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吉田木工(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。

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「森」と「海」の出会いから、森と海の課題解決に挑戦

(2023年3月8日、ものづくり振興課 足利)

吉田木工(外部リンク)(本社:京都市右京区鳴滝、工房:同京北町)の吉田代表にお話をお伺いしました。

天然無垢材によるオーダーメード家具

--まずは、事業の概要を教えてください。

吉田)現在3名体制で、天然無垢材をメインに使った家具、木工製品をオーダーメードで作っています。オーダーメードですので、外に出せる写真があまりないのですけど・・。

--おしゃれですね!確認なのですが「天然無垢材」というと・・・。

吉田)天然木とは、書いて字のごとく天然の木材のことになります。無垢材とは、一本の丸太から角材や板を直接必要な寸法に切り出したもので、合板や集成材と違い貼り合わせ時のボンドを使うといったことがなく、環境に優しいのです。

--なるほど!もう1点、「オーダーメード」ということは・・・。

吉田)作家が自分の作品を作るというのではなく、お客様のご用命に応じて、ということです。

--逆にそれって難しいですよね。お客様の思いもよく汲まないといけませんし・・。吉田さんのような「環境に優しい」「オーダーメード」という立ち位置の企業さんって、他にいらっしゃるのですか?

吉田)最近は少なくなってきているかもしれませんね。インターネットの普及により、対面でお客様の思いや考えを直接聞くことは特に減っている気がします。そして材木屋さんにもよく通います。材木って、一つずつ表情が違うんですよ。その表情を見て、インスプレーションを得て、作っていきます。

オーダーする側からされる側への転身

--いいですね!お客さんはどういった方々なのですか?

吉田)家庭用もあれば業務用も、様々ですよ。保育園やカフェテリアなどからもご依頼をいただいています。コロナ前は百貨店の催事等でお客様と知り合うことが多かったですし、百貨店の外商さん通じてご依頼いただくこともございます。

 

--木工を始められたきっかけは?

吉田)大学卒業後、婦人服のアパレル会社で営業の仕事をしていました。売り場づくりなどマーケティング全般に関わる仕事です。百貨店やショップに商品を飾る家具や什器について、いろいろオーダーしていた側だったのですが、逆に自分で作ってみたいと思うようになったのです。

森の課題解決に挑戦!ベアーズウッドプロジェクト

--話題が変わりますが、国内の木材需要がずーっと減ってきて、近年は、少し上昇傾向にあると聞きました。

吉田)そうですね。ただ、近年の需要減少に伴い供給体制も減らしてきたため、需要増に対応できず、最近の価格高騰を招いているように思います。そうなると国産材では価格が合わず外材を使わざるを得ないわけです。また、コロナ禍や、ロシアとウクライナの問題等で、世の中がどう転ぶか先が読めず、供給体制を強化するわけにもいかないといったところだと思います。

--なるほど。林業の社会課題ですね。

吉田)クマハギってご存じですか?熊が樹皮を捲ることなんですが、森に食べ物が少なくなった時に起こっているようです。ただ、剥がれた木は、再生できず朽ちていきますし、倒木の危険も生じます。何より、せっかく何十年もかけて育ててきたのに材木としての価値がなくなってしまうのです。

--そうなのですね。

吉田)そこで、クマハギにあった材木の利用価値を生む、高める取組として「ベアーズウッドプロジェクト」を立ち上げました。使える部分を使って、クライミングのホールドを作ったり、軽いので、ウッドエッグにしたり。

--ほう!

吉田)また、親しくさせていただいている堤淺吉漆店の堤さんとの繋がりの中から、サーフボードやボディボードも作っています。サーフボードを作る職人さんからは軽いという特徴を評価していただいています。

海の課題解決に挑戦!漆と木のストロー

--いいですねえ!!

吉田)堤さんとの協業で、漆と木のストロー『/suw』も制作しました。

--ほう・・。

吉田)現在、マイクロプラスチック問題を受けて、木のストローを採用する動きが進んでいますが、耐久性に難があり、使い捨てされるケースが多いのが現状です。漆によって耐水性と機能性を高めたものを作ったのです。

--なるほど!

吉田)ベアーズウッドはもちろん、材料は伐採現場や製材所で出る地元京都の京北産杉材の丸太の端材などを使用しています。

森の中のインキュベーション

--地元産、いいですね!

吉田)地元産木材を使って何か作りたい人には、工房の2階を開放しようと思っています。

 

--うわー!かっこいい空間ですね!

吉田)これまでも工房でワークショップを開催してきました。ベアーズウッドプロジェクトでもそうですが、普段森や川で遊ぶ自分たちと、海で波乗りを楽しむサーファーの人たちが繋がることで、自分たちに今何ができるかを考えて「楽しむ」ことによって、何か課題解決の道が拓けようとしているように、今後もいろんな人たちが「繋がる」場を作っていきたいと思っています。


森の中にある工房

今後の展開が楽しみですね!

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商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

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