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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。
(掲載日:令和2年11月9日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)
令和元年度「知恵の経営」認証企業、株式会社タケダ(外部リンク)(京都市東山区)の竹田代表取締役(写真中央)様にお話をお伺いしました。
(認証企業紹介チラシはこちら)
―まずは、御社の概要を教えてください。
竹田)弊社は明治26年に創業し、今年で127周年を迎える材料商社です。私の曽祖父の竹田千藏が福井県の小浜から京都の染料問屋に丁稚奉公に入ったのが明治10年代ですが、その後、修行の後に独立して弊社の前身である竹田千藏商店を開業したのが始まりです。
―とても歴史のある会社さんですね。具体的にどのような材料を提供されているのでしょうか。
竹田)主にものづくり企業様に化学薬品や工業薬品、塗料・染料、樹脂、接着剤、伝統工芸資材(白蝋・木蝋、にかわ、とくさ、とのこ等)などの幅広い材料を提供させていただいております。取り扱い品目は現在、7,000品目を超えており、仕入れ先も約740社で、かつ、その約半数が50年以上のお付き合いとなっているなど、幅広いネットワークと古くからの信頼関係を駆使して、お客様のニーズに迅速に対応できる点が弊社の強みです。「こんな物も取り扱っていたの?」と言われることも多く、京都のものづくり現場を陰で支えさせていただいていると自負しております。
(左:扱っている各種蝋・研磨剤等、右:電子部品用樹脂)
―すごいですね。このような材料商社というのは珍しいのでしょうか。
竹田)京都では私どもと同じように染料を扱っている専業の染料屋さんがいくつかありますが、これだけ幅広い材料を扱い、多種多様なお客様と取引しているのは私どもの会社だけだと思います。
―そうなのですね。現在はメーカー自身が販売会社を立ち上げ、直接取引されるケースも多く、卸売自体が減ってきているという話もありますが、御社がこれだけ長く続けてこられた理由は何だと思われますか。
竹田)弊社がお客様のニーズに応え続け、取り扱うメーカーや品目に限らず、多少無理をしてでも調達可能なものは入手してお客様にお届けし続けた結果だと思います。京都を代表する企業の一つである大手電子部品メーカー様とは60年を超える長年のお付き合いですが、サンプルの手配や納期の調整などきめ細やかに対応してきました。同社には今でも樹脂を初め、様々な材料を提供させていただいております。このように会社の大小に限らず、一度築いた信頼関係を大事にし、深く繋がってきたことが長く続けてこられた理由の一つだと思います。
―京都という土地柄ならではの強い信頼関係が感じられるエピソードですね。
竹田)また、材料自体も仕入れてそのままお届けするだけでなく、梱包してより分かりやすいにラベルを貼ることなどで、お客様が管理しやすいように配慮したり、弊社の過去の実績と経験による知識と取引先の知識を掛け合わせることで、お客様のニーズに合った材料を提案しています。このように商品をより分かりやすく、かつお客様により適したものを提供してきたほか、入手が困難で提供の継続が難しい材料についても代替品となりうるものを探し、粘り強く対応してきたことで、材料商社としての存在感を高めてきました。
―素晴らしいお取り組みですね。また、御社は材料商社に留まらず、新たなお取り組みを始められましたね。
竹田)長年培ってきた顧客ニーズに応じた材料を仕入れて提供するという老舗材料屋ならではのプロデュース力を活かし、伝統工芸に関わるお客様をコラボレーションさせ、現代のライフスタイルに合った伝統工芸を活用した商品開発に取り組み始めました。弊社は材料屋として、長年、250社以上の職人さんと関わり、匠の技を熟知しています。仏具として使われてきた錺金具を作る技、京焼・清水焼等の手作りの焼き物を作る技など、弊社が間に入り、それらを掛け合わせて新しい商品開発ができれば、非常に面白いものができるのではないかと考え、創業当初の屋号を活用した自社ブランドを立ち上げました。
神仏具の錺職人の技術を活かし、伝統的な意匠をモチーフに現代のライフスタイルに合ったアクセサリーや、京焼・清水焼と錺金具の互いの高い意匠性をコラボレーションさせたインテリアグッズなどを開発し、伝統とモダンを掛け合わせた商品提案で新たな市場を開拓していきたいと考えています。
(左:伝統工芸士との打ち合わせ、右:ブランドロゴ)
―面白いお取り組みですね。
竹田)弊社は京都駅と清水寺の間にあり、かつ、近隣に京都国立博物館もあるという非常に好立地な場所に所在しております。将来的には弊社の店舗を改修し、コロナ収束後に回復してくるであろう観光客をターゲットに取組を進めていきたいと考えています。
―なるほど。「知恵の経営」にも取り組んでいただきましたが、きっかけは何だったのでしょうか。
竹田)京都商工会議所の青年部で仲良くさせていただいているいくつかの企業さんから自社の経営資源を棚卸しして、強みと弱みを分析し、今後の自社の経営を考えるのに「知恵の経営」は非常に良いという助言をいただいておりました。私自身、先代から引き継ぎ、会社をどうしていきたいのか少し悩んでいた時期でもありましたので、思い切って取り組んでみました。
―そうなのですね。実際に取り組んでみていかがでしたか。
竹田)自社の取引先及び取扱品目の洗い出しから、取引データの分析、現場でどのような声を聞いてきて、どのような対応をしてきたのかなど、徹底的に自社の現状を洗い出しました。それにより、特定の企業に依存している状況や逆に狙い目である市場が見えてきたほか、自社の強みを活かした新規事業の検討も併せてすることができました。また、先代の取引先との関係構築などの工夫も垣間見え、それらの知恵を従業員と共有し、今後の方向性を定めることができましたので、本当に取り組んでよかったと思っています。
―最後に今後の事業展開について教えてください。
竹田)特定の企業に依存している取引状況について見直しを図り、会社経営のリスク分散を行うとともに、現在、取り組んでいる新規事業を事業化させ、事業の多角化を図ることでこの厳しい社会情勢を乗り越えていきたいと考えています。
―今後の展開が楽しみですね!
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