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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2022年9月9日、ものづくり振興課 足利・足立・石飛)
株式会社メディラボRFP(外部リンク)(熊谷代表取締役社長)の魅力をお聞きしてきました。
「破壊された中枢の神経細胞は再生しないので、予防的措置が大変重要」と語るのは、株式会社メディラボRFPの熊谷代表取締役社長だ。
「認知症(変性性認知症)」は、特定のタンパク質が凝集して脳に蓄積し、神経細胞が変性脱落する神経変性疾患が原因で発症する。そのうち、「アルツハイマー病」では、アミロイドβとタウが脳に蓄積し、老人斑と呼ばれる病理像を構成する。こうした脳内の変化は、発症の20年前、だいたい50歳前後から始まり、時間をかけて脳機能を損なうまで中枢の神経細胞が破壊されると認知症を発症するわけだが、それは再生しないというわけだ。
しかし、認知症予防に対する医薬品候補物質は既に見つけられており、大阪公立大学・冨山教授は、ハンセン病治療薬「リファンピシン」に大変強い認知症予防効果があることを発見。神経損傷がストップするのだ。
しかし、リファンピシンを経口で服用すると、肝機能障害を引き起こすという欠点があるため、同社が開発しているのが「経鼻投与剤」。より直接的に有効成分を脳に届けられるため、経口に比べ相当に少ない投与量で効果を得ることができる。つまりは、肝機能障害も起こりにくいわけだ。既に海外でも高い評価を受けており、現在、急ピッチで投与キットの開発等を進めている。
成功率は2.5万分の1とも3万分の1とも言われる創薬開発。不安はないのだろうか?
「私がやらねば」という一心だという熊谷代表。
大手ファーマ時代に、なんと4つもの新薬開発を成功させてきた実績からくる自信がみなぎる。
いくつかの大手ファーマを渡り歩く中で、介護施設のIoTにも携わった。入居者の管理や職員の働き方改革をIoTで進めるというものだが、結局十分な効果を挙げられなかった。「もはや認知症そのものを減さない限り状況は改善しない」と悟り、自らスタートアップ企業を立ち上げた。
創薬を登山に例えるなら、残念ながら失敗しても「この登頂ルートは違うよ」ということを後進に伝えることができる。そうして互いに誰かの失敗を糧に開発を進め、最後に登頂する者が出てくるといった世界だ。しかし、熊谷社長には登頂ルートが既に見えているのだろう。今後、更なる資金調達により開発を加速させる。
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