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株式会社写真化学(京都企業紹介)

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京都品質

高性能撹拌脱泡装置「Kakuhunter」とマセレータ「Vernacare」

(掲載日:平成29年5月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 

株式会社写真化学(京都市)の城田本部長様にお話をおうかがいしました。

印刷製版から先進エレクトロニクスへ― メディア×プロダクトの総合カンパニー

―古い歴史をお持ちの会社ですよね。

城田) はい。1868年、明治初年に銅板彫刻印刷を開始したのが始まりです。「石田式フィルム」の開発など、製版技術をコアに事業を拡大してきました。ちなみに、「ガラススクリーン」の開発によって、現在の株式会社SCREENホールディングス様につながる大日本スクリーン製造所を社内に開設し、1943年に分離独立しました。また、2001年には、当社のファインテクノロジー事業部、サーキット・ボード事業部を分離独立し、液晶用大型フォトマスクで有名な株式会社エスケーエレクトロニクス様が設立されました。

―そうだったのですね。御社の概要を教えてください。

城田) 従業員約225名で、大きく2つの部門があり、まず1つ目の「メディアカンパニー」は、当社のコア技術である印刷製版技術をベースに、印刷、グラフィックデザイン、ウェブ制作、映像制作、展示会や学会などにおけるスペースデザイン、ITシステムやiPadサービス、衛星画像提供サービスなどを手掛けています。もう1つの「プロダクトカンパニー」は、長年培った固有のコア技術と総合力を融合し、攪拌脱泡装置、3D光造形装置、精密測長などの検査・計測装置、二次電池の生産・検査設備、粉体処理システムなどの製品とソリューションを提供しています。

公転自転を自在にコントロールする高性能撹拌脱泡装置「Kakuhunter」

―攪拌脱泡とは何ですか?

城田) 1990年代に、電子部品の小型化に伴い、電子材料の精密攪拌と攪拌時に混入する泡の高精度な脱泡が求められるようになったのです。当時の公転自転方式の撹拌脱泡装置は、公転と自転の回転比率が固定でした。そこで1992年に、公転と自転の回転比率を変更可能にした機構、すなわち公転自転セパレートコントロールシステムを搭載した高性能攪拌脱泡装置を開発しました。これが現在の「Kakuhunter(カクハンター)」シリーズにつながっています。

―具体的にはどんなことができるのでしょうか?

城田) 簡単な例で申しますと、印刷インキの「攪拌(かき混ぜ)」、高粘度接着剤からの「脱泡」、蛍光パウダーと樹脂の「分散」、カラーストーンの「粉砕」、粘土の「混錬」、接着剤とカラーストーンの「分離」、卵と油と酢の「乳化」などです。電子材料から、化学材料、エネルギー材料、化粧品材料、医療品材料その他、様々な分野で、封止剤、接着剤、導電性ペースト、コーティング剤、カーボン材、UV塗料、粉体、その他の材料向けに用いられています。

  

―Kakuhunterにはどういった優位性がありますか?

城田) 世界トップクラスの性能を誇ります。まず「攪拌」については、他の方式、例えばプロペラ式、3本ロール式、ローラー式などに比べて、極端に時間は短くて済みます。また材料を入れた容器そのものでハンドリングするため、他方式では不可欠な材料変更時に於けるタンクやプロペラ、ローラー等のクリーニングに時間を取られることもありません。更に、公転と自転の回転数を組み合わせることで、粘度を問わず多種多様な材料に対応できるといった大きな特徴があります。次に「脱泡」についてですが、通常の真空脱泡装置や遠心分離機は、吹きこぼれや分離が起こるといった恐れがありますが、Kakuhunterでは、そのようなことを防止できます。

―どういう機能、性能があるのでしょう?

城田) 公転・自転比セパレートコントロールシステムにより、公転と自転の比率を可変することができ、90通りの回転パターンを設定できます。あるいは、ステップ運転と言って、複数の異なる動作パターンを連続して行うことも可能です。さらには、真空減圧機能により、ごく微細な泡も除去できます。

―なるほど。

城田) 例えば、セラミックスは耐摩耗性や耐熱性等に優れ用途が広いですが、硬いのでダイヤモンド工具で加工するため、セラミックス製品は高価となりがちです。そこで、セラミックスパウダーと熱可塑性樹脂を混ぜて溶融させて成形するという対応があるのですが、その際にいかに均一に攪拌するかが重要なのです。しかし、公転と自転の回転数のコントロールができない装置では、攪拌中に材料温度が上昇してしまい、品質維持に問題が起こる可能性もあるのです。Kakuhunterは、回転数をコントロールできることに加え、真空装置が稼働することで、温度上昇を抑えながら効果的な攪拌脱泡が可能となるのです。

マセレータ「Vernacare」

―素晴しいですね。さて、今回、新商品「Vernacare」の発売を開始されましたね。

城田) 病院等向けの汚物処理のマセレータでして、専用のパルプ製尿器・便器を、汚物ごと投入するだけで、約2分で粉砕・下水処理をしてくれる、使い捨てベッドパンシステムです。英国製品をベースに日本規格(100V)対応に変更するとともに、当社の攪拌技術を活かして電流・電圧の変化に対して安定した撹拌機能を維持するよう改良し、当社が総販売元として展開しているものです。

―英国からですか。

城田) 日本では、従来、排泄物処理が遅れてきたのが実態です。排泄物をトイレに流す時の飛び散りが感染の伝播につながるという問題があるため、最近ようやく、尿器や便器を高温洗浄・消毒を行うBEDPANWASHERの導入も進んできました、BEDPANWASHERは、いわば「食洗器」のように洗浄処理するものですが、このVernacareは、下水処理するものです。

―なるほど。

城田) Vernacareは、洗浄・消毒のための時間が不要であり短時間で済み、電気や水の使用量も少なくて済む反面、パルプ容器の維持管理費が発生するため、BEDPANWASHERとは求められる場面、施設や役割が異なっていると思います。ただ、いずれにしましても、まだまだ日本では手で洗浄しているところが多いのが実態であり、普及を図っていきたいのです。

 

今後の展開が楽しみですね。

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