ここから本文です。
知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和2年8月8日、ものづくり振興課 足利)
mui lab株式会社(外部リンク)(中京区)の「mui」。静電容量方式による「木」のタッチパネル・ディスプレイで、様々な情報表示が可能なこのテクノロジーインテリアが、今年のCES2020でBest of CES賞に輝くなど、世界への扉を拓きつつあります。
BtoBによるハードウェア実装とカスタムソフトウェア開発から、今後は、HEMSへの本格展開も待ち望まれるところ、本社横にサロンを期間限定オープンされました。
この施設、同社だけでなく、他の企業、スタートアップのワーケーション、サテライトなどシェアリング活用も視野に入れてらっしゃいますので、ご関心のある方は是非ご連絡を!
Muiがお出迎え。「京都府ご来社」と。ありがとうございます。
3階建で、中は広々!
こうした映像芸術も。
muiは、案内表示や、美術品の説明など、様々な使われ方をしています。
(掲載日:平成30年9月13日、聞き手・文:ものづくり振興課 恩地)
【 mui 】
mui lab株式会社(外部リンク)(中京区)の大木CEOにお話をおうかがいしました。
―企業の概要について教えてください。
大木) 当社は、京都市中京区において、平成29年(2017年)10月末に創業しました。
それまでは、私は、NISSHA(株)のシカゴやボストンの海外拠点で駐在員(営業)として海外勤務をしておりました。2015年11月に現在の共同創設者である廣部延安が私と出張でニューヨークに訪れた際に、社内で始まろうとしていたベンチャー制度に共同提案することを決心し2016年2月より当初のプロジェクトがスタートしました。2017年9月のIndustry Co-Creation参加後、起業を決意しUSA滞在中にmui Labの起業を提案、社内初のベンチャー企業として新会社の設立が認められ、現在は、約10名のメンバーで「 mui 」の開発をおこなっています。
―その「mui 」とはどのような製品ですか?
大木) 開発しましたIoTパネル「mui」は見た目はインテリアの木の佇まいをしていますが、実際は自社開発の木目調タッチパネルとディスプレー、そしてOS搭載のコンピューターが内蔵されており、自社で手掛けるクラウドに接続し、他のプラットフォームと連携しています。日本家屋の「梁」から着想を得て居住空間になじむようにデザインしました。生活に寄り添い潤いや広がりをもたらすプロダクトです。会社名にもなっているmuiは、作為的でなく自然なさまであることを意味する「無為自然」から名付けています。そのようなライフスタイルを私たちの製品やサービスを通じて提供していきたいという願いをこめています。。
―「mui」とはどのようなコンセプトや想いがありますか?
大木)「mui」を通じて実現したいことは、テクノロジーを介して生活を便利にすると同時に、身近な自然を思い出すこと、美しさを再発見すること。生活の中心に一片の木が存在することで温かみが生まれ、テクノロジーの冷たさをやわらげる。その空間で豊かな時間を過ごすために、無為自然に静かに佇むプロダクトとして、「mui」は、木とテクノロジーを融合した形で生み出しました。
(外部リンク)(外部リンク)
―なぜこのような製品を開発しようと思われたのですか?
大木)NISSHA(株)の現地法人NISSHA USA, INC. で事業開発、営業としてアメリカで企業様にユーザーインターフェースにまつわるNISSHAのコア技術を通じたバリュー提供を行っていました。昔から建築デザインに興味があり、自社の商材を使ったプロダクトの商品化ができないかと思っていました。その時に自社開発の加飾フィルム技術であるIMD技術※をコアにタッチパネルセンサー技術を応用したウォールタイル(別添写真参照)を現在のmuiの前進となるチームで発案、ニューヨークの国際家具展示会ICFFへ上梓しました。それが、建築専門誌Architect Newspaperの目に留まり、2015年のBest Of Products Awardを獲得するなど海外で大変好評でした。ちなみにNISSHAのタッチパネル技術は最新のゲームやスマホなどの情報端末にも採用されており、IMD技術は自動車内装や家電のユーザーインターフェースパネルとして高いデザイン性が評価されています。高い技術力にデザインの力が加わり、国際的にも評価を受けたウォールタイルを商品化したものが現製品「mui」の当初のコンセプトの一つになっています。
(※)IMDは、「In-mold Decoration」の略語で、射出成型の金型内で転写箔を用いて、加飾と成型を同時に行う技術であることから名付けられたNISSHA(株)の登録商標です。
―製品デザインや素材はどのようなところにこだわられてますか?
大木)私たちはテクノロジー(コンピューター)と私たちを介する存在であるインターフェースに注目しました。私たちはいつもスマホを介在した情報環境に囲まれて、テクノロジーと暮らしています。テクノロジーはとても便利で役に立ちますが、時に冷たさを感じます。住空間で何も表示されない機器がおかれている様子は、とくにそうで、いつくるかわからない通知を待っているとさびしさすら感じるかもしれない。端末を通じて遠くの人とばかりつながることが増え、実は大切な身近な人とのつながりが薄れているかもしれません。私たちはインターフェースを「テクノロジーのたたずまい」と考えます。一方で、そのたたずまいは、私たちがこれまで大切にしてきた生活との調和が十分とれていないと考えました。私たちはさまざまな空間で時間を過ごしています。働いたり、暮らしたり、休んだり、眠ったり、食事をしたり。人が過ごす空間における「テクノロジーのたたずまい」を改めて考えた時に、古くから最も身近な素材の一つであるオーガニックな木の質感に注目しました。木をはじめとしたあたたかみのある素材というインターフェイスを介して情報や必要な機能にアクセスすることはテクノロジーの冷たさをやわらげてくれるのではないかと考え、デザインしました。
―今後の展開について、教えてください。
大木)現在は、「mui」の量産化に向けてチーム一丸になって動いております。その後については、既にビームスジャパンへの採用、またミサワホームなど住宅メーカーにてご採用を頂いておりますが、今後広がる「民泊」など新しいライフスタイルへの展開、ホテル客室向け、オフィスなどへの販路拡大をはかるとともに、現在の形状にこだわらず無為的なデザインの良さを生かした自動車の車内コンソールのデザイン、またAIスピーカーなどお客様のアプリケーションに対してmuiの技術資産(特許)を活用した応用展開も視野にいれております。、引き続き「mui」の認知度やたたずまいの魅力、その先のライフスタイルを提案できるようなプロモーション活動を通じて製品の魅力を発信していければと考えています。
これまでになかった「無為」の市場規模を拡大し、将来的には、快適な人とテクノロジーの関係を表す表現の一つとして「無為的だ」「~無為化する」などがSonyのWalkmanのように言語化され、無為という人とテクノロジーが調和しているという概念を創造していきたいと願っています。。
京都の新興企業の新たなプロダクトの躍進に注目です!
【mui 株式会社の社員のみなさま】前列中央の白いシャツの男性が大木CEO、左端の緑色のシャツの男性が共同創設者の廣部延安さん
お問い合わせ