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兵庫県立総合リハビリテーションセンターの中にある福祉のまちづくり研究所では、ロボット及びロボット技術が障害者や高齢者の機能改善、生活支援の有用な手段として、医療・介護・福祉の基盤にならしめることを社会実装として考えられ、2011年にロボットリハビリテーションセンターを設立されました。
同センターは、知事の重要施策として組織されましたが、構想はその4年前から始まっており、世界中のどこよりも早くこのコンセプトを考え、どこよりも先んじて準備され、どこよりも進んでいると思われるとのことで、「ロボットリハビリ」は社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団により商標登録されています。
ロボット及びロボット技術の社会実装を成功させるためには、ニーズを把握し、工学者によりロボットを作り、それを製品化前にいち早く現場に導入し、改善を図り、さらに効果のあるリハビリ方法や使い方を開発、製品化し、有効な介護やロボットリハビリを実現させる必要があります。そういったサイクルを成立させ、このサイクルを一元的に管理できる組織がロボットリハビリテーションセンターであるとのことでした。
また、同センターの敷地内には中央病院、介護福祉施設といったニーズが把握できる臨床部門があり、一方で研究所にはロボット専門家等のエンジニア、義肢装具士がおられ、大学や企業とかなり密なコラボレーションを行っている研究開発部門がありますが、日本で唯一この2つの現場が一体化して管理できる体制になっています。
臨床部門では、手を失われた方への筋電義手(ロボットハンド)の訓練や、足を失われた方への、コンピュータ制御義足や人工知能を搭載した義足の訓練も提供されています。また、脊髄損傷や脳血管障害の方には「ロボットスーツHAL」の訓練を提供されるなど、最先端機器を用いたリハビリを日常的に提供されています。
研究開発部門では、次世代型環境制御装置や国産型筋電義手の開発、バーチャルリハビリシステムなど義肢装具・ロボットテクノロジーの研究開発をされています。
今回の調査では、事業概要について説明を受けた後、同センターで臨床運用されている、体に装着して機能を補う「人間装着型(身体アシスト)ロボット」の視察を行いました。
概要説明を聴取した後、施設を視察
奈義町役場には「子育て応援宣言のまち 子育てするなら奈義町で!!」という大きな垂れ幕が掲げられています。同町では、「地域で子どもの姿が見えなくなった」「子どもの声が聞こえなくなった」ということが盛んに言われるようになったことから、危機感を持って子育て支援を始められました。
同町は、7割以上の住民の反対により、平成の大合併には参加されず、単独町政を維持されています。町民の選んだ単独町政であり、本当の意味での協働のまちづくりができているとのことで、ハード事業が早くできているため、ソフト事業に予算を回せることもあり、子育て支援に力を入れておられます。特別変わったことはなく、どこでもしていることの組み合わせをしており、町民の満足度を上げることを一つの目標として取り組んでおられるとのことでした。
人口減少問題は国を挙げての問題となり、地方の自治体は非常に厳しい状況に進んで行こうとしています。同町でも同様に人口減少と少子・高齢化が課題となっていますが、平成26年の合計特殊出生率が2.81となり、同町が目標としている人口維持も取り組み次第では可能であると考えておられるとのことでした。この高い出生率の背景には、若者定住施策や就労対策、独自の子育て支援策を積極的に展開してきた結果が結びついたものであるとのことでした。
同町では、子育て応援宣言の中で、「地域ぐるみで子育てをする」ことを進められており、保護者だけでなく、地域みんなで子育て支援を展開されています。合計特殊出生率の2.81が達成できた鍵は「安心感」にあるとのことです。同町が、出生から大学卒業まで切れ目のない経済的な支援を行っているため、「子育ての負担が軽くなって安心」。結婚を機に新たに転入されてきた方が、チャイルドホームを中心に、友達づくりや相談できる関係づくりが円滑にできるため、「子育ての悩み相談ができて安心」。登下校の見守り、学校支援ボランティアなどにより「町のみんなが子育てを応援してくれて安心」。入居開始時に40歳未満の指定のある若者向け住宅の整備により、円滑にコミュニケーションが図れる「住むところがあって安心」。こういった安心感が積み重なることで達成できたとのことでした。
また、奈義町議会では、議論をしっかりすると同時に行動もしようということで、町を盛り上げるための行動をしようとさまざまな取り組みをされており、議会主催の親の婚活懇談会を開催される予定であるとのことでした。
