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京都鉄道博物館は京都市下京区の梅小路公園内に平成28年4月29日、オープンしました。博物館は、昨年閉館した「梅小路蒸気機関車館」と一昨年閉館した「交通科学博物館」の展示物を移設し、時代を象徴する貴重な車両を観ることができる「日本最大級の鉄道博物館」として建設されました。博物館が掲げるミッションは「地域活性化への貢献」。特に京都駅から梅小路エリアの活性化について、地域の住民や企業、団体の皆さんと一緒になって展開していくことを目標とされています。
同博物館の特徴は、1.鉄道に特化した「科学系博物館」、2.博物館展示とSL体験乗車を同一施設で提供、3.体験展示にこだわった構成〔見る・触る・体験〕4.鉄道の仕組みを通じた各コーナーでの安全の取り組みの展示です。館内には鉄道車両の展示はもちろん、鉄道の仕組みに込められた安全の工夫や、安全への取り組み、信号の仕組み、現場で働く職員から直接鉄道の仕事などを聞くことのできる機会(夏休みは毎日実施)が設けられ、来館者を楽しませるさまざまな取り組みが実施されています。また、近隣の小学校等と連携し、理科、社会の授業での活用など、教育関係への働きかけにも力を入れておられます。
約70億円をかけて整備された同博物館。収支を確保するために今後30年間で年平均80万人の入館者目標を掲げておられます。初年度の目標は130万人。開館当初の4月29日(金曜日)から5月8日(日曜日)の入館者数は、約11万人と順調な滑り出しがみられたとのことでした。
今後も地域との共生を目指し、同博物館の基本コンセプトである「地域と歩む鉄道文化拠点(鉄道文化活動の拠点)」をもとに、梅小路エリアへの観光需要の創出、線区価値の向上、さらには鉄道ファンの拡大、家族で楽しみ学べる場の提供などに努め、周辺地域の活性化をはじめ鉄道に対する理解の促進やイメージアップを図るため、博物館の効果的な運営に取り組まれていくとのことでした。
説明聴取した後、展示されている踏切施設など施設内を視察
京都丹波高原国定公園は、綾部市、京丹波町、南丹市、京都市にまたがる約6万9千ヘクタールの区域で平成28年3月25日に環境省から国定公園として指定されました。この国定公園は原生的な自然と人々の営みの中で育まれた里地・里山の景観が共生する全国的にもユニークな公園であり、豊かな自然を守り育てるとともに素晴らしい景観を適切に利活用していく必要があります。府では今回の国定公園の指定を機に、5カ年計画をたてて公園整備を進めていくこととしています。事業規模は平成28年度~32年度の5年で約2億5,300万円。入口の標識や公衆トイレ、歩道、シカ柵などの設置を進めていくこととしており、今年度は標識やトイレ、大学研究林の鹿害を防ぐためのシカ柵の設置を実施する予定です。
視察をしました美山町かやぶきの里は同国定公園のシンボル的エリアであり、国の重要伝統的建造物群保存地区として観光客の人気を集め、平成26年の観光入込客数は約71万人、売上額は7億円程度となっています。しかし、売上額、宿泊者数ともにピークであった平成15年に比べると減少しており、また、一人あたりの観光消費単価は約1,000円と、京都市に比べ10分の1であり、消費額をどうやってあげていくのかが課題となっています。
そこで、地元との交流をもっと深め、さらに消費単価があがり、地域の活性化につながるような取り組みをすすめていくため、自治組織、行政、NPOなどさまざまな業種の方が集まって、平成22年に「南丹市美山エコツーリズム推進協議会」が設立されました。協議会では、地域の自然環境や伝統文化を守るツアーや住民が活躍するツアーなどが企画され地域経済にも貢献しています。例えば京都大学の研究林での「芦生の森ネイチャーガイドトレッキングツアー」ではできる限り地域の人や食材を活用したエコツアーを実施し、年間120本、約2,500名の方が入林されるなどの実績をあげておられます。
国定公園に指定されたことだけではなかなか観光客の増加にはつながりません。さらに環境保全と利用を一体的に進める新たなルール作りも必要です。併せて当該地域を維持し活性化につなげるために、国定公園の魅力をさらに発信し、訪れる人に特別感を感じていただけるような取り組みを、府をはじめ協議会でもさらに進めていくとのことでした。
※DMOとは地域の観光資源に精通し、地域と協働して観光地域づくりを行う法人
説明聴取した後、国定公園内のかやぶきの里を視察
