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株式会社ワイズコーポレーション(京都企業紹介)

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モータープール!

(2021年10月7日、ものづくり振興課 足利)

車両 プール

左ハンドルコンバージョンによる福祉車両づくりに取り組んでおられる株式会社ワイズコーポレーション。今回は、保育園の依頼で作られた「プール」だそうです。すごい!

 

左ハンドルコンバージョンによる福祉車両づくり(株式会社ワイズコーポレーション

 

(掲載日:平成28年4月1日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社ワイズコーポレーションの山田社長にお話をおうかがいしました。

公認車検対応、国内トップの「左ハンドルコンバージョン」

―まず、御社の事業概要を教えてください。

社長) 6名体制で、主に欧州輸入車・国産車の中古車を中心とした自動車販売、カスタム、チューニング、車検、整備点検等を行っています。

―高級輸入車もかなりリーズナブルにご提供されているようですね。

社長) 数十年前には、安月給ながらも、車に対する熱い情熱と魂を持った若者がたくさんいましたが、近年の若者の車離れは著しいようです。そこで、車業界に再び熱い炎を燃やすべく、「リーズナブルにカッコ良く、何より楽しく」をコンセプトに活動をしています。

ys03

―御社の特徴的な取り組み「左ハンドルコンバージョン」とは何ですか?

社長) 要は、右ハンドルの車を左ハンドルに改造するということです。ハンドル位置、ペダル、ダッシュボード、エアコンシステムなど、あらゆる部分を右ハンドル用から左ハンドル用へと加工します。スポーツカーはもちろん、軽トラからダンプカーまであらゆる車に対応可能です。そして一番重要なのは、強度基準、安全基準を満たして公認車検が取れるということです。運輸局に許可をいただき、当社で製作した車両に関しては、日本で唯一運輸局に車両を持ち込まず、書類のみで車検に通すことができます。

―すごいですね。他にこのような取り組みをされているところはあるのですか?

社長) 一つの車種限定でされているところは他県にありますが、当社のように車種を選ばず、しかも全て公認車検対応というところはありません。これまで約80台を手掛けてきましたが、ダントツの数だと思います。

京都のハイドロ シェア100%が物語る技術力

―すごいですね。どうして御社はその技術力をお持ちなのですか?これまでの経過を教えてください。

社長) 若い頃からアメ車をいじっていたのですが、それが高じて、今から約20年前、本場アメリカに「ハイドロ」技術の修行に行くなど、日本のハイドロブームを支えました。当時の京都のハイドロは、すべて私の前の会社が手掛けていました(全て公認検査取得済)。シェア100%です。

―ハイドロって、車が上下や斜めに激しく踊るように動く、当時、河原町通りなどでよく見かけたアレですよね?

社長) はい。しかし、燃費が悪い上に、環境規制も厳しくなり、アメ車は次第に国内では乗りにくい状況になってきました。そこで、新たに欧州車・国産車を、ファミリー層も意識してご提供していく方向転換を図るため、現在の新会社を設立しました。

―左ハンドルコンバージョンを始められたきっかけは?

社長) 以前よりレースカーのセッティング、ボディの補強など、カーレースのサポートをしていたのですが、日本でも有名なある台湾のチームから、S15シルビアを公認車検が通る形で左ハンドル化してほしいとの依頼が入ったのです。S13、S14はアメリカでも走っていたので左ハンドル車が存在するのですが、S15は日本のみでしたので、右ハンドル車のみしか生産されていません。しかし、台湾は右ハンドル車の輸入はできなかったのです。

―これまで約80台もの左ハンドルコンバージョンを手掛けてこられましたが、どんなところから依頼があるのですか?

社長) 日本にしかない車を、という依頼はアジアから多いです。現地の人達にとって、日本のスポーツカーは、フェラーリやポルシェ並みに性能が良く、それ以上に故障が少なく、そして値段が安い“夢のような車”だそうなのです。そして、国内も増えてきました。例えば、全国展開しているある運送会社や牛乳配達関係の企業からは、荷下ろしの動線の関係で左ハンドル化したい、福祉施設からも介護する側、される側の人双方が、センターライン側ではなく歩道側である、車の左から乗り降りしたいと、ミニバンを左ハンドル化したい、といった依頼がありました。もともと左ハンドルのアメ車などをご購入されればいいのじゃないかと思ったりしたのですが、左ハンドル車はスライドドアが右側(センターライン側)にあったりするのでダメなのです。余談ですが、アフリカの某国大使館からも依頼が来たことがあります。

Y’sの手法が事実上のスタンダード

―すごいですね。苦労される点はどういったことですか?

社長) 正直「車の切った張った」の技術には自信があります。しかし、膨大な手間がかかるのです。なにぶん先例のない取り組みでありこちらも許認可を出してくれる機関に説明をするのにも試行錯誤の連続です。明確に定めが有るような無いような微妙な分野の取り組みであるため許認可をされる方もきっと難しい判断だと思います。今では、当社のこともよく知っていただいているので助かりますが、それでも書類は常に電話帳ほどの資料を揃えねばなりません。これだけしんどいと知っていたならやらなかったかもしれません(笑)。

―技術力に加え、この点が参入障壁でもあるわけですね。

社長) そうですね。分厚い資料に記載された、当社の手法が事実上のスタンダードになっています。実際には車を一台作っているのとほとんど同じではないかと思うくらいです。

福祉車両

―そして、今力を入れてらっしゃるのが、福祉車両ですか。

社長) 役所の福祉関係の部署から問い合わせがあったのがきっかけですが、車いすバスケットの選手の皆さんがどうやって車に乗り降りされているのか、実際に拝見し話をうかがいに行きました。すると、車いすを格納した後、おしりをこすりながら車の右側(センターライン側)の運転席のドアまで回って、運転席によじ登ってらっしゃいました。夜はとても危なくて乗れないですし、雨の日も濡れてしまうので困るとのことでした。自動車メーカーとも相談し、ある軽自動車で回転いすがうまくはまることが分かり、左ハンドル化のカスタムを進めました。そして調整に苦労しましたが、まずバン登録、続いてワゴン登録も許可が得られました。

―地道にニーズを汲み取ってらっしゃるのですね。

社長) 健常者の目線ではなく、ご本人様らの目線が重要だと思っています。夜に車に乗り込むまでが危険なら、電飾などでちかちか目立つ服があってもいいですし、雨の日に濡れてしまうなら、車いすに傘が差せるようなカスタムパーツがあったっていいと思うのです。また各所にあるスロープも、車いすバスケの屈強な選手ですら、実際には急で使えないものも多いと聞きます。

―なるほど。では、御社の今後のお取り組みについてはいかがでしょうか?

社長) 海外に比べて日本の高齢者等は引きこもりがちだと思うのです。そこを、当社の得意な「リーズナブル、実用性」と「ファッション性」の両面を活かして、高齢者の方や障がいをお持ちの方を元気にしたいです。例えば、近年、高齢者の方のブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が多発していますが、数十万円を追加で払えばダッシュストップの機能をオプションで備えることができるようになっています。それを当社なら、数万円で対応することも可能です。こうした取り組みを当社自身も重ねて、日本を「もっとやさしい国」にする一助になりたいと考えています。

大変志高き同社。今後の事業展開が楽しみです。

 

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