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亀岡電子株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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簡単・格安ピンポイント設置と全国初のLINE連携アラート!浸水検知センサ「KAMEKER3」

(令和3年3月1日、ものづくり振興課 足利・岩橋)

KAMEKERホームページ

亀岡電子株式会社(亀岡市)が、本日より「セルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)」(外部リンク)の販売を開始されました(チャレンジ・バイ認定。開発には「京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業」も活用いただきました)。営業部マネージャーの澤田主幹にお話をお伺いしました。

プレスリリース「全国初!内水氾濫による浸水をいち早く検知!セルラー通信式浸水検知センサ「KAMEKER3」販売開始(チャレンジバイ認定)」(PDF:247KB)

浸水被害6倍増なのに水防人員減少という日本の現状

開発のきっかけは何だったのでしょうか?

澤田)当社自身も昔、南丹市にある工場が大風による浸水で大きな被害を受けたことがあるのですが、国土交通省の発表資料によると、氾濫危険水位を超過した河川数は、平成30年度は国管理河川で62、都道府県管理河川で412に上り、過去5年間で6倍弱へと急激に増えています。

たしかに、2018年の西日本豪雨だけでなく、明らかに増えていますよね!

澤田)一方で、全国的に水防団員の人数は減少が続いており、災害時の見回りや初動体制が十分機能しなくなる恐れがあるのです。

自ら行った市場調査で判明した住民の声 –ピンポイントで「自分事」に!

なるほど。

澤田)そこで、この間、実際に被災した地域、特に頻繁に浸水被害を受けている地域の方々にヒアリングを行うなど、全国を調査して回りました。

なんと、センサーOEM製造屋さんが、自ら市場調査とは、素晴らしい!

澤田)ありがとうございます。その結果、たしかに行政も、河川水位の計測と見える化、すなわち、ウェブカメラ映像公開、防災無線、通信会社と連携したアラート発信などを活発になさっていることが改めて分かりました。

そうですね。私もよく市役所のホームページで確認します。

澤田)そうですよね。一方で、住民の方の生の声を拾い上げますと、行政から出される情報の範囲が広すぎて「自分事」になりにくいことが迅速な避難行動に繋がりにくい要因の1つであることや、行政の監視にも限りがありますから、小さな地域単位で非難の目安にしているポイントとなる地点の浸水状況を、当該地域の方々にピンポイントで知らせることができれば、迅速な避難行動に繋がりやすいということが分かってきました。

全体イメージ

ピンポイントで検知したい箇所に箱を設置するだけ!コストも格安!

おお!なるほど。

澤田)そこで開発したのが、「セルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)」です。

特徴をお聞きする前に、その、カメカー(KAMEKER)というネーミングは?

澤田)「亀岡発のメーカー」ということです(笑)。

地域愛!素晴らしい。地域愛があるからこそ、本製品の開発に結び付かれたわけですものね。では、特徴をどうぞ!

澤田)はい。まず1つは、ピンポイントで浸水を検知したい箇所に、この箱を設置するだけでいいということです。

設置風景

おお!簡単ですね!

澤田)はい。当社は、ご承知の通り、ある大手センサメーカー様の静電容量センサを一手に引き受けさせていただいておりますが、そうした当社が長年にわたり技術を磨いてきた静電容量センサを内蔵しています。

強みを活かして、いい感じですね。

澤田)そして、電池式、セルラー通信式なので、電源工事、ネットワーク接続配線工事、土木工事が不要というわけです。

その分、お値段は高いんじゃないんですか?

澤田)いえ、通常の防災用センサの10分の1程度の費用で導入できます。通信費、アプリ代も500円/月以下ですよ。

設置風景(電柱) 設置風景(家庭)

全国初!LINEとセンサとの連携で簡単アラート

ええー!いいですね。その通信、アラートはどういう感じですか?

澤田)LTE-M通信を利用しております。市販の単三電池3本、単四電池2本で2年以上駆動します。

いいですね。

澤田)アラートも、専用アプリではなく、広く普及しているLINEアプリを活用しております。センサとの連携としては全国初です。

機能1

ほう!

澤田)浸水している場所が地図上で赤く表示され「見える化」できます。

機能2

分かりやすい!

澤田)センサの購入者様は、管理画面にて購入されたセンサの各種設定を行えます。例えば、センサ設置位置、LINE通知メッセージの編集、センサの通知ON/OFF、センサ設置位置のマップ表示/非表示の切替、テスト送信用メッセージへの切替、LINE通知履歴のデータ出力、マップ赤色表示保持時間の変更などです。

機能3

既存危機管理システムとの併用も!

