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株式会社五十家コーポレーション(京都企業紹介)

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FARM TO TABLE~畑から料理をデザインする~

(掲載日:令和2年12月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)

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株式会社五十家コーポレーション(外部リンク)(京都市中京区)の五十棲代表取締役にお話をお伺いしました。

異なるコンセプトで6店舗を運営

―まずは、御社の概要を教えてください。

五十棲)弊社は京都市内で農園直送の京都産野菜をふんだんに使った飲食店を6店運営している会社です。繁華街として栄える河原町エリアに4店舗、古都観光への玄関口となる京都駅エリアに1店舗、オフィスワーカーの集まる烏丸エリアに1店舗をそれぞれ出店しています。

―私もたまに行かせていただくのですが、どの店舗も大変賑わっていますね。誠に失礼ながらチェーン店かと思っていたのですが、それぞれお店のコンセプトが異なるとか。

五十棲)地元のお客様から観光客の方まで様々な方に御来店いただき、大変ありがたいです。また、コンセプトもそれぞれ異なります。新鮮な京野菜と旬の食材を使ったおでんとバリエーション豊かな串焼きを提供する「女性でも気軽に入れる赤提灯」をコンセプトにした『五十棲(外部リンク)』。カウンターど真ん中に置かれた自慢の大鍋でその日届いた野菜たちをコトコト煮たり、さっと炊いたり、湯がいたり、「旬の京野菜を美味しく食べよう」をコンセプトにした『おにかい(外部リンク)』。それぞれの野菜に合った火入れ加減で塩、味噌、ソースにこだわり、素材の味を引き出す「旬の京野菜を焼かせてください」をコンセプトにした『五十家(外部リンク)』。ワインに合うお料理に工夫して調理し、厳選したワインと合わせて提供する「京野菜をワインに合わせて美味しく、楽しく!」をコンセプトにした『五十松(外部リンク)』。古くからある伝統的な「お漬けもん」の技法にとらわれることなく、五十家流のやり方で味噌、酒粕、オイル、ワインなど野菜を様々なものに漬け込んで提供する「京のお野菜、漬けちゃいました」をコンセプトにした『isoism(外部リンク)』。五十家グループで経験を積んだスタッフが新しい感性で独自にアレンジした料理を提供する「ちょうどいい酒場」をコンセプトにした『イソスタンド(外部リンク)』。このようにそれぞれ異なるコンセプトでお店を運営しております。

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朝収穫した野菜をその日のうちにお店で提供

―うまくお店を差別化されているのですね。野菜を売りにした飲食店は多いですが、御社の強みは何だとお考えですか。

五十棲)二つあるかと思います。一つは、向日市で自家農園を運営しているのですが、周辺の農家にも協力頂き、15種類の野菜を減農薬にこだわりながら栽培している点です。もう一つは、会社全体として「FARM TO TABLE(畑から食卓へ)」を共通コンセプトにしているのですが、その日の営業が終了すると、次の日に各店舗で必要な野菜をグループメールで連絡し、早朝に発注数を確認した各農家のスタッフが収穫、お昼には各店舗に収穫した野菜が運ばれるという形態をとっている点です。その野菜を各店舗で仕込み、夕方にはその野菜を使って料理を提供しており、朝収穫した新鮮な野菜がその日のうちにお皿の上に載ってテーブルに運ばれています。余った分は賄いで使い切り、翌日にはまた新しい野菜を使うという鮮度への徹底的な意識・対応が弊社の大きな強みになっています。

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同社の自家農園

―6次産業化にもつながっている素晴らしいお取り組みですね。新型コロナの影響はいかがでしょうか。

五十棲)緊急事態宣言が発令された際はお店も閉鎖し、経営面では非常に大きな打撃を受けました。しかしながら、元々インバウンド客をターゲットにしていたわけではなかったことから、例年の8割ほどは客足が戻ってまいりました。これは弊社のブランディングがしっかりとできていたのだなと再認識でき、自信につながりましたし、各店舗においても改めて衛生管理を強化できましたので、良かったと言える点もあります。残り2割は3密を防ぐために宴会が開催されていないため戻ってきていないことから、with・postコロナ時代にこの2割をどのように埋めるのかということについて試行錯誤しております。

