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有限会社畳工房ヨシオカ(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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介護防災備蓄畳ひと安心、健康畳床(有限会社畳工房ヨシオカ

(掲載日:平成27年12月25日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 薄くて軽量、クッション性と断熱性に優れた、畳そっくりの見た目・触り心地のウレタン製マット「介護防災備蓄畳ひと安心」。防水加工で丸洗いでき、抗菌加工で衛生的。災害時の屋外使用や、介護現場での転倒リスクの対策等にも活用できます。

 本製品を開発された有限会社畳工房ヨシオカ(外部リンク)の吉岡芳憲社長にお話をおうかがいしました。(平成25年度経営革新企業)

様々な風合いを楽しめる木の織物「華織木ウッディタタミ」

―まず最初に、御社の概要を教えてください。

吉岡) 京都府北部の与謝野町で畳製造業を営んでいます。京丹後市にて明治8年に創業し、私で5代目です。現在息子も会社で働いています。

―畳にはどんなラインナップがあるのですか?

吉岡)この業界は受注生産が基本です。同じ「8畳」でも家や部屋によって微妙に大きさが違うため、その都度採寸して作ります。また、自社製品だけでなく、仕入品や、仕入品をベースにカラー表などをオリジナルの畳に加工したものなど、お客様のご要望にお応えするため、幅広く対応をしています。

―畳にもいろいろあるんですね。

吉岡) 畳は大きく分け、表面の「畳表」と内部の「床材」の2つで構成されています。畳表の代表格はイグサです。中国産などの輸入品も多く流通していますが、当社の場合はお客様のお求めで国産イグサの取扱いが大半です。また、当社オリジナルの畳表として「華織木(かおりぎ)ウッディタタミ」という自社製品もあります。これは天然銘木を薄くスライス、裁断し、糸状にしたもの京都の織物屋さんに半手機で織り上げていただいている「木の織物」です。

―木の織物ですか!?

吉岡) はい。撥水加工処理により汚れがつきにくく、イグサより耐久性に優れます。畳表の材料を変えることで、様々な色や風合いをお楽しみいただけます。今では一般的になりましたが、和紙を使った「和紙表」も他社に先駆けて取り扱ってきました。和紙表はイグサの4倍とも言われる強度があり、何より、カラーと織柄が選べるので人気です。

 

呼吸する!?万能な「健康軽量床畳」

―床材にはどんなものが使われているのですか?

吉岡) 昔は稲ワラが使われていましたが、住宅の機密性が高まってきた現代は、軽量で耐湿性、耐熱性に優れた石油発泡スチロール系木質ボード(ポリスチレンフォーム、木質性インシュレーションボード)が多く用いられています。当社では、京都大学白石名誉教授と共同で開発したバイオマス発泡ボードを使った「健康軽量畳床」(特許取得)が人気です。従来のわら畳の約2分の1の軽さで抜群の耐熱性を有するだけでなく、気泡が連なった構造をしているため、炭と同様に吸湿・放湿機能を有し、室内の温度調節にも寄与しますから、カビ・ダニを助長しにくいという衛生面の特長もあります。

オリジナル畳、口コミで!

―大変ユニークな製品をお作りですが、顧客開拓はどうされてますか?

吉岡) ほとんど口コミや紹介で、広告は出していません。遠くは関東からもいらっしゃいます。健康志向、無垢材などの自然派志向の人、デザインにこだわりのある人に選んでいただいているのではないでしょうか。

―業界全体はいかがですか?

吉岡) 建築の洋風化に伴い1軒当たりの和室の数が減っているなどにより、新築での畳需要と畳の入れ替え需要が逆転し、当社の場合は、入れ替え需要が7,8割を占めていると思います。また、値段は高いですが、カラーが選べて洋風建築に合い、カビが映えないなど実用的な「和紙表」「樹脂表」も普及しています。しかし、悲観的なことばかりではありません。例えば「日本食ブーム」に沸く海外では、「和ブーム」に広がり、富裕層の中には畳に関心のある人も増えているそうです。

機能に特化していく

―社長のユニークな発想の源泉は何ですか?

吉岡) 実は最初は嫌々家業を継ぎました。しかし、30年程前、丹後で盛んに作られているシルクの切れ端の有効活用、地産地消のため、稲ワラの代わりにシルクの不織布を使ってみたところ、東京の展示会に出てみないかと推薦されました。それが転機となっていろんなことにチャレンジするようになりました。

―コツは何かあるのですか?

吉岡)例えば「ベッド畳」というものを作りましたが、睡眠中の水分の吸収量は、ふとんが3割、畳が7割にも及び、その放湿のためにヤシの実繊維を使用して水分の分散を図るアイデアを思いつきました。様々な専門の展示会に出掛けていってその道のプロたちとディスカッションをするなど、常にアンテナを張るようにしています。

―今後こだわっていきたいことは何ですか?

吉岡)まずは、品質です。建築の洋風化で縁無畳が増えましたが、畳表の折り目部分の角割れなど、ほつれずに維持されるように作るのは、高い技術力が必要です。そして何より、お客様のニーズに合わせた畳づくりにこだわってまいります。特に機能面に特化していかねばと思っています。

 

畳業界において、先陣を切って斬新な取組を進めてこられた同社の更なるご活躍が楽しみです!

 

 

 

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

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