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古民家インタビュー:「負の遺産」ではなく、天国にも届く「価値」を生みました(提供者・並河さん)

ふるさと売まれ!買われ!プロジェクト」の一環で、古民家の提供者・利用者のインタビューを紹介するものです。

集合写真

(令和4年5月16日、ものづくり振興課 足利・植村)

宇治市在住で、亀岡市内の古民家を提供されている並河さんにお話をおうかがいしました。

「負の遺産」という思い込み

--近年、古民家での暮らしに価値を見出し、求める方が増えています。一方で、古民家をお持ちの方は、例えば近所の目などもあって、なかなか提供しにくいとお聞きします。並河さんの場合はいかがでしたか?

並河)もちろん、近所の目も気にはなりました。亀岡の物件は私の実家で、近所には今も父の兄弟が多く住んでいます。一人っ子の私が相続したとは言え、親類の意向を無視できないというか、別に直接何か言われるわけではないのですが、配慮しないといけないと自分自身が思っていますしね。

--なるほど。

並河)しかし、先ほど「価値を見出す方が増えている」とおっしゃいましたが、所有者はそういうことにピンと来ていません。やっかいな「負の遺産」であって、それを人に託すことができるという発想をそもそも持ち得ないことが、最大のボトルネックではないでしょうか。

--どういうことですか?

並河)まず、固定資産税が毎年かかりますね。それに庭の草刈りもしなければなりません。それこそ草ぼうぼうにして近所に迷惑をかけられません。うちの場合は、父が趣味で多くの植木をしていましたから、植木屋さんに年数回頼むわけです。こういう維持管理費がかかっているものを、人に託すという発想が出てきません。

コスト部門が収益部門へ

--なるほど。そういう状況から、提供されるようになったのは、どういう経過で?

並河)とは言え、維持管理費が結構かかるので、インターネットで検索していたら、中川住研さんの情報が出てきたんです。そこで、古民家に価値があることを知り、発想の転換ができました。

結婚式 結婚式
(結婚式にも活用)

--所有者の方々に知っていただく、情報提供するということが、まずは大事なのですね。

並河)うちの場合は中川住研さんにお貸ししているのですが、おかげで、負の遺産ではなく、ずっとプラスになりましたね。

コスプレ
(コスプレイベントにも活用)

天国に届く古民家ジャズコンサート

--いやらしい言い方をして恐縮ですが、企業経営で言えば、コスト部門が収益部門に生まれ変わったということですね。

並河)それに、中川住研さんが良いのは、地域の事情をよく知っていて、前さばきやフォローをしっかししてくれるところです。それに、特にテレビや映画のロケでも使われるようになり、有名な女優さんが来られ、地域の皆さんにとっても、古民家活用の良さが伝わったのではないかと思います。

地域
(地域のみなさんと)

--いいですね!

並河)想像以上にうまく使っていただいています。結婚式もジャズコンサートも開いていただきました。きっと天国の父も、こんな活用用法があったなんて思ってもいなかったでしょうし、「まさかうちでジャズ音楽が聴けるなんて!」と喜んでくれているんじゃないかと思います。

ジャズコンサート
(ジャズコンサート)

愛着があればこそ、地域のためにも有効活用

--それは素晴らしいですね!

並河)愛着がある古民家だからこそ、有効活用することが大事なんだとよく分かりました。

--古民家に対する考え方が変わってきたりしますか?

並河)変わってきましたね。私自身は宇治での生活があるので戻ってくることはないと思いますが、私娘が、実は不動産関係の仕事をしているのですが、「いつか自分で運用してもいいな」と言い始めています。

バーベキュー
(バーベキュー)

売買の場合は「買い手」の資力が課題

--おお!さて、次に中川社長にお聞きするのですが、並河さんの場合は「貸す」ということでありますが、「売る」場合の課題としてはどんなことがありますか?

中川)売却すると、譲渡税がかかります。売却価格の20%と復興税ですね。また、ご高齢の方は、譲渡所得で年金が、単年度だけですが止ります。ただし、それを超える売却益が得られるのであれば、問題ではないのかもしれませんね。不動産会社としましては、こうした譲渡税の問題や土地の境界問題などをきっちりすることが重要だと思っています。

--では「買う」側の課題はどうでしょう? 改装費は?

中川)売主さんは現状で売り、買主さんが改装することが多い(その際には当社が古民家再生を請け負うことが多い)のですが、改装費はけっこうかかりますね。

--融資が出にくいということは?

中川)例えば3,000万円で売買しても、融資の評価は1,000万円なんていうケースがあります。古民家の建物評価はもはやゼロです。「歴史的価値」は評価されません。よって土地評価しかない。よって、融資が受けられず購入を断念されることは非常に多いです。必然的にキャッシュを持ている富裕層、預金を貯められたご高齢の方などに購入者層が絞られてしまっているという問題があります。

--ふーむ。

中川)当社は、京都銀行さんと長年協議をしてまいりまして、従来の不動産担保的な評価ではなく、購入者の人物評価による手法の導入を進めていただいているところです。

--素晴らしいですね!

並河さん
並河さん(左)と中川住研の中川社長。京都経済センターにて。

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