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(ものづくり振興課 足利)
デザイン、設計、検証等の工程でコンピュータシミュレーションを活用することで、事前に設計検討や問題点の改善を図り、早期に設計品質を高める。こうしたフロントローディングを推し進められる人材創出を目的として、北部産業創造センターでは「デジタルマニュファクチュアリング研究会」を開催しています。
その中で今回、10月31日(水曜)に行われた「第1回トポロジー最適化ワークショップ」を見学してまいりました。
第1回のこの日は、第2回以降のワークショップに向けて、3名の方々のご講演。
お1人目は「製品開発プロセスにおける3Dプリンター使用の実際」と題して、京都工芸繊維大学デザイン・建築学系デザイン経営工学課程・専攻担当の木谷庸二准教授。3Dプリンタにも様々な種類があり目的・用途によって選ばねばならないということを抑えた上で、3Dプリンタで作ったプロトタイプをユーザーも巻き込んで実際に手にし体感してみることで最終製品が形作られていったというお話や、多くの現場で実際にインタビューを重ねて課題を発掘されていったというお話など、多くの企業さんの製品デザインを実際に手掛けてこられた生の経験談がとてもおもしろい。「実物に近づく段階を早める」「製造プロセスへのデザイナーの関与、ユーザーの関与が増す」「情報共有、意思伝達に際し非常に有効」「リアルな形状を手で触って確認できる」など、3Dプリンタの活用目的を分かりやすくお伝えいただきました!
お2人目は「大学教育におけるアルゴリズミックデザインの取り組み」と題して、京都工芸繊維大学デザイン・建築学系の松本祐司助教。オフィスに「無目的空間」を設けたらどうなるか?私たちは、合理的に考えようとするクセがついているため「無目的」という発想はなかなかありませんよね。しかし、そういう空間を設けると、「居場所の多様性が向上する」「居方のバリエーションが増える」「コミュニケーションの満足度が増す」といった研究結果があるそうです。同様にデザインにおいても、できる限り目的や機能を限定しないデザインをしてみる、すなわち「意図の断絶」をしてみることで、思考の拡張、可能性の拡張がもたらされるだろう。その一つの手法として、コンピュータによるアルゴリズムを用いた設計に取り組んでおられるお話でした。これまたとてもおもしろい!本稿のタイトルも、先生のお言葉から引用したものです。
そして3人目は「構造最適化のプロダクトデザインへの適用」と題して、くいんと株式会社(外部リンク)の月野誠さん。海外製の多い中日本製CAEソフトウェア等の開発を長年に亘って手掛けてこられた企業様です。自動車、建機、工作機械の部品、衣料品など様々な分野で、トポロジー最適化がどのように有効に使われているか、わかりやすく解説いただきました。
トポロジー最適化は「軽量化による材料費削減」「設計者の構造設計検討時間の短縮」「多数の制約を満たす形状が簡単に得られる」「現行製品の改善にも威力を発揮」など様々なメリットがあるとのことですが、極端に言えば「コンピュータが人知を超えたデザインをする」というところが、私にはとても興味深いです。皆様、ぜひ、本研究会へのご参加をお待ちしております。今後のスケジュールは、コチラ(知の京都― 西脇眞二さん (京都大学大学院 工学研究科 教授))
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