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TERA Energy株式会社(京都企業紹介)

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お坊さんの小さな新電力が再エネと寄付でつむぐ温かなつながり

(2022年6月15日、ものづくり振興課 足利・生地)

テラエナジータイトル

TERA Energy株式会社(外部リンク)(京都市)の竹本代表取締役にお話をおうかがいしました。

ソーシャルグッドを世界に増やす「寄付つき電気」

--「お坊さん」が、再エネを使った「寄付つきでんき」の会社の社長とは、ユニークさ満点ですね。

竹本)2018年6月に、お坊さん4人で当社を設立しました。

--まずは、御社の電気事業について教えていただきたいのですが、「寄付つきでんき」って何ですか?

竹本)当社の毎月の電気料金の最大2.5%を、お客様が選択する団体に当社から寄付するというものです。現在40団体以上から選んでいただけます。

SDGs 寄付団体一覧

--ほう!いろんな素晴らしい団体があるのですね!いい感じです!

竹本)こうした団体のソーシャルグッドな活動に寄付することで、ソーシャルグッドな活動が増え、世界がどんどん良くなればと思うのです。

寄付団地例1 寄付団体例2

再エネをつかうでんき

--仕入れられている電気は?

竹本)太陽光・風力・水力・バイオマスなど再生可能エネルギーによる電気を仕入れています。その中でも、地域住民から反対を受けているメガソーラー施設、海外の自然を破壊していると批判されている輸入材によるバイオマス施設などからは、仕入れないようにしています。

電気構成

--なるほど。

竹本)現在の日本の8割近くの電気は、わざわざ天然ガス・石油・石炭といった地下資源を地中から掘り起こし、海を越えて遠い地域から輸入してきて、国内に巨大な発電施設を建造し、そこで化石燃料を燃焼させてタービンを回し、電気へとエネルギー変換したものです。その結果、化石燃料を燃やすことで空気が汚れ、地下資源の産出国へと資金が流出し、国際政治の影響を大きく受けています。さらに、国防の面でも、地下資源を運ぶルートを確保するためのシーレーン防衛に力を入れなければならなくなっています。少し考えただけでも、地下資源に乏しい日本が化石燃料による発電を中心にしている現状は、かなり危ういものと言えます。現代社会の基盤の1つである電気を他国に頼りきりでな状況は不安です。地球に降り注ぐ太陽の光、山野に流れる川、大地にそよぐ風。この豊富な自然と共に生きることができれば、空気を汚すこともなく、資源を奪い合う必要もなく、豊かに生きることができます。海と山に囲まれた日本の国土には、こうした自然のエネルギーが豊富です。それを有効に活用しない手はないと思います。

手続簡単、とにかくお得に!

--とっても良いことなのですが、寄付をする分、電気料金は高いのでは?

竹本)大手電力の標準価格よりほぼ安くなる「固定単価プラン」と、日本卸電力取引所のか確認連動し、電力市場が安定しているときは大手電力会社の標準価格より安くなる(市場が高騰した際には電気料金単価も高くなるリスクもある)「市場連動プラン」の2種類の料金プランを用意しています。

料金比較

--おお!でも、手続って面倒なんでしょ?!

竹本)10分で切り替えることができます。お申込みはWEBで完了し、開始日になれば開始されます。切り替え費用もありません。

電気料金高騰問題について

--いいですね!今、世間で電気に関するいくつかの問題が噴出しています。よく分からないのが、エネルギーの高騰に伴ってなぜ新電力の撤退が増えたのかです。電気料金には電力量料金や燃料費調整額など、エネルギーの高騰を反映する仕組みが含まれているのではないかとか、電気料金を上げればいいのではないかと思うのですが。

竹本)新電力は、様々な工夫で料金を安くしてお客様に提供しています。当社の場合は基本料金は0円ですし、さらに、再エネによる電気を中心としていますので、火力発電の燃料費調整額ではなく再エネの需給調整費用を反映する形ですが、一般に電気を仕入れている新電力は、エネルギー高騰で仕入価格が上がったとしても、お客様離れを考えると、それを全て電気料金に反映しにくいという事情がありましょう。それに、もし電気料金を上げるとしても、1か月以上前に国に申告をしなければなりませんし、キャッシュフローの問題が生じますよね。

--なるほど。では、そうして万が一新電力が撤退した場合に、電力小売会社を切り替える必要が生じた際に、大手電力の標準料金より2割増になるという話がありますね。

竹本)次の契約先が見つかるまで送配電会社が電力を供給する「最終保障供給」ですね。先ほども申しましたが、そもそも前提として新電力より電力大手の料金の方が高い上に、最終保証供給ではその標準より2割増ということで、インパクトが強いということでしょう。一般家庭用の場合は、例えば当社もそうですし、契約できる電力会社がありますから、最終保障で、ということにはならないと思いますが、高圧においては、今、エネルギー高騰で新規契約を停止しているところが多いので、新たな契約先が見つからず最終保障になってしまうケースが多いという問題ですね。

--なるほど。

竹本)市場連動プランでは再エネでもエネルギー価格高騰の影響を受けますが、長期で安定して再エネ電力を供給できる仕組み作りが重要ですね。

人々のつながりの質にこだわって

--よく分かりました!では、もう1つのテーマ「なぜ、お坊さんが」へと話題を変えたいと思います。

竹本)ヨーロッパでは、ローカルの⼩さな電⼒会社が沢⼭あり、みんながお気に⼊りの電⼒会社を選択しています。100%⾃分たちで発電した電気で暮らす村、地域のバスを無料で⾛らせる電⼒会社など。そこには、社会が⼤きく変わる⾯⽩い⼯夫が満載です。⽇本でも、2016年にすべての電気が⾃由化されました。せっかく⾃由化されたのですから、活⽤しない⼿はありません。そこでわたしたちは、電気の仕組みで、みんなのこころが温かくなる⼯夫ができないかと考えました。

--ふむ。お坊さんがそう考えられたのは、どうして?

竹本)もともとは起業するなど思っていませんでした。現在「認定NPO法人京都自死・自殺相談センターSotto(外部リンク)」を運営しているのですが、もともと西本願寺の研究職員で、自死の問題や生命倫理、憲法などの分野の研究をしていました。環境分野を研究している同僚に誘われて、その勉強会に参加したところ、ドイツでおもしろい事例があることを知ったのです。地方のおじちゃんたちが電力会社を設立し、その収益で地元の赤字路線のバス会社を買い取って無償でバスを走らせているというのです。

お坊さん

--ほう。

竹本)Sottoのような社会課題に対応する団体は、素晴らしい役割を果たしていても、運営コスト面では大変でして、なんとか安定した収益がないものかと思っていたのがきっかけなのです。

--なるほど!

竹本)そして、どうせするなら他の社会貢献に取り組むソーシャルグッドな団体も一緒に支援できれば、と考えたわけです。

--素晴らしいですね。

竹本)わたしたちの願う世界を実現するためのポイントは、⼈びとのつながりの質にあると考えています。つながりと⾔っても、さまざまなものがあります。嬉しいつながり、悲しいつながり、楽なつながり、嫌なつながり。つまるところ、⼈とは、つながりの質により、幸せにもなり不幸にもなるのです。わたしたちは、つながりによって出来あがっていると⾔っても過⾔ではありません。だからこそ、つながりの質、つながりの温かさにこだわって、お互いのこころを温め合う関係、社会づくいに貢献していきたいと考えているのです。

ロゴ

今後ますます楽しみですね!

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商工労働観光部ものづくり振興課

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