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株式会社津島鉄工所(京都企業紹介)

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歩くことをあきらめない歩行器「たぁーくん」(株式会社津島鉄工所

(掲載日:平成28年1月19日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 株式会社津島鉄工所(外部リンク)の津嶋代表取締役様、試作開発部リーダーの森山様にお話をおうかがいしました。(平成27年度経営革新企業)

「提案型コストダウン」で受注量アップ

まず、簡単に会社概要を教えて下さい

津嶋) 役員・従業員約30名で、搬送装置等の加工・組立受注や、新製品の開発等を手がけています。製缶・切削・精密板金をはじめ、設計から部品加工、組立まで社内一貫生産が可能で、他品種小ロット、試作等のニーズにも応えています

―日頃心掛けてらっしゃることや御社の特徴はどんなことでしょうか?

津嶋) そうですね。まず1つは、「提案型コストダウン」を進めています。お客様から仕様書や図面をいただいても、その指示通りに加工するだけということではなく、コストダウンにつながる提案を行います。例えばマシニングを使って云々という仕様であっても、レーザー、溶接、マシニングを組み合わせるなど、一貫生産体制が整っている故に可能となる提案を行います。協力企業にとって「安く」ということは好ましくないという考えもあるかもしれませんが、当社はスピードアップの提案をし、それにより作業時間が仮に半分になれば、受注量を2倍にできるという考え方です。

「遊び心」から社員・会社の特徴を生み出せ!

なるほど。

津嶋) もう1つは、「遊び心を忘れずに」ということは言い続けています。社員は、みんな最初は「曲げられた」「穴を空けられた」っていうだけで嬉しかったり楽しかったりしたはず。それが協力企業で加工を長く続け、納期やコストダウンに追われると、そうした初心を忘れてしまいがちです。そこで、年に数回出展する展示会では、社員の新技術や新製品を展示します。そうすることで目標に向けて各社員が新しいことに取り組んだり、技術を更に伸ばしたりするのです。不得意なところを伸ばして普通になるより、得意なところを更に伸ばすべきだと思っています。それが会社の強み、他社との差別化要素になってくると思うからです。

今後の事業展開についてはいかがですか?

津嶋) 従前からのものづくり、今回始めた福祉関係、そして開発の3本柱にしていきたいです。開発のためにも「遊び心」を大事にしながら、産学公、異業種との連携を模索していきます。いずれもベースにあるのは、当社が扱ってきた素材をどう魅せるかということです。

「てこの原理」で自然な立ち上がり軌道と軽量化を実現した、リフター機能付き歩行器

さて、今回販売開始をされた「歩くことをあきらめない歩行器 たぁーくん」。京都府「人にやさしい介護支援機器開発プロジェクト」にて、介護現場ともモニタリングを重ねて開発されました。今までにない画期的な製品ですね。改めて特徴をご紹介ください。

森山) まず、被介護者にとって「自然な立ち上がり軌道」で上下移動ができることです。介護現場の意見を反映し、被介護者が安心して使用できるよう、従来品より大きく安定性の高い肘置きパッド部に上半身を預けると、肘置き部分が円弧を描くように自然な軌道を描いていきます。そして、2つ目として、非電動のリフター機能付きであるため、電動式製品に比べ低重量で、介護者にとってもシンプル&スマートに扱えるということです。町の鉄工所という門外漢だからこそ、従来福祉用具の発想に囚われずに、従来品にはない「てこの原理」を応用することで、非電動による開発に成功したと思います。

―「てこの原理」に思い至った経過は?

森山) 現場の介護者から、両手が空くようなものを、という声がありました。両手を使わない、じゃ足を使うか、シーソー、てこの原理・・・といったように繋がっていきました。

「鉄工所が福祉機器を?」という“アウェー”を乗り越えて

―逆に、開発時にご苦労されたことは?たくさんあったかと思いますが

森山) まず介護業界が全く初めてで分からないことだらけでしたので、調べて、聞いての連続でした。教えてくれる人がいるなら何処へでも聞きに行きました。逆に、現場の声を聞き過ぎて、必要な機能の取捨選択が難しくなったりしまして苦労しました。また、特に制度も複雑で、資格がいる、設備・社内体制はどうか、など、次から次へと知らないことが出てきました。プロジェクトの関係もあり、与えられた開発期間が半年というのも厳しかったですが、逆にゴールを定めていただいて良かったとも言えます。

販売化に向けても、たくさんご苦労があったと思います。

森山) 新規分野の自社商品であり、値決めを始め考えなくてはならないことは尽きず、府に紹介してもらった専門家の派遣制度や、広報面ではプロジェクトの記者会見が効果的でした。展示会をきっかけに大手卸会社とのルートもできたのですが、展示会も最初の頃は「なんで鉄工所が?」という冷たい目線で見られ、半端無くアウェー感が漂っていました。回数を重ねているうちに、「たぁーくんの津島さんだね」「この前も出てね」と声をかけられることが増え、今では大手にはだいたい知られているんじゃないかと思います。

 

今後の同社の活躍がますます楽しみです!

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商工労働観光部産業振興課

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