このマップで、他者が設置されているセンサの状態も、表示設定にされていれば、分かるというのも、いろんな意味でおもしろいですね。

澤田)既存の危機管理システムと併用し、サブシステムとして使いたいという話も多いです。

ほう。

澤田)大量に設置されたカメラ映像を集中管理されている際に、どうしても細かな監視が難しいというケースもあるようで、そうしたカメラ設置個所に「KAMEKER3」も設置していただくと、危険個所は自動でアラームが届きますので、大量のカメラ映像をずっと眺めておく必要もなく、見落としも防げます。

カメラシステムと併用

なるほど。今後の展望についてはいかがでしょうか。

澤田)当社はこれまで、大手センサメーカー様の協力会社として主に工場内で使用される設備用のFAセンサを製造してきました。今後は更に、工場以外でも安心安全な社会づくりに貢献できる商品を提供したいとの思いで、静電容量による検出技術のノウハウを活かした、「水を知る 水を知らせる」商品の開発に取り組んでいきます。自社のセンシング技術とIOTを組み合わせた新たな商品で、社会課題を解決し、世の中に必要とされる企業であり続けることを目指します。

デモ風景
京都府南丹広域振興局でのデモの様子(南本副局長ら)

今後の展開が楽しみです。

液面レベルセンサー 施設園芸環境システム業界事例紹介 & 企業内保育所オープン

(掲載日:平成30年11月30日、ものづくり振興課 足利)

事例図(PDF:610KB)

亀岡電子株式会社(亀岡市)の液面レベルセンサーの活用事例です。施設園芸で使用される溶液の残量管理(PDF:610KB)にも使われています。

また、企業内保育所もオープン(外部リンク)されています!

「水を知る。水を知らせる。」静電容量型液面レベルセンサー

静電容量型液面レベルセンサーCLAシリーズ。アンプ分離型で液体に触れずに液面レベルを検出

(掲載日:平成30年7月27日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

亀岡電子株式会社(亀岡市)の東前常務取締役にお話をおうかがいしました。

センサーラインナップ1000種類

―まず、御社の概要を教えてください。

東前) 1972年創業、現在95名体制で、様々なセンサーを作っています。

―具体的にはどういうものですか?

東前) 例えば、この「金属通過センサー(LMSシリーズ)」。粉体・食品等への金属異物検出や、布製品への折れ針混入検出、また、ネジ・切り粉・金属部品の供給、排出検出などを容易に行うことができます。これは磁気センサーで、金属がコイルの中を通過すると磁束が変化することによる微小な発信振幅変化を検出するというわけです。

 
(左)金属通過センサー LMSシリーズ、(右)活用事例:金属部品の数量カウント

―なるほど。

東前) あるいは、「フラット型近接センサー(LPS-F)」。厚さ6mmの低価格磁気センサーで、金属パレットの直通確認、加工機の位置決め、アームロボットの掴み確認などスペースが限られた場所での使用に最適です。

 
(左)フラット型近接センサー(LPS-F)、(右)活用事例:金属パレットの通過センサー

―センサーにも、こうした磁気のものとか、ひずみセンサーのような抵抗値の変化を読み取るものとか、いろいろありますものね。御社でどれくらいのラインナップがあるのですか。

東前) そうですねえ。1000種類はありますねえ。その中でも日頃よく流れているものは100種類ぐらいですね。多種多様なので技術伝承が課題になってきます。そこで、当社では5名くらいの「小集団制」によるチーム体制を構築し、チーム単位での人材育成を図っています。

非接触で内容物が測れる!静電容量型液面レベルセンサー

―そうなのですね。

東前) また、特に当社が生産しているセンサーの中で得意としている一つに、静電容量センサーがあります。大手メーカー様のOEMで、静電容量センサーの製造に関しては全て当社に任されています。蓄積された静電容量センサーのノウハウを活用し、自社商品として「静電容量型液面レベルセンサー」を販売しております。「静電容量型液面レベルセンサー」は、非金属容器、ゲージ管などの側面に電極を貼り付けるだけで内部の液面レベルを検出することができるものです(非接触型液面レベルセンサー)。

 

―まず、静電容量というのは何ですか?

東前) 電気を通さないものを絶縁体と言いますね。絶縁体は電圧をかけても何の変化も起こさないかと言えば、そうではありません。物質を形成する原子、分子は、電荷を有する電子や原子核で構成されていますから、電圧にも反応する素質は持っているのです。つまり、絶縁体の場合、電圧をかけると、自由電子が動き回るということはありませんが、電子はプラス方向へ、原子核はマイナス方向へ若干変位します。実質的には原子核は電子に比べてはるかに重いので、変位は無視できますが。

―なるほど。

東前) 日頃は原子核の位置と電子の中心位置が一致して、電荷の偏りがないものが、原子核に対して電子が相対的に変位し極性に偏りが生じるわけで、これを「電子分極」と言います。このような分極を起こすものは「誘電体」と呼ばれ、絶縁体も誘電体なのです。誘電体が分極するということは、電荷、すなわち、エネルギーを蓄えているということです。

