに選べます。そういう積み重ねの先には、きっと新しい発想がどんどん生まれてくるのではないか、そういう風にと思っています。

 

 

ぜひ、日本の新産業を生み出していきましょう!

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