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株式会社テクサー(京都企業紹介)

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ZETA LPWA、インドア・ナビゲーションからセンサまで、すべてをスマートに

(掲載日:平成30年5月10日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

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 株式会社テクサー(外部リンク)(京都市)の西村取締役様にお話をおうかがいしました

低消費電力・メッシュアクセスで、より遠くに、より確実に―ZETA LPWA

―まずは、御社の概要を教えて下さい。

西村) 2016年に起業し、現在8名体制で3つの中核事業を行っています。まず1つは、IoT長距離通信事業と呼んでいます、IoT向けの通信インフラLPWAネットワークの提供、2つ目として、IoT近距離通信事業、すなわち、インドア・ナビゲーション応用システムの提供、3つ目は、スマート・センサエッジシステム関連事業です。会社名のテクサーとは、テクノロジとセンサの2つの単語を組み合わせた造語でして、代表取締役CEOの朱は、大阪大学基礎工学部情報科学科、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科を経るなど関西にも所縁があるのですが、国内の大手通信機メーカに長く勤務してきました。

―そうなのですね。では早速、LPWAネットワーク事業についておうかがいしますが、LPWAって、低消費電力で広域通信が可能であり、IoTやM2Mでの活用に期待が高まっている通信ですね。Wi-Fiは高速通信が可能ですが、電力消費が大きく通信距離は数百メートルなどだそうですし、BLEは低消費電力ですが、もっと距離が短いです。

西村) そうですね。当社では、中国のZiFiSense社のZETA LPWAネットワークを日本で初めて提供しています。中国では、例えば、マンホールの蓋の開閉状況の把握等に使われています。日本では想像がつきにくいと思いますが、マンホールの中に、大手企業が設置している光ファイバーの共同溝があり、そこに地元企業が勝手に入り込んで、勝手に新たな通信サービスを始めちゃうといったことが起こっているのです。そこで、マンホールの蓋の裏側にジャイロセンサを取り付け、蓋が動けば分かるようにしているのです。

―日本国内で既に先行しているLPWAネットワークとの違いについては、いかがでしょう。

西村) ZETAは、低コストで遠くまで、データを確実に届けることができます。

―どういうことですか。

西村) まず、ゲートウェイを介してIoT機器をスター型に無線接続してネットワークを構築している場合、障害物により通信が遮断されてしまうことがあり、特に都市部では電波が届きにくいことがあります。それに対して、ZETAはマルチホップ型ネットワークを構成し、仮にどこかで不具合が生じても、他のルートでカバーできますし、ボタン電池で駆動する中継器を複数設置することで、遠くまで確実に電波を飛ばすことができます。

―なるほど。

西村) また、ZETAでは、ゲートウェイや中継器の費用も大変安いです。さらに、データを送りっぱなしではなく、低消費電力で双方向通信を実現しているため、仮にデータが届かなくても、届くまできちんと送りなおしてくれるのです。

―どうして、他とは異なる特長を有しているのですか?逆に、他社もメッシュ方式に変更するなどすることはできないのですか?

西村) 当社は後発ですので、先行しているサービスを良く分析して、それらの弱いところをカバーするサービスを開発したわけです。また、スター型からメッシュ型にするには、それぞれの機器について、少なくとも通信モジュールから変えていかねばなりませんので、技術的な問題というより、コストや対応スピードの問題が大きく現実的ではありません。

―ZETAは、中国のZiFiSense社製ということですが、御社の役割は?

西村) 一言でいえば商社ですが、日本で独占的に取り扱うのに当たり、日本仕様へのカスタマイズの企画、技適など日本の電波法への適合など、事実上メーカーとしての動きをしています。これから本格的に日本国内で実証をしてまいるところです。欧米など世界展開するに当たっても、中国市場よりも、日本市場で成功するかどうかというのが、大きな指標になっているようです。

―例えばどういう実証ですか?

西村) 大手通信キャリアの携帯電話用LGWAでは電波が届かない山中の池に関する、IoTによる水質管理ですとか、都市部での子どもの見守りなどですね。

GPSが使えない地下街などでも威力を発揮するインドア・ナビゲーション・システム

―では次に、インドア・ナビゲーションシステムについて教えてください。

西村) こちらは、独自のアルゴリズムによって誤差1m程度というGPSよりも高精度な測位を、Wi-Fi方式の5分の1の低コストで導入できます。ZETAとつなぐことで広範囲でのデータ通信も可能です。中国トップメーカーのJoy Suchのシステムを日本で独占販売しているものですが、例えば、京都三条商店街様に導入した「ショッピング・ナビゲーション・システム iLoca」や、「展示会データ解析システム」など、当社でアプリ化しています。

―おもしろいと思うのですが、類似のアプリは既に世の中に多くございますよね。差別化要素をどう捉えたらいいですか?

西村) 1つは、今申しました、ナビゲーション・システムですね。商店街の高所などにビーコンを数m間隔で取り付けておき、ビーコンが発するブルートゥースの信号を、商店街の来店客のスマホが受け取り、アプリの地図に現在の位置を示すだけでなく、該当する店までの道案内、位置と連動して絶妙なタイミングでクーポンを発行するプッシュ広告も可能です。何より、例えば雨の日はどうだとか、この店に来られた方は、他にどんな店に行かれたのかという、ビッグデータがとれることが重要ですね。

―そうですよね。

西村) もう1つは、お店側が自由に、簡単に情報発信できます。ベンダーが管理するというのではなく、プラットフォームとして提供しているので、ITが苦手な店主でも、簡単に情報更新ができ、自動で英語や中国語にも変換する多言語対応も行っています。

センサから通信まで、IoTのプラットフォームを見据えて

―スマート・センサエッジシステム関連事業については、いかがでしょうか?

西村) 大学との共同研究を通じて、例えば、有機材料を用いた柔らかいシートの上に印刷技術によって製造されるフレキシブル・センサデバイスなどを開発しています。

―通信とセンサは、また技術が異なるわけですが。

西村) IoTの進展により、今後間違いなく、それらは交わってくると考えています。今後、IoTのエッジ(端末)側エッジ側で収集される膨大な量の情報をそのままクラウド上のサーバーに転送しないで、賢く処理された結果のみを転送する、スマート・センサエッジ・システムなど、賢い(スマートな)情報の処理を行っていくのにも、センサと通信の融合が必要となってくるのです。

―なるほど。

西村) 引き続き、私どものソリューションを通じて、社会が、より便利に、より斬新に、よりスマートになるよう、励んでまいりたいと存じます。

 

今後の展開が楽しみです!

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