―そうなのですね。

東前) お尋ねの静電容量というのは、導体の間にある絶縁体等の誘電体の電子分極の程度、すなわち、どの程度のエネルギーを蓄えているか、その量を表すものです。ちなみに、この仕組みを利用しているのがコンデンサです。

―なるほど。

東前) 各物質は固有の誘電率というものを持っており、空気の場合は約1.0、水の場合は約80です。水の方が80倍大きいということは、液体の方が誘電率の差を測りやすいというわけです。

―少し分からないことがあるのですが、導体の間に誘電体を挟むとおっしゃいましたが、このセンサーは、電極がむしろ平行に並んでいますけれど。

東前) 電極と電極の間を、電場が半円を描くようなイメージですね。

―なるほど。もう一つの疑問は、液体の入っている容器の材質等によって値が異なるのでは・・・。あっ、そうか、材質がどうであれ、液体の有無、つまり、ある時とない時の差が判明すればいいのか。

東前) そのとおりです。ただし、容器が金属など導体であってはダメですね。

―そういうことですね。

東前) 非接触なので、センサーが薬液で破損したり、逆に薬液を汚したりといったこともありませんし、何より既存のものに手軽に後付けできます。そうしてセンサーを用いることにより人を監視作業から解放できるわけです。今の時代、IoTが物凄い勢いで普及してきている事からも、監視作業をセンサーに任せて、データを活用する時代になってきています。

 

 

信頼性の高さを支えるのは、きめ細かな技術と人材

―生産工程について簡単に教えてください。

東前) そうですね。簡単に申しますと、基板実装から始まり、組立、樹脂充填、電気検査、出荷のプロセスがあります。まず、基板実装工程では、はんだ印刷機によって、プリント基板上にはんだペーストの塗布を行います。次の工程で電子部品を搭載する箇所に、ですね。

―なるほど。

東前) そして、電子部品を搭載する工程では、チップマウンターによって、プリント基板の表面に電子部品を搭載します。供給装置から供給された電子部品をノズルが吸着し、それを基板の目的の場所へ搭載(マウント)するといったところです。

―なるほど。

東前) 次にリフローです。はんだを加熱し溶かして、はんだ付けするということですね。

 

―なるほど。

東前) そして、樹脂工程です。様々な現場で使用されるものですから、故障すること等もきめこまかく想定して、防水防塵等のため、熱硬化樹脂を充填する、場合によってはフッ素コートするといった工程です。この工程は難しいのですが、この技術とノウハウは当社の強みの一つで、お客様から求められており、喜ばれている部分ですね。その後、組立、検査などの工程が続きます。先ほども言いましたように多種多様なセンサーを取り扱うので、この辺りは特に人の技術ノウハウが求められるところです。

社員一人ひとりの幸せと地域のために

―さきほど小集団制のお話がありましたが、人材育成について、もう少し教えてください。

東前) 3代目の現社長になって「Try Something New」という方針を掲げ、新たなチャレンジをいろいろ進めています。まず、一人ひとりが主人公になれる会社を目指して、組織を敢えてチーム単位で細かく分けているのです。普通の組織だと、どうしても中間管理職のカラーが左右してしまいがちですから。半分以上の社員が何らかのリーダーですね。

―人材の採用についてはいかがですか?

東前) おかげ様で今年も4名の新卒者を迎え入れています。当社は、リーマン・ショックの際でも新規採用を続けていましたよ。

―社内には女性も多いですね。

東前) 実は今、社内託児所についても計画しています。

―そうなのですね。地域貢献活動も活発ですね。

東前) (公財)関西盲導犬協会さんの活動に協力して、街頭募金活動等も続けて参加していますね。また、会社の隣を流れる西川の清掃活動を地域住民の皆さんと一緒になって定期的に行わせていいただいております。今でこそ、ほたるが戻ってくるくらいの川になりましたけど、最初の頃はバイクが捨ててあったり、かなり汚れていましたね。

―最後に今後の展望についてはいかがでしょうか。

東前) そうですね。当社の技術、製品で「産業機器」に貢献するという枠を超えて、「安心・安全社会」にどう貢献していくか、そういった風に目線を広げて様々なことにチャレンジしていきたいですね。その中でも、先に説明した静電容量方式を用いたセンサー製品において、業界No1になる 『静電容量NO1』と、液体を検知する技術を活用し『水を知る、水を知らせる』センサーで「安心・安全社会」に貢献できるようチャレンジをしていこうと、取り組んでいます。また、今年から“kameoka”と“maker”を掛け合わせた“KAMEKER(カメカー)”という独自ブランドも立ち上げて各種展示会に参加しています。

 

 

今後の展開が大変楽しみですね!

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商工労働観光部ものづくり振興課

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