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有限会社綵巧(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。

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強くて裏表がない「三軸組織」のコラボレーション募集中!「知恵の経営」オンラインセミナーにも御登壇

(更新日:令和2年6月10日、掲載日:令和2年6月1日、文:ものづくり振興課 足利、岩橋)

「知恵の経営」認証を取得された有限会社綵巧(外部リンク)

「全て経糸なのか!」「経糸の上下運動機構をまるで90度倒す形なのか!」など、驚きがいっぱいの、世界オンリーワンの「三軸組織」。
縦横方向(四角)でなく、三軸(三角)で強度は高く、裏表なし!帯はもちろん、様々な用途で引き合い多数!ぜひコラボレーションも待ってます!

 

ウェブセミナー画面

京都商工会議所「知恵の経営」入門セミナー(外部リンク)(オンラインセミナー、令和2年6月10日まで配信中)にも登壇されました。

分業とそれをまとめる悉皆屋さん。そういう業界イメージとは異なり、原料の糸、製織後の整理加工以外の製紋工程、糸繰り、製織工程を全て「内製化」。
あるいは、世界唯一の「大型環状織機」により文字通り同社にしか作れない「三軸組織」製品を生み出し続ける。
そうした同社ならではの「知恵」を、改めてまとめられた経緯や感想を余すことなく語ってらっしゃいます。

少し「ネタバレ」しますと

  • 「(知恵の経営報告書づくりについて)最初は半信半疑だったが、今は、もっと早く取り組んでおけば良かったと思っている。」
  • 「フォトショップは毎日使っているが、ワードやパワーポイントの使い方から支援員に教えてもらった。」
  • 「わかりやすくまとめることでスタッフどうしの連携もとりやすくなり、朝晩の挨拶から変わってきた。」

などなど。動画(外部リンク)後半をご覧ください。

 

世界オンリーワンの技術を世界ナンバーワンの技術に!

(掲載日:令和2年3月3日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)

有限会社綵巧の社長(左)と室門取締役(右)
平成30年度「知恵の経営」認証企業、有限会社綵巧(外部リンク)(京都市)の室門取締役(写真右)にお話をお伺いしました。
(認証企業紹介チラシはこちら

「分業」に逆行!「社内一貫体制」で他社には真似のできないものづくりを

―まずは、御社の概要を教えてください。

室門)弊社は、1924年に京都市北区にて、きもの生地の製織を行う事業者として私の祖父が創業しました。その後、1997年に私の父(写真左)が原谷工場を建設し、事業を本格化しました。現在は「他社には真似のできないものづくり」をモットーに、弊社独自の技術である「三軸組織®」織元、そして西陣織織元として、私ども親子も含め12名の職人とともに織物製造業を行っています。

―そうなんですね。「他社には真似のできないものづくり」として、御社にはどのような特徴があるのでしょうか。

室門)二つあると思います。一つは、西陣織工程の内製化です。一般的に西陣織は製造工程が複雑であるため、糸染屋や機屋、紋屋などをはじめとする現場職人の分業制となっており、それらをまとめる織屋と呼ばれる業者が「帯」や「着物」を製造しています。各工程においてのスペシャリストが、ものづくりに携わることで良い商品ができあがりますが、一つの工程に問題が出れば商品の価格や納期等に大きく影響が出るといった課題もあります。そういった課題を受けて、弊社では約20年前から設備導入に力を入れ、現在では、11台のジャカード織機、1台の広巾四重経手織、5台のレピア織機、そして、弊社にしか存在していない2台の大型環状織機等の設備を保有しています。弊社には20代~70代まで各年代ごとにそれぞれ職人が在籍していますが、これらの設備を職人たちが活用しながら、原材料の仕入れ及び整理加工を除いて、全て社内一貫で行う製織体制を構築し、企画・デザインから製品化までワンストップで行っています。

―なるほど。

室門)このような体制により、一般的な分業による製造体制では受注から10日間かかるようなものでも、弊社では3日間で製造することが可能であり、納期や企画提案のスピードが段違いです。品質についても、長年で培った様々な技術を、若手職人にOJTで指導・育成することにより継承していく環境が整っており、技術継承が比較的うまく進んでいることから、質の高い製品提供ができていると自負しております。

