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有限会社ウインド(京都企業紹介)

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京都品質

「箸ぞうくん」

 

(掲載日:平成28年8月26日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

有限会社ウインド(京都市)の中川社長にお話をおうかがいしました。

作業療法士の教科書にも載っている、業界シェアほぼ100%の障がい者用お箸

―まず、事業の概要を教えてください。

中川) 福祉用品の中で「自助具」と呼ばれますが、脳梗塞・脳溢血・パーキンソン病・リュウマチなどの病気やマヒ・ケガ等あるいはそれらの後遺症によって普通の「お箸」がうまく使えなくなった方々でも簡単に使いこなせる「お箸」等を研究・開発しています。「箸ぞうくん」というブランドで展開し、リハビリ業界の中でも特に中・重症患者さんのシェアほぼ100%ですので、多くのリハビリの先生方にも知っていただいています。また、リハビリの世界を目指す学生の教科書にも載っていますので、展示会等では若い学生療法士さんなどにもよく声を掛けていただきます。

―すごいですね。どうして業界シェア100%を実現されたのですか?

中川) 今から20年以上前に、父の経営する鋳物の町工場で働いていた時に、手の指を怪我したのがきっかけです。1年間のうちに3回手術を繰り返し、リハビリを続けていたのですが、食事をするのに苦労したのです。手の指が動かせない人は、手とスプーンをベルトでぐるぐる巻いて固定して、といった具合でスプーンを使って食べるというのが、世の中の当たり前でした。そこで、障がい者用の箸の研究を始め、リハビリの世界からアプローチをしました。当時は一般的に箸を使って食べるなどという発想がなかったものですから、理学療法士さん(PT)、作業療法士さん(OT)らにとっても衝撃だったと思います。

―「箸を使う」ことがない領域で、「箸を使う」スタイルやマーケットを創出されたわけですね。

中川) リハビリの世界において、「動いたらいいね」「歩けたらいいね」という少し漠然とした目標から、PTさんなら「何メートル歩けるように」とか、OTさんなら「箸を使えるように」とかいった、具体的な目標を持ってリハビリを進めていくようになってきた、その変化の一要因にもなったのではないかと自負しています。

「握る」動きだけで使えるお箸、「握れない」方でも使えるスプーン

―具体的にはどんな商品があるのでしょうか。

中川) 例えば、この「クリアⅡ」を使ってみてください。持てば自然と手の中でフィットする大きなグリップで、手を「握る」、あるいは「ワシ掴みする」ような動きで使えます。箸先を合わせる難しいコントロールや、ピンセットを使う時のような「人差し指と親指の指使い」も要りません。

 

あっ、私、左利きではないですが、左利き用でも、握るだけですので簡単につまめますね!どういう原理ですか?

中川) 箸を使う時の動作を、(1)箸を持つ、(2)箸先を合わせてコントロールしながら挟む、つまむ、(3)保持する、という3つに分解して考えました。まず(1)については、専門用語で「休息肢位」と言いますが、力を抜いている時の手の形、すなわち、軽くグーになりかけているような形に合わしています。そして、(2)については、親指と人差し指を動かすというのではなく、手全体でふわーっと握るだけの動きで済むようにしています。生まれたばかりの赤ちゃんが、手を「にぎにぎ」するような動きをするのと同じようなものです。これらにより、(3)保持して、握るだけでいいのです。こうしたことから、大学病院では、これが使えれば箸を、使えなければスプーンを勧めていくという「リトマス試験紙」的にも用いられています。日本デザイン振興会の「グッドデザイン賞」もいただきました。

―なるほど。スプーンもお作りですね。

中川) 「おたべやす」ですね。普通は、握れない方はベルトでスプーンを手にくくりつけて食事されており、とても不自由なのです。しかし、「おたべやす」は、持ちやすい形に自由自在に変えられますので、握れない方でもお使いいただけます。写真では指を動かして握っているように見えますが、指に力が入らなくなると自然と曲がって寝ている時のような指の形になり、曲がった指に挟み込むようにしてスプーンを持たれます。指に力が入りませんので、曲がった指にスプーンがはまり込んでいる状態です。女性に多いですが、リュウマチで変形した指の方々にも、とても扱いやすくなっています。

ユニバーサルの先へ― 一人ひとりの「手の状態」や「心」に寄せる

―他にはどんな商品がありますか。

中川) ご利用いただく方の状態に応じ様々なラインナップがあります。人差し指、親指で「つまむ」動作を実感して使える「箸ぞうくんⅡ」や、周囲の目を気にせず使いたいという方もいらっしゃいますので、手に収めれば普通の箸を使っているように見える「やじろべえ」などがあります。「やじろべえ」は高級箸と同様の天然木(紫檀)を使って見た目、質感も重視しています。

 
「やじろべえ」

―すばらしいですね。

中川) お箸でラーメンが食べたいという方もいらっしゃいますし、見かけない形の箸を使っているところをじろじろ見られたくないという方もいらっしゃいます。色々な思いを皆さんお持ちですので、「ユニバーサル」というラインよりもっと先の、「心を寄せる」ような、ものづくりをしていきたいですし、そのための技術開発も進めていきます。

―子ども向けもありますね。

中川) 障がいをお持ちでも、ほかのお子さんたち同様お箸を使いたい、という切なる願いをお持ちのみなさんもいらっしゃいます。一人ひとりの手の状態に合わせ、お電話でお話をお聞きしながら、様々なオプションにより最適なお箸をご提供しています。子ども用は、教育学等も関連する分野だと思いますし、さらに研究を重ねていきたいと思っています。

 
子ども向け「MINI/minimini」(オプションが付いています。)

デザインで世の中を変える

―新たな開発をされる際に心がけてらっしゃることは何ですか?

中川) そうですね。5年後、10年後の世界というか、風景をイメージし、その中に当社の商品が使われていたら、という考えです。5年後、10年後、こういう世の中になっていてほしいなあと思って、それを今から創っていこうという風に思っています。鋳物をやっていたことから、世の中にないものを生み出して、自分で値段を決め、世の中を変えていくような商売がしたいと思っていました。その際、作り手本位ではなく、ご利用いただく方に寄り添って、ご利用いただく方が使いやすく、買いやすいお値段のもの、そこから逆算してものづくりを進めていくことが重要だと思います。こうして、デザインの力で世の中を変えていきたいです。

 
ギャラリー

 

 

今後の展開がますます楽しみです!

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商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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