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みやこ出版(京都企業紹介)

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BitSummit及び京都eスポーツゲーム大賞タイトル

ゲーム「獄門ペンギン」リリース

(令和2年6月27日、ものづくり振興課 足利)

ゲームタイトル

BitSummit Gaiden(外部リンク)(2020年6月27日~28日)」にオンライン出展中のみやこ出版(外部リンク)(京都市中京区)代表・川中紀陽子さんのお話をおうかがいしました。

インディーならではのシュールなステルス・アクションゲーム

--BitSummit出場チームのうち、京都のチームにアプローチしようと連絡したら、なんと、川中さんでした(笑)。

川中)個人名で活動するのもなんなので、屋号として、去年から「みやこ出版」を名乗っているのです。

--そうでしたか。

川中)京都府さんとはご縁が深いです。もともとグラフィックデザイナーとして働いておりましたが、10年程前に独立した際、当時、太秦の大映通り商店街にあった、UZUという京都府さん運営のコワーキングスペースに入居した際からのお付き合いです。それに、BitSummitをみやこメッセで盛大に開催するようになった際、「集客のために、関連イベントを併催したい」と相談を足利さんが持ちかけて来られ、「ゲーム関連企業合同説明会 Job Jam Kyoto」も開催しましたね。

--懐かしいですね。

川中)今でこそコワーキングとかシェアオフィスは増えてきていますが、どこも、机一つで何万円とかかりますので、起業家には重い負担です。自宅でもいいのですが、すぐベッドがあったり、猫のペットもじゃれてきたりして、なかなか仕事ができません(笑)

--ベッドもペットもね(笑)

川中)そんな中でUZUは5000円くらいと破格だったのです。そこで、同じくUZUに同居されていた開発室Pixelの天谷さんのゲーム開発をお手伝いすることになったのが、ゲームと関わるきっかけとなりました。

--さて、先日25日にリリースされたゲーム「獄門ペンギン」。事前にBitSummit出展全ゲームを拝見した中でも、個人的におもしろそうだなあと思ったゲームの1つでした。本人が前にいらっしゃるから持ち上げて・・・ではなく(笑)。改めてどんなゲームですか?

川中)えっ?!紹介して、京都府さんの品位を落としませんかね(笑)

--たしかにシュールですね、相当。竹刀を持ったペンギンに嬲り殺されるんですから。そのシュールさが、インディーならではでいいんじゃないかと思います。

川中)BitSummitにあわせて、リリースをしたわけですが、ゲームの分類としては「ステルス・アクション」ゲームです。施設内を1人称視点で動き回るのですが、ペンギンに3回見つかったらゲームオーバーとなります。かくれんぼ的な要素ですね。これを「ステルス」と言います。

--なるほど。

川中)しかし、ただ隠れる、逃げ回るだけでなく、対抗手段が1つだけあります。施設内のキッチンにペンギンを誘導しそこに閉じ込めますと、施設を脱出するためのキーを得られます。これが「アクション」です。

コロナ前から、フルリモートワーク

--開発期間はどのくらい?

川中)1年くらいですね。

--チーム構成は?

川中)企画・ストーリー、グラフィックは私自身で行っています。グラフィックを3Dにするところは、京都の企業さんに外注しています。また、プログラミングは、京都の学生にフルリモートで外注しています。

--フルリモート?

川中)最初の面接以外は、たまたま近くに来る用事があったついでなど以外は、全てオンラインです。

--コロナの前から?

川中)はい。私にはできないプログラミングをなさる貴重なプログラマーの方に、1時間かけて通勤してもらうのが、その1時間が、もったいないと思ったんです。それでも、ここに来たがる子もいたのですが、通勤手当を省ける分、時給に乗せることとし、基本全てリモートにしました。

--ほほう。リモートワークの際の留意点はどうですか?

川中)相手の性格等によって、対応を変える必要はありますよね。ToDOリストを渡しておくだけの方が良い子もいれば、細かく見てやる必要がある子もいます。問題が起こりそうになる前に、察知する能力がこちらに必要ですね。そうでないと、何かかみ合わないうちにダメになってしまった・・・ということが起こるのだと思います。

開発風景

ゲーム開発のピラミッド構造

--示唆に富むお話ですね。その他開発におけるご苦労は?

川中)できた、と思っても、半分はうまくいかないということですね。1つのバグを直すと、別のバグは発生し、さっき動いてたものが、ちょっとしたことで動かなくなったり。

--それはゲームエンジンの熟度やクセということですか?

川中)それもありますし、いろいろな要素がありますね。たしかに、エクセルやワードなら、入力したら出力は確実ですが、ゲームエンジンの仕様によって、入力が仕様上想定外のものであるからかもしれませんし、開発者側の問題、ゲームエンジンのクセの問題など、事情は様々ですね。

--なるほど。

川中)よく、ゲーム開発者の交流で、飲み会等があったかと思いますが、私は「このバグを直してくれる人、集まって!」という場がほしいくらいです。

--なるほど。それはそうですよね。

川中)ゲーム開発のステージごとに、悩みは分かれますし、数もピラミッド型になっていますね。初期段階にとどまってる人たちが多く、実際にリリースに辿り着けるのは、ごくわずかです。

ユーザーが審査員

そうなのですね。販売面のご苦労は?

川中)私、ここに籠ってゲーム開発をしているうちに、すっかり人脈をなくしてしまいました。久しぶりにパブリッシャーに連絡しても返事が来なかったり、ということとなるとヘコみます。孤独ですね(笑)。漫画家の方でも、出版社となかなか繋がれず、自らSNSで発信する方も出てきてますが、気持ち、わかります。

--なるほど。

川中)ユーザーの方には、お手柔らかにお願いしますと、お伝えしたいです(笑)。映画とかって、内容がどうであれ、だいたい値段が決まっているじゃないですか。

--そうですね。本だって、漫画だって、内容がどうであれ、大きさ等で決まってますよね。

川中)でも、ゲームはそうじゃないんです。クリアできた時間が短いと「なんでこんなに短くクリアできるのに、この値段なのか」って、けっこうたたかれたりするんですよ。値段に対して結構シビアです。特に日本の方は。

--お客さんが審査員なのですね。

川中)そうですね。

BitSummitを通じて世界へ

--今回、Steamを通じてのリリースですね。世界最大のプラットフォームですね。

川中)今回のリリースが、ゲーム開発を続けていけるかの試金石だと位置づけています。Steamにしたのは、海外に売っていきたいからです。今回のBitSummitは、公式の海外メディアがあまり多くないので、少し残念に思っていたのですが、今朝になって、海外のメディア数社から、「BitSummitにあわせて生配信していいか?」と連絡が来たのです。とても嬉しいです。

--いいじゃないですか!!

川中)しかし、私も多言語対応できないので、わずかに残っている知り合いのツテを通じて、多言語対応を、先ほど頼んだのです。これが、リアル開催でどこかに集まって、となれば、とても無理な話なのですが、オンラインでのやりとりなので、なんとかなりそうです。オンライン開催のメリットの1つかもしれませんね。

--なるほど。

川中)BitSummit自体は、とてもありがたいイベントです。ある四国の県では、ゲームに対して厳しい意見が出ていたりしますけど、京都府がゲーム産業を応援してくれるというのは、ゲーム開発者にとってとてもありがたいものです。

 

 

ぜひ成功を祈ります!!

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