更新日:2026年3月30日

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ZETアワード受賞企業紹介(BioSpark)

ZET-summit2026」での脱炭素技術を持つスタートアップ企業によるピッチ「ZETアワード」において、審査員賞「ATR Award」を受賞された松本 凌 氏が起業予定のBioSparkについて紹介します。
なお、松本氏は、京都大学イノベーションキャピタル株式会社の客員起業家(EIR)として、京都大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻 助教 宋和 慶盛 氏のシーズの事業化に向けて、起業準備をされています。
※本紹介記事は、令和8年3月時点の情報です。

ZET-summit2026にてピッチを行う松本 凌 氏

基礎情報

企業紹介

会社概要について教えてください。

BioSparkは、京都大学発の導電性酵素技術を基盤に、リアルタイム・マルチモニタリングでバイオものづくりの培養工程を高解像度に可視化し、生産効率向上と脱炭素化に貢献するスタートアップです。

技術のイチ押しポイントを教えてください。

我々の強みは、導電性酵素を活用し、バイオものづくりの現場で起こる生物の化学反応を、止めずに、その場で、複数項目同時に捉えられる点です。従来は人手のサンプリングやオフライン分析に頼っていたため、反応変化を連続的に追えず、開発・製造の意思決定が遅れがちでした。BioSparkはこのブラックボックスを常時可視化し、将来的に数十〜数百種類規模の化学成分の濃度変化データ取得を行うことで、試行錯誤や品質ばらつき、スケールアップ失敗を削減します。製品の生産効率向上と脱炭素化を両立し、バイオものづくりのインフラとなる会社を目指します。勘と経験頼みの工程判断を、再現性のあるデータ駆動へ変えていきます。

導電性酵素技術について教えてください。

導電性酵素とは、酵素反応で生じた電子を仲介物質(メディエータ)なしに電極へ直接届けることで、化学反応を電気信号として取り出す「第3世代型」バイオセンサの要素技術です。従来の第2世代型では、検出対象物質ごとに酵素・メディエータ・電極の組合せを個別設計する必要があり、構成が煩雑でした。さらにメディエータを経由する過程で電子の流れが乱れやすいため、低濃度域(mM以下)の計測が難しいという課題もあります。導電性酵素は電子を電極に直接届けることで、選択的な電子の流れを実現でき、低濃度域まで高感度に検出できます。私たちはこの特長を活かし、培養液中のグルコースやアミノ酸、有機酸など複数成分のリアルタイム・マルチモニタリングに取り組んでいます。

 

創業ストーリーやこれまでの歩みについて教えてください。

前職の食品企業では、味覚・嗅覚という生体の化学センサに関する研究開発と新規事業開発に携わりました。その中で、光・音・熱・画像などのデータを取得できる物理センサに比べ、培養液や血液などに含まれる化学成分データを取得できる化学センサの普及が遅れていると常に感じていました。2025年1月、EIR参画後は、日本全国1,200超の技術シーズを調査し、京都大学の導電性酵素技術に出会いました。本技術を活用すれば、あらゆる生物の状態を常に把握・最適化してくれる社会が実現できると確信したことが創業を決意したきっかけです。今は、微生物や人間などあらゆる生物のリアルタイム・マルチセンシングデータを用いた新産業創出の構想を磨いています。

今後の展開について教えてください。

今後は、バイオものづくりの研究開発から製造までをつなぐリアルタイム・マルチモニタリング基盤として、まず発酵・培養プロセスでのPoCを重ね、工程最適化や異常検知、品質安定化に効くユースケースを確立したいと考えています。連携したいのは、食品、化学、素材、製薬などのバイオものづくり企業や、培養器・培養プラント製造企業です。特に現在は、技術実証パートナーを求めています。将来的にはリアルタイム・マルチセンシングデータを核に、バイオものづくり領域のAI自律制御プラットフォーマーとなり、国内外の生産高度化と脱炭素化に貢献したいと考えています。いわば、バイオ版の自動工場・自動運転を支える存在を目指します。

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

sangyoshinko@pref.kyoto.lg.jp