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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:令和2年9月3日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)
令和元年度「知恵の経営」認証企業、石黒健太税理士事務所(外部リンク)(京都市南区)の石黒所長にお話をお伺いしました。
(認証企業紹介チラシ(PDF:1,028KB))
—まずは、御社の概要を教えてください。
石黒)平成28年に創業し、主に京都・滋賀地域の企業を支援している税理士事務所です。
主な業務としては、税理士の独占業務である「税務書類の作成」「税務申告の代理」「税務相談」に加えて、企業の経営支援コンサルティングに力を入れています。
—税理士業に加えて経営支援コンサルティングもされているのですね。
石黒)はい。税理士業界は日本全国に約77,000人の税理士がいると言われていますが、実は5人に3人は60代以上という高齢化が顕著な業界です。また、税理士の3つの独占業務に加え、多くの事務所が会計業務や給与計算業務を併せて行っているのが実態ですが、これらの業務に関しては近年のテクノロジー(Fintech、AI、RPA)などにより人手がかからなくなってきており、業界の構造が大きく変わりつつある過渡期を迎えている状況です。そのような中で、弊社は税理士事務所として差別化を図るために既存業務の省力化・自動化を積極的に進めつつ、各企業のステージや個々のニーズに応じて、業務改善から資金繰りの予測、将来を見据えた設備投資、従業員の採用などについて、提案型の経営支援コンサルティングに力を入れています。
—そうなんですね。
石黒)従業員の経歴も、IT企業に勤めていたシステムエンジニアやコンサルティング会社のコンサルタント、社労士事務所に勤めていた社労士、上場企業でのRPA経験者、銀行・信用金庫の行員、保険会社の営業など、多種多様です。現在、従業員は13名ですが、記帳代行・決算申告・税務手続等を行う「会計チーム」、給与計算・社会保険手続・労務関係の相談業務などを行う「社労務チーム」、クラウドシステムによる経理業務の自動化・省力化支援を行う「自動化チーム」、資金調達・保険によるリスクマネジメント支援を行う「資金調達・企業防衛チーム」の4チームに分かれ、経営・財務・組織のプロとして企業の支援を行っています。この規模の税理士事務所でここまで幅広く支援できるのは弊社しかないのではと自負しています。
—すごいですね。なぜ御社にはそのような他種多様な人材が集まるのでしょうか。
石黒)従業員の9割が女性ですが、働きやすい環境を構築しているからだと思います。弊社では、365日6時〜21時の間、従業員が自分で出勤日・時間を選ぶことができるフルフレックス制度を導入しており、子育てしながらでも働きやすい環境です。また、フルフレックス制度で支障となる業務の引継などにおいてもクラウドのコミュニケーションツールを採用し、円滑に引継及び業務管理を実施しています。これは企業支援においても強みとなっており、相手企業の御都合の良い時間帯に柔軟に対応できることから好評を得ています。
また、多様な人材がいるため経営支援コンサルティングにおいて強みを発揮する一方で、他業種からの中途採用が多いことから税理士業務については経験値が低い社員が大半を占めているため、個々のスキルアップを目指し、就業時間の20%は教育研修等を実施することで、人材育成にも力を入れています。その結果、創業当初は私1人だった税理士も3人に増える予定です。子育てしながらでもキャリアを積みたい女性も多くいることから、このように手厚くサポートし、うまく人材を活用できていることも弊社の特徴だと言えます。
—素晴らしいですね。御社は創業支援にも力を入れられていますね。
石黒)その通りです。確定申告業務のみの契約を除いて顧問契約先が約130あるのですが、実はそのうち7割が創業期からのものです。私自身創業を2度経験しており、会社の立ち上げから事業を軌道に乗せるまでのプロセスを熟知しておりますので、その知識・ノウハウ等を提供しています。
—具体的にはどのようなことをされているのでしょうか。
石黒)「起業ジム」と称していますが、これから起業を考えている人たち、いわゆる起業家予備軍を対象に、1.動画コンテンツの提供、2.塾スタイルでの集中講義、3.マンツーマンによる個別サポートにより、どの業種においても必要な事業計画書の作成やマーケティング戦略、資金調達、貸借対照表の活用方法などの知識やノウハウ等について学ぶ機会を提供し、ワンパッケージ型の支援を実施しています。また、実際に起業に至る際も事業計画の立案や創業融資の相談など必要な支援を実施しているほか、金融機関等との融資の面談の際には必ず同行するなど、起業の際の不安を払拭するためのフルサポートを行っています。
—対象の「起業家予備軍」はどのように発掘されているのでしょうか。
石黒)Web(YouTube(外部リンク))による情報配信に力を入れて集客を図っておりますので、それを見て御相談いただく方が多いです。また、起業支援の実績が積み重なることで各金融機関との関係が密になったことから、金融機関の御担当者様から御紹介いただくことも増えており、このような好循環により発掘できていると言えます。
—「知恵の経営」にも取り組んでいただきましたが、いかがでしたか。
石黒)実は代表の私ではなく、従業員に取り組んでもらいました。私どもは事業計画の作成支援も行っていますが、計画作成においてその企業の強みは何なのかを引き出す必要があります。その過程を従業員に学んでほしいと思っていたところ、まさに企業の強みは何なのかを徹底的に掘り下げ、それらを効果的に組み合わせて活用・見える化することによって、経営課題を克服したり、収益につなげる経営を実践する本制度がありましたので、従業員研修の一環として、京都商工会議所の実践セミナーなどを通じて取り組ませていただきました。従業員にとって非常に勉強になりましたし、私どもの事務所の強みなどをPRする上でも整理することができてよかったと思います。
—ありがとうございます。最後に今後の事業展開について教えてください。
石黒)今後、弊社の税理士も3人に増える予定ですので法人化し、代表の私に属人的だった部分を従業員に分散させ、組織としてより強いものにしていきたいと思います。その上で、企業の大きな課題の一つである事業承継支援にも着手したいと考えています。将来的には起業から事業承継までを支援できる税理士事務所として、地域になくてはならない存在になりたいと考えています。
—今後の展開が楽しみですね!
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