山陰海岸ジオパークは、京丹後市経ヶ岬から鳥取市青谷海岸までの東西約120キロにひろがる、さまざまな岩石や地層、多彩な海岸地形、滝や渓谷など貴重で美しい地形・地質を観察することのできるエリアです。京丹後市では立岩・屏風岩といった日本列島がアジア大陸の一部だった約7000年前頃から現在に至るまでの多様な地質や地形の海岸風景のほか、古墳群や琴引浜、また棚田などその地に根付いた人々の文化や歴史、生活まで見ることができます。
こうした貴重な地質遺産を保護し、さらに地域活性化に活用するため同ジオパークエリアでは平成19年に京都府、兵庫県、鳥取県をはじめ関連市町村が連携して協議会が設立されました。その後、平成20年に日本ジオパーク、平成22年に世界ジオパークネットワークに加盟し、協議会を中心に貴重な地形・地質の自然保護をはじめボランティアによる地域清掃活動などの環境保全活動、小学校等での体験学習会や大学と連携した研究・教育活動、観光客向けのジオツアーなどを実施されてきました。
ジオパークは4年に一度再認定を受ける必要があり、地質遺産の保護と教育や地域活性化への活用の両面の活動が重視され、これが再認定の基準となっています。同ジオパークは平成26年にこれまでの活動が認められ、再認定されました。
本年度はさらに地域経済への好循環を目指し、広域周遊観光キャンペーン事業として兵庫県、鳥取県と連携し、レンタカーなどを活用した旅行商品の販売や情報発信アプリの開発を進め、宿泊客や観光消費額の増額に向けて取り組みを進めています。
同ジオパークをはじめ、ヨーロッパや中国など33カ国120地域が加盟する世界ジオパークネットワークの活動が昨年ユネスコの正式事業となり、さらなる認知度のアップが期待されています。しかし同じユネスコ世界文化遺産等と比較しても知名度はまだまだです。昨今の訪日外国人の増加や京都縦貫道の全線開通は同ジオパークへの誘客にとって絶好の機会であり、3府県と連携し協議会を中心にさらにPRに努め、観光客の誘致、教育への活用などの取り組みを進めて行かれるとのことでした。
説明聴取した後、大成古墳群及び船上から海岸風景を視察
山陰近畿自動車道(鳥取豊岡宮津自動車道)は、鳥取市から豊岡市を経て宮津市に至る延長約120キロメートルの地域高規格道路(※)であり、「京都縦貫自動車道」、「北近畿豊岡自動車道」及び「中国横断自動車道姫路鳥取線」と接続し、山陰及び北近畿の広域的なネットワークを形成する路線です。
今回の調査先であります野田川大宮道路は、山陰近畿自動車道のうち与謝天橋立-京丹後大宮(4.3キロ)の区間であり、平成23年3月に供用開始した宮津与謝道路とともに丹後地域の経済や観光を支援する重要な路線となります。工事着工は平成17年度、総事業費は約169億円、事業主体は京都府であり京都府道路公社が受託して年内の完成に向け、工事を進めています。現道である国道312号は道路幅が狭く、急カーブでかつ急勾配の交通難所区間があり、冬期には積雪・凍結のため通行が困難なこと、観光シーズンには渋滞や事故の発生する区間となっていることから、当該道路の完成が地元を中心に望まれています。
また、当該地域は日本海側で唯一の高速道路空白地帯とされており、山陰近畿自動車道が開通することにより、鳥取東部、但馬、京都北部の3地方生活圏の医療や防災といった都市機能が共有でき、また「海の京都」をはじめとする観光の活性化、物流の効率化により地域の活性化が見込めます。総距離120キロのうち現在、3府県で供用が開始されているのは28キロとなっています。
今回の調査では、進捗状況の説明を受けたのち、実際に工事現場を視察しました。主要な構造物、トンネルは既に完成をしており、年度内の開通に向けて着実に進んでいること、また工事中に発生したトンネル事故への対応やスケジュールへの影響の有無などを改めて確認しました。
同時に府の南部において工事が進行しています新名神高速道路の城陽-八幡間(3.5キロ)が開通すれば、京都府の京丹後市から木津川市までの約140キロが高速道路で直結し、2時間弱で結ばれることになります。道路の開通により、災害時の緊急輸送の強化や物流が一層促進されることが期待されています。
(※)地域高規格道路とは
地域間の「連携」や「交流」、港湾などの交流拠点との「連結」などの役割を担う道路で、自動車専用道路またはこれと同等の規格で60~80キロ/hの高速サービスを提供するもの。
説明聴取した後、工事現場を視察
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