ここから本文です。

岩田精工株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順) 京都府の産業支援情報

24時間 孔あけてます。

(掲載日:平成29年2月17日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 経営革新元気印企業(平成25年度、28年度)の岩田精工株式会社(八幡市)の田中代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。

金型設計・製作からプレス量産加工までの一貫生産

―まず、御社の概要から教えてください。

田中) 従業員17名で、金型設計・製作からプレス加工までの一貫生産を行っており、試作から量産加工まで対応しています。これらをベースに、特徴的な取組としては、パンチングメタル加工、エキスパンドメタル加工、分流器の生産も行っています。

―金型の数も多いのでしょうね。

田中) 何百と数え切れないほどありますね(笑)。また、精密加工も得意としており、一例を挙げれば、ワイヤーカット放電加工も当社では面粗度を高める為に何周もワイヤー線を走らせるなど、丁寧な仕事を信条にしています。

オンリーワンの極小径パンチングメタル加工

―パンチングメタル加工とは?

田中) アルミ、銅、鉄等の薄い板厚の金属に小さな孔を開ける加工で、プレス加工の中でも高度な技術が必要な加工です。当社の場合、厚さ0.01mmの超薄箔材に、超極小径φ0.4mmの孔を、無数に開けることができます。大きめの孔を開けるところは他にもありますが、ここまでの極小径の孔を当社のように1回で何千単位で開けられるというのはほとんどないと考えております。

―すごいですね。

田中) 一般的に、パンチング加工より小さな孔を開けられるものにエッチング加工がありますが、それはシートに加工されるものと聞いております。弊社はコイル加工を得意としておりますので、量産と考えますとパンチング加工のほうがスピード、コスト面で有利になるのではないかと考えております。

―逆に御社のパンチング加工の難しさは何ですか?

田中) 超精密パンチング加工を行う金型も当社で内製しており、上型、ストリッパープレート、下型の複数枚のプレートに数多くの小径孔を開けたものを重ねて使用します。そして、その小径孔にパンチピンを通して孔開け加工を行います。金型の小径孔とパンチピンのクリアランス(隙間)はわずか0.5μという非常に高い精度なのです。当社の30年以上に亘るノウハウを積み重ね、実現しています。

24時間無人運転― IoT遠隔監視

―なるほど。

田中) 24時間無人運転を行ってまして、蛇行制御ライン・テンションコントロールのほか、異常検知・遠隔監視システムを搭載しておりますので、もし何か異常があれば停止するとともに、担当従業員らのスマートフォンに連絡が行きます。今はやりのIoTですね。

―いいですね。

田中) 現在は、リチウムイオンキャパシタ(LIC)用の電極シート材料のパンチングメタル量産加工にチャレンジしています。LICは、長寿命である電気二重層キャパシタと、エネルギーの高容量であるリチウムイオン二次電池を掛け合わせたハイブリッドタイプで、安全性の高い蓄電デバイスです。このLICに使用される電極シートにパンチング加工するというのは、他社でも考えておられるかもしれませんが、広い幅で、小径の加工を求められておりますので、金型の構造、また、パンチング加工技術の向上などを考慮した技術開発を進めています。

京都ではめずらしいエキスパンドメタル加工

―素晴らしい。エキスパンドメタル加工については、できあがったものはよく目にしますね。

田中) インテリアや防虫のための換気口部品、さまざまな用途で使用されるフィルターなど、多岐に亘る分野で用いられており市場規模も大きいですね。近年ではDIYで使用されるケースも増えていますね。

―しかし、京都で加工をされてらっしゃるところは珍しいですね。

田中) そうだと思います。当社の場合、専用機に特殊なセンサーを設置し、特に精密な加工を行っています。専用機は、メッシュ寸法等に応じて上刃(金型)が上下左右に運動し、材料に千鳥状の切れ目を入れると同時に、押し広げて菱形状に加工します。

全国でもめずらしい分流器製造― 創業、事業承継

―動きがおもしろいですね。さて、分流器も、これまた珍しいですね。

田中) 電流計に並列に接続して、電流を分流させる抵抗器ですね。これは、創業者である初代社長から、約60年間製作している事業でして、全国でも分流器を製作している企業は数社しかないと思います。

―少人数で、これだけ多岐に亘る事業を展開されてらっしゃるのに、どのような工夫をされてらっしゃるのですか?

田中) 全社員に、2部署以上経験してもらって、多能工化を進めています。

―社長ご自身も2年前に事業承継をされましたね。

田中) 数年前から事業承継を行う計画を進めていました。承継後、これまでの経営理念など基本的なところを引き継ぎながらも、より「アットホームな会社づくり」を進めています。声かけ、ミーティング、そして会食など、いろいろやってますよ(笑)

―今後の展望はいかがでしょう。

田中) エキスパンドメタル加工については、継ぎ目がなく引っかかることがないという安全性を活かして、金網の代用など新たな市場開拓を進めたいです。そして何より、現在進めているパンチングメタル加工の研究開発、これは絶対成就させたいです。これは例えるなら日本一高い山、富士山です。そして、その先には、登頂を成功させ、日の出を見ようとする社員全員の笑顔を見据えています!

 

とても楽しみですね!

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp