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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2022年9月1日、ものづくり振興課 足利・石飛)
オルバイオ株式会社(外部リンク)(京都市/山口栄一代表取締役CEO、飯嶋秀樹代表取締役COO、山田勝也取締役CMO)の魅力をお聞きしてきました。
「スタートアップ企業故に、あえて難治性がんの治療革新に挑んでいる」と語るのは、山口CEO。その具体的な手法はこうだ。すなわち、悪性腫瘍細胞に選択的に侵入できるL-グルコースを「木馬」として、抗がん剤候補分子CLGやALGを「武器」として繋いだ「トロイの木馬」分子(オルバイオ分子)を、DDS(ドラック・デリバリー・システム)として利用するというもの。
「木馬」の仕組み、すなわち、選択的に侵入できるとはどういうことか?
天然に普通に存在し、ほぼ全ての細胞が栄養素、エネルギー源として利用するブドウ糖(D-グルコース)。そのキラル分子であるL-グルコースは自然界にはほとんど存在しないが、同社はこの合成技術を有する。
そして、悪性腫瘍の場合は、G-グルコースが通れる通常のグルコース・トランスポーターのほかに、L-グルコースが通れるチャネル様タンパクと呼ぶ入口ができるのだ。
では「武器」の仕組みは?
CLG、ALGとも同社発の新物質だ。例えばCLGは細胞の核の中にまで入り込み、細胞分裂、すなわち、腫瘍の増殖が抑制され、細胞塊の崩壊が認められている。
まず、正常細胞に取り込まれないため、副作用が小さいと考えられる。また、外科手術のようにがんがある程度大きくなってから除去する方法とは異なり、たった1個の細胞でも、がん細胞を消失させることができ、PETやCT、MRIなどの最新の診断法を用いても見つからない段階で治療することが可能となる。
遺伝子やタンパク質に注目したアプローチではなく、増殖する細胞が必要とする栄養素に新しい角度から焦点を当てた技術であり、外科手術、抗がん剤などの薬物療法、放射線療法、免疫療法に続く、まさに「第5のがん治療」だ。
膵臓がん、胆道がん、卵巣がん、肉腫など難治がんの治療の革新を目指す。
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