出汁をベースに麹、ワイン、蜂蜜などの多様なレシピを楽しむことができる「漬け野菜」

―そうなのですね。そのwith・postコロナ時代を見据えて、野菜を活用した新たな試みも始められました。

五十棲)はい。「漬け野菜」事業を開始しました。「漬け野菜」とは、古くからある伝統的な「お漬物」の技法に捉われることなく、五十家流の方法で野菜を味噌、酒かす、オイル、ワイン、自家製ドレッシングなど様々なものに漬け込んだ新ジャンルの料理です。

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―なるほど。

五十棲)京都のお漬物は一つの文化でもあり、その認知度は日本を飛び越えて世界に浸透していますが、味付けは一辺倒で、調味液につけた浅漬けか、ぬかにつけたぬか漬けのほぼ2種が主流です。そんな京都から、古くからあるお漬物をリニューアルしたいと考え、約1年半をかけて「漬け野菜」のベース(原液)を開発しました。「漬けベース」は昆布と干し椎茸を弱火にかけて出汁を取り、その後、追い鰹により風味を際立たせたものです。これをベースに「麹漬け、カボス漬け、胡椒漬け、柚子漬け、白ワイン漬け、蜂蜜漬け、ゴマ味噌漬け、福神漬け、甘酢漬け、甘醤油漬け、酒粕漬け」など、既に11種類のレシピを開発しています。このようなレシピを旬の様々な京野菜と掛け合わせることで、無数のメニュー開発が可能だと考えております。

―いいですね。

五十棲)もともと「漬け野菜」自体は先ほど紹介した『isoism』で2016年から提供しており、「京文化の漬け物を今風に楽しめるダイニング」として好評を得ておりました。この「漬け野菜」を御自宅でも楽しんでいただけるように、全国発送に向けた通販向け「漬け野菜」の開発を始めました。本事業は今回のコロナショックのようなことが起きた際でも企業が存続していけるよう、事業の多角化を見据えた取り組みの一つです。

―本取組は「京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業」の補助金も御活用いただいておりますね。

五十棲)はい。全国発送に向けてはいかに保存期間を伸ばせるかが肝になってきます。その部分について、スチームコンベクション、クックチル、弱酸性電解水等を活用し、「漬け野菜」を殺菌して真空パックする方法により保存期間の延長に取り組んでいます。また、熱処理により多少鮮度や味が落ちるため、調味料の調合などによりできるだけ風味が落ちないように試行錯誤しております。

―全国展開を実現できるよう我々もしっかりと伴走支援させていただきます。「漬け野菜」は現在、『isoism』だけでなく、無印良品のお店でも購入できるようですね。

五十棲)無印良品の京都山科店で量り売りにより販売をさせていただいております。(株)良品計画はサスティナビリティを非常に大事にされている会社ですが、(株)良品計画の方がたまたま『isoism』に御来店いただいたのをきっかけに、弊社の考えにも共感いただき、コラボレーションすることとなりました。無印良品の京都山科店に行かれる際はぜひ「漬け野菜」コーナーにもお立ち寄りいただけると幸いです。

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無印良品京都山科店での「漬け野菜」量り売りの様子

 ―最後に今後の展望をお聞かせください。

五十棲)まずは「漬け野菜」を全国展開できるようにしっかりと注力していきたいと考えております。その上で、安心で美味しい野菜をより多くの皆さまにお届けしたいと考えており、まずは農園規模の拡大により1種類でも多く自社で育てた野菜を提供することを当面の目標としております。そしてゆくゆくは、畑の横に農業体験や収穫体験ができる農業型レストランが運営できればいいなと考えております。また、現在、社を上げて「従業員を大切にする会社づくり」を経営方針の一つに掲げ、営業時間の短縮等により1日6.5時間営業、1週間の連続休暇の取得などに取り組んでいます。京都の外食業界において知名度だけでなく、会社の内部環境の改善もしっかりと両立し、京都の外食企業のモデルとなりたいと考えております。

 今後の展開が楽しみですね!

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商工労働観光部ものづくり振興課

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