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有限会社神工建設(京都企業紹介)

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安価・高品質な型枠パネル再生事業を展開

(掲載日:平成29年8月1日、聞き手・文:ものづくり振興課 倉橋)

 

平成23年度経営革新承認企業の有限会社神工建設(京田辺市)の神様にお話をおうかがいしました。

国内唯一の型枠パネル再生サービス

―まずは御社の概要から教えてください。

神) 当社は、平成13年にコンクリート打設用の型枠パネルの現場施工を主な事業として創業しましたが、現在では型枠パネルの再生サービスを柱に事業を行っています。現時点で型枠パネルの再生サービスを提供しているのは国内でも当社のみです。

型枠パネルとは何でしょうか?

神) 型枠パネルは、ラワン材やパイン材等を格子状に組んだ桟木(さんぎ)でベニヤ板を補強したもので、スラリー状のコンクリートを打ち込んでから固化するまで形状を保持するために用いられます。加えて、コンクリートの表面の滑らかさといった仕上がりにも大きく影響することから、建築資材として非常に重要なものです。型枠パネルの使い方は、おおむね静岡県を境に関西圏と関東圏で大きく異なっており、関西圏では幅600mm・長さ900~3000mmの定尺のものを組み合わせて使用するのに対して、関東圏では幅・長さ共に様々なサイズの型枠パネルを組み合わせて使用するのが通常です。

 
型枠パネルの構造と外観

施工コスト削減のために

型枠パネルの再生サービスとは具体的にどのようなサービスなのでしょうか?

神) 従来、型枠パネルは会社ごとに人力で張り替えが行われていましたが、本サービスは、当社がお客様からお預かりした使用済みの型枠パネルを、ベニヤ板と桟木に分離し、新たなベニヤ板を桟木に張り直してからお返しするのが基本的な流れとなっています。桟木を再利用してベニヤ板だけを新品に交換しますので新品パネルを買うよりも安価なうえに、桟木も丈夫なラワン材のものであれば数回の繰り返し利用が可能ですので、本サービスを継続的にお使い頂くことで施工コストの圧縮に役立てて頂けます。パイン材もモノにより張り替え可能です。


型枠パネルの施工現場

どの程度のコスト削減に繋がるのですか?

神) 例えば、4t車に満載した型枠パネルを再生した場合、同量の新品を購入するよりも10万円程度安くすることが可能です。本サービスの開始以来、ご利用頂いたお客様の口コミで徐々に拡がったことで、現在の取引先は関西圏で、約100社以上になりました。

型枠パネル分離装置―ペラペラくん―

再生事業に取り組まれたきっかけは何かあるのですか?

神) 当社が型枠パネルの施工を事業として行っていたとき、受注が減少する中で利益を確保するために型枠パネルのベニヤの張り替えを人力で行っていました。しかし、手作業でベニヤ板と桟木の分離をやってみたところ作業効率が悪く思ったようなコスト削減には繋がりませんでした。そこで、この分離作業を機械化してしまえば効率よく作業ができ、コストの削減にも繋がるものと考えたことから型枠パネルの分離装置「ペラペラくん1号機」を開発することとなりました。


1.使用済み型枠パネル


2.ペラペラくん1号機でのベニヤ剥がし


3.釘じまい

 


4.枠のオイル塗布処理


5.枠のケレン(下地作り)とベニヤ張り


6.表面ベニアの仕上げ

 

ペラペラくん1号機とはどのようなものでしょうか?

神) 「ペラペラくん1号機」は、固定した桟木からベニヤ板を均等に押し出して機械的に分離する装置で、関西圏で使われている定尺の型枠パネル全般に対応したものとなっています。手作業で分離する場合には10分程度の時間が必要となりますが、本装置を用いると1分程度で分離することができます。本装置の開発により分離作業が大幅に効率化され、当社の型枠パネル再生サービス事業の成長の原動力となっています。最近では、関東圏で用いられている様々なサイズの型枠加工材の解体が出来る「ペラペラくん2号機」の開発にも成功し、これはご購入頂いた方が自社内で型枠パネルの分離を行えるようにしたものです。この2号機はたまたま関東圏のお客様とお話しているときにご要望を受けたことから開発したもので、これも自社で設計しました。


ペラペラくん2号機

再生品に新品以上の付加価値を

型枠パネルの再生サービスはあまり馴染みの無い事業ですが、どのようなご苦労があるのでしょうか?

神) 再生品であってもお客様が求める品質は新品と同等であるため、お客様の期待を越える付加価値を持った再生品を提供することを一番に心がけています。そうすることで、コストメリットのみならず品質面での信頼も得られることで次の受注に繋がっていくものと考えています。一つの例としては、当社では型枠パネルの再生の受注にあたりお客様がどのような建物にお使いになるかを予めお聞きしたうえで、その状況に応じた桟木とベニヤの接合具合の調整を行っており、お客様から新品よりも使い易いといったお声を頂くこともあります。

なるほど。

神) ほかにも、型枠パネルは木製ですのでお客様の保管状態によっては桟木が腐ったり変形したりしていることがあるのですが、そんなときには無理に再生を請け負うことはせず、新品の購入をお勧めするなどお客様にとって最善の提案をすることを心がけています。

今後の展望についてお聞かせください。

神) 現在のところは運搬コストの問題から当社から100km圏内のお客様を対象に再生サービスを提供していますが、需要も順調に伸びていることから、まずは京阪神を中心にサービス拠点を拡げていきたいと考えています。また、ペラペラくん2号機についても関東圏での納入実績を拡げていきたいですね。

型枠パネルの再生というニッチな市場を開拓する同社のこれからが楽しみです。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp