株式会社Medixpost

知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

  

医療の学びを加速させ人類の健康な未来を実現する

（2024年1月9日、ものづくり振興課 足利・須惠）

お医者さんの医療知識の情報収集を支援しているスタートアップ企業があると聞き、お話をお伺いしにいきました。その名も株式会社Medixpost（京都市下京区）（外部リンク）さん。2022年9月に創業した、その社長は「代表取締役医師」の大平さんです。

お医者さんの抱える困難、医療情報収集

お医者さんの医療知識の情報収集を支援するとのことですが、情報収集が困難ってどういうこと？
医療の進歩に伴って、必要な知識が激増しているということだそう。お医者さんは、WEB講習会や学会などのほか、論文(たいてい英語)で情報を得られているそうですが、例えば脳神経内科領域では、過去40年間で論文数は100倍にも増加してるんだとか。

うーん、でも、例えばどんなことでお医者さんは困っているの？
例えばパーキンソン病。脳の異常のために体の動きに障害が現れる神経変性疾患(進行性の病気)です。既に多くの治療薬があるそうですが、仮に当初効いている薬でも、神経変性疾患故に、やがて効かなくなることも起こるそう。その際には例えばデバイス治療に切り替えるなどすべきですが、パーキンソン病の専門医でない限り、その切り替えのタイミングの判断が難しいらしいのです。他にも他の病気で新薬に切り替えるとか、新しい治療方法に取り組むといったケースで、情報不足により困難を伴うことがあるとのことです。
なるほど。脳神経内科領域には7つ程度の専門分野があり、お医者さんはそのうちの1つの専門分野のエキスパートであることが多いですが、他の6つの分野も診療する必要があるため、専門外の医療情報をたくさん得ないといけないわけですね。

医療デジタルマーケティングによる解決

そこで同社は何をしているのか？
同社のシステムでは、まず、お医者さんが自分の専門分野の医療情報を投稿します。それに対し、他のお医者さんがリアクションするなど、情報共有できます。そこには、専門・最先端の医療情報を交換する質の高い「お医者さんコミュニティ」と、最先端の医療情報という「知の体系」が出来上がります。

そして、この知の体系を欲するのは、あるいはその質の高いコミュニティに広告を出したいのは、製薬メーカーや医療機器メーカーです。彼らは、自社製品のプロモーションのために、製薬企業営業担当者(MR)が、お医者さんに足繁く通っています。しかし、同社の仕組みには、お医者さんのコミュニティが既にあるのです。
よって、お医者さんは無料で投稿・共有でき、製薬メーカーや医療機器メーカーから広告料と引き換えにお金を得るという、医療デジタルマーケティングを構築しているのです。

スペシャリティ領域に特化

同社は、現在、脳神経内科領域に特化してサービスを展開しています。創業1年余りの間に、2,000名以上のユーザーを抱え、そのうち脳神経内科領域のお医者さんは約1,500名。これは全国約9,000名の脳神経内科領域のお医者さんの2割近くに相当する、ものすごい数値です。

しかし、他にも類似のサービスはないのか？
大きな医師プラットフォームは複数存在しているそう。各社は、高血圧などの「プライマリー領域」で「マス」を対象にした広告を得意としているようです。しかし、創薬の時流はシフトしており、かつては生活習慣病向けの低分子医薬の開発が多かった時代から、抗体医薬などの高分子医薬、さらにはペプチドや核酸医薬などの開発が進む時代へ変遷してきたように、同社は、パーキンソン病をはじめとする脳神経内科領域などの「スペシャリティ領域」に特化して、「ターゲッティング」しているわけです。

お医者さんの質の高いコミュニティ

また、スペシャリティ領域を対象に動画紹介をしているサービスもあるそうですが、同社は、「専門医発」の最先端の医療情報を、文章として組み立てられた形で共有する、質の高いコミュニティを形成しています。月間アワードや将来の書籍化など、お医者さんにとって、ある種のステータスを得られる場にもなってきており、質の高さが一層磨かれ、逆に、入門編とは言わないまでも、よりお手軽な知識習得の場づくりや、症例相談の仕組みの開発も進めているという大平さん。

今後もより多くのお医者さんが参加してくれることが重要とのこと。そうすることで、医療の学びを加速させ、人類の健康な未来の実現に寄与していくとのことです！

 

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