なぎチャイルドホームを視察後、概要説明を聴取
岡山県では、医療機関の役割分担と連携の促進を図り、効率的で質の高い医療を提供することを目的に、病院の電子カルテや画像などの診療情報を、他の病院やかかりつけの診療所等で閲覧することのできる医療情報ネットワーク「晴れやかネット」を平成25年1月から運用されています。
「晴れやかネット」は、特定の中核病院を中心とするのではなく、2次医療圏を越えた県内全域をカバーされ、平成28年10月31日現在、開示施設は51施設、閲覧施設は426施設となっています。また、厚生労働省の標準規格を用い、異なるベンダーのシステム同士でも情報交換が可能なシステムを構築されるとともに、専用のVPN回線を利用した厳重なセキュリティ対策を取られているとのことでした。
さらに、セキュリティが確保されたネットワークにより、1人の患者に係るさまざまな情報を、医療・介護の多職種で共有する「晴れやかネット拡張機能(ケアキャビネット)」の利用も平成26年3月から開始されています。
また、平成25年8月の中国ブロック衛生主管部局長会議での、「県境地域での医療サービス向上を図ることを目的として、希望する患者の電子カルテ等の情報を医療機関等で参照できる医療情報ネットワークの広域連携について」の提案を受け、岡山県の「晴れやかネット」と広島県の「HMネット」による県境を越えた相互接続が、全国で初めて平成28年4月に開始されました。
これまで、岡山県・広島県の中核医療機関が開示する電子カルテ・医療画像は、各県内の診療所等のみで閲覧が可能でしたが、電子カルテ等の情報共有がなされず、県外の診療所等は閲覧ができませんでした。また、以前から書面や電話等による情報のやりとりはありましたが、診療の詳細な経緯の把握は困難でした。特に岡山県西部の笠岡市・井原市と広島県東部の福山市は生活圏が重複しており、両地域の住民は日常的に県境を越えて医療機関を受診するなど密接な関係があったことから、このことにより、県境をまたがる患者の紹介・逆紹介に際し、今まで以上に質の高いサービスが切れ目なく提供できるようになり、地域医療の充実に大きな役割を果たすことが期待されているとのことでした。
今後は、県境を越えた医療情報ネットワークの活用をさらに促進するためには、患者の同意取得拡大が前提となるため、患者の負担軽減等のメリット等について引き続き普及啓発活動を展開されていくとのことでした。
概要説明を聴取
チャイルド・ケモ・ハウスは、「がんになっても笑顔で育つ!」をスローガンに掲げた、小児がんの子どもと家族のための夢の病院を目指して、平成25年に神戸ポートアイランドに開設されました。小児がんなどの難治性小児疾患を治療中の子どもたちとその家族のQOL(Quality Of Life-生活の質-)に配慮した、日本で初めての専門治療施設です。
小児がんは、現在、7~8割は治癒するようになりましたが、子どもの病死原因の第1位となっています。長い闘病生活を送っている小児がんの子どもたちとその家族は、通常半年~1年の治療期間を要し、とても狭く、規則のある環境で過ごし、また、感染のリスクを回避するために、家族やきょうだいと会う機会も制限されることを余儀なくされています。健康な子どもたちと同じように、自宅のような環境で、家族とともに過ごしながら治療を受けられる環境を理想として、小児がんと向き合う医師や家族の心からの願いを叶える施設となっています。
この施設の19戸の個室では、家のように料理できるキッチン、疲れたときにゴロゴロできる場所、つらいときには泣くことができる場所、きょうだいと遊べる場所、リラックスして入れるお風呂などがあり、自宅にいるように過ごせることを重視されています。また、各部屋には出入口が2箇所あり、部屋ごとに外から直接出入りできる玄関も設置されており、自分の家のように「おかえり」や「ただいま」が言えます。
さらに、外には出ることができない治療生活でも、子どもたちが遊べる公園のようなプレイルームが施設の真ん中にあり、壁にはドネーションプレートを並べた大きな「すごろく」が設置されるなどの工夫がされています。
施設の運営は、公益財団法人チャイルド・ケモ・サポート基金がされており、子どもらしく、家族らしく生活できるよう、さまざまなサポートを行っておられますが、「当たり前の環境」を実現するには、保険診療から得られる診療報酬のみでは、収入を得ることができないため、募金箱の設置や寄付型自動販売機の設置、チャリティイベントの実施などを通じての募金活動により、賛同者を増やす取組を継続的に実施されているとのことでした。
概要説明を聴取した後、施設を視察
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