世界に2台しかない大型環状織機を活用した独自織物「三軸組織®」

―すごいですね。

室門)もう一つは世界で弊社だけが保有する大型環状織機を活用した独自織物「三軸組織®」です。

世界に2台しかない大型環状織機1 世界に2台しかない大型環状織機2

―世界で唯一御社だけが保有しているということは、「三軸組織®」も御社しかできない製法ということですね。まず、大型環状織機とはどのような織機なのか教えてください。

室門)大型環状織機は、直径約5m、高さ約5mの巨大な織機です。480個のボビンに5,000本以上の絹糸と200kg以上の重りを使用して、30cm~40cm巾の生地を組み上げます。通常の織物では、経糸に縦方向のみにテンションをかけて織り上げるのに対して、「三軸組織®」は円形織機であるため360度全方向に200kg以上のテンションを均一にかけながら組み上げていきます。
それによって、全方向に対する伸縮性が生まれて、帯地として緩みにくいという特徴を持っております。「大型環状織機」は、約50年前に京都西陣の先人が正倉院に残る組み帯を、現在の30cm以上の帯巾で復元することを目的として開発されました。主に、帯地を製織することを目的として設計されており、帯地にとって必要な特性を全て兼ね備えた生地を織り上げることができる理にかなった構造をしています。当時、6台の大型環状織機が製造されましたが、現在、可動する機械としては、当社が保有する2台のみとなりました。

―そうなんですね。その大型環状織機を活用した「三軸組織®」とはどのようなものなのでしょうか。

室門)「三軸組織®」は、組紐の技術を取り入れた京くみひもの生地で、真っすぐな経糸に対して、二方向からの経糸が斜め45度の角度で交差するという複雑な技法で織り上げられる織物です。その特徴として、斜め組織により緩まず、シワにもなりにくく、複雑に交差した糸によって光の屈折が生まれ、独特の光沢を放ちます。また、多彩な色糸を使用することで、グラデーションを表現できることも特徴です。この織り方で30cm幅以上のものを織るのは、弊社が保有する大型環状織機でしか不可能であり、すでに商標登録も済ませ、自社のオンリーワンと言える技術です。

三軸組織の構造

三軸組織の商標

三軸組織の帯

「三軸組織®」構造

「三軸組織®」商標

「三軸組織®」製品例(帯)

 

―なるほど。「三軸組織®」はどのようなものに使われているのでしょうか。

室門)着物の帯が主用途ですが、海外の某有名ブランドのドレスやバッグの生地に採用されたほか、名刺入れや財布、帽子、ひな人形の生地に使われるなど、様々なものに活用されています。また、表裏なく強度もあり、斜めのグラデーション柄であることから様々な分野からのお問い合わせをいただいております。

「知恵の経営」に取り組み、今後の事業展開の基礎を構築

―今後も様々な用途に使われていくといいですね。「知恵の経営」にも取り組んでいただきましたが、取り組まれてみていかがでしたか。

室門)会社の強みと課題を可視化できたという点で非常に良かったと思っています。また、可視化にあたっては京都商工会議所さまに大変お世話になり、第三者の視点も交えながら、自社の分析をしっかりと行うことができ、非常にありがたかったです。作成した報告書は従業員にも共有し、会社全体の目的意識を高めることができましたので、従業員のモチベーションアップにもつながったと思います。

―今後もぜひうまく活用してくださいね。最後に今後の事業展開について教えてください。

室門)まずは、「三軸組織®」の商品の価値向上とブランド構築に積極的に取り組んでいきたいと考えています。今後は積極的に自社で様々な展示会に出展し、自社ブランドとして知名度を向上させるとともに、エンドユーザーの声も取り入れた商品作りをしていきたいと考えています。その上で、自社の世界オンリーワンの技術を世界ナンバーワンの技術にしたいと考えています。

―今後の展開が楽しみですね!

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商工労働観光部産業振興課

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