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株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ(京都企業紹介)

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世界チャンピオンレベルのCO2選択透過膜の応用展開

(掲載日:平成29年6月20日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ(外部リンク)京都開発センター(京都市伏見区)の中藤センター長様にお話をおうかがいしました。

世界チャンピオンレベルのCO2選択透過膜

―まず、事業の概要を教えてください。

中藤) CO2選択透過膜の研究開発を行っています。当社でコア技術の研究開発を、住友化学株式会社との合弁会社CO2 M-Tech株式会社で、そのモジュール化を行っています。こうしたCO2分離技術は、主に水素の製造や天然ガスの精製現場において、目的のガスからCO2を除去するのに用いられたりしているものです。

―「膜分離法」には、水分子のみを通すRO(逆浸透膜)、低分子を通すUF(限外ろ過)、高分子を通すMF(精密ろ過)などがあると聞きますが、それらとは違うのですか?

中藤) そうした、膜に無数に開いた孔径の大きさでガス分子をふるい分ける「分子ふるい膜(モレキュラーシーブ)」とは違って、大きさが様々な分子が混在する中で、大きさの違いでのふるい分けによらず、CO2を選択的に透過させる膜です。

―どういう原理なのですか?

中藤) 膜の中に含まれる、あるキャリアーが、高圧状態の原料側ではCO2を溶解し、それより低圧の透過側でCO2を放散するのです。こうした膜を開発しているところは他にもありますが、当社のCO2選択透過膜は、CO2分離能力の高さ(分離後のCO2の残留濃度の低さ)、CO2分離スピードの速さともに、他の追随を許さないチャンピオンレベルにあります。当社は、キャリアーや膜構造に関するノウハウが豊富なのです。

 

コンパクト&エネルギー消費の低さで他の分離技術を凌駕

―すごいですね。この方式のメリットは何でしょうか?

中藤) こうした、圧力差を利用して膜を介して分離する「膜分離法」以外のCO2分離技術には、アルカリ性溶液を吸収液として化学反応によってCO2を吸収する「化学吸収法」、メタノール等の吸収液を用いて高温高圧化で物理的にCO2を吸収する「物理吸収法」、ゼオライトや活性炭等の多孔質の吸着剤を用いてCO2を吸着させる「吸着剤分離法(PSA)」などがありますが、いずれも大型設備が必要であったり、高価であったりしますので、普及に障壁があります。

―そうなのですね。

中藤) しかも、それらはエネルギーを多く消費するプロセスであるため、CO2の除去の段階で水素製造プロセスの効率を低下させてしまっています。

―なるほど。

中藤) それに対し、当社のCO2選択透過膜は、例えば既存の化学吸収法に比べてプロセスがシンプルで、設備の大きさは半分以下、エネルギー消費も大幅に削減できます。数十ミクロン程度の薄い膜なので、CO2の放散に必要なエネルギーが、CO2溶解の際に生じるエネルギーで賄え、この工程でのエネルギー消費はほとんどないのです。

 

水素プラント、宇宙、そしてバイオガス

―素晴らしいですね。御社の強みはどういったところにあるのでしょうか。

中藤) 社長の岡田は、大手エネルギー会社出身で、もっとアクティブに新しい研究開発をしようということで当社を立ち上げました。関連業界の第一線で活躍してきたメンバーが集うとともに、何より大学の、第一人者の先生方と連携させていただいている点が最大の強みではないかと思います。

―今後の展開は?

中藤) これまで、水素プラントでのCO2分離プロセスの研究開発を行ってきました。これは、高温・高圧の分野です。一方、常温・低圧の宇宙(宇宙船内)分野用も研究開発済です。現在は、その中間の部分のバイオガス分野用の研究開発の実用化を進めています。

―バイオガスですか。

中藤) バイオガスは、家畜の糞尿や食品残さなどの有機性廃棄物が嫌気性微生物の働きによってメタン発酵することで発生します。その他、下水や汚水処理の過程の嫌気性消化処理によっても発生します。バイオガスには、約60%のメタンのほか、約40%ものCO2が含まれているため、特に下水消化ガスについては、国内では、エネルギーとしての有効利用が進んでいません。

―そうなのですね。

中藤) しかし、バイオガス中のCO2を除去できれば、熱効率も出力も向上します。現在、バイオガスから発生した電気は、固定価格買い取り制度で買ってもらえる状況で、バイオガス発電、そのためのバイオガスエンジンも普及しつつあります。CO2膜分離によるバイオガス発電の高効率化、コストダウンは有望な技術であり、今こそ、こうした分野での展開を強化していく時だと考えています。

 

益々の発展が楽しみですね。

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