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農商工労働常任委員会管内調査(平成28年7月21日)

府立林業大学校(船井郡京丹波町)

林業の担い手育成について

府立林業大学校は、西日本初の林業専門の大学校として、平成24年4月に開校しました。全国の自治体で初めて最新鋭の高性能林業機械の操作研修を取り入れており、実践的な研修を経た後、即戦力の証として、京都府が独自に認証する高性能林業機械操作士の資格を取得することができます。

4年前の創設期、「なぜ京都に林大なのか」という質問をよく受けましたが、古い都を守り支えてきた周辺の山々だけでなく、京都府はその面積の4分の3を森林が覆う「森林府」で、全国で唯一、産学官連携と市民協働の取組であるモデルフォレスト協会を有していることなどから、全く不思議なことではないとのことでした。本府も京都の魅力として、「お茶の京都」、「海の京都」と共に、「森の京都」を打ち出しています。

これからの、森林をベースにした循環型社会の実現には単に自然が好きなだけでなく、自然を尊敬して、その心理・摂理を現実面に活用することのできる人材が必要で、そのような人材の育成を目指しているとのことでした。

「森林林業科」と「研修科」の二つのコースがあり、「森林林業科」では、社会人に必要な基礎的な素養を身につけながら、森林・林業の基礎から経営管理、実践的な技術・知識まで、即戦力として活躍するのに必要な力を2年間で学び、様々な資格を取得して、就職・就業に結びつけることを目指します。特に「森林公共人材専攻」では、全国初となる森林公共政策士の資格を取得できます。「研修科」は、社会人の方が働きながら、森林保全活動、野生鳥獣害対策、木に関わる文化まで、幅広く学べるコースです。京都の多くの大学や企業と連携した教育・実習体制や、先進技術から文化まで京都を代表し、第一線で活躍される方々を講師に迎え、森林・林業に関するエキスパートを育成します。

大学施設は京丹波町の庁舎の一画を借りています。開校を契機に、京丹波町が中心となって「林業大学校地域連携協議会」が発足しており、地域ぐるみで大学と学生の生活をサポートしています。大学からも地域貢献活動、地域の祭り等の行事参加を積極的に進めています。

平成28年度は5期生の17名が入学しました。現在、卒業生は58名で、府内外の森林組合等に就業しているとのことでした。

説明聴取後、京都府産木材を活用した実習棟や学生ホールなど学校内を視察しました。  

主な質疑

  • 林業の担い手を「融通性のある人」に育てることの意味について
  • 卒論のテーマや発表の場について
  • 自営業等に必要となる経営的な教育課程などについて
  • 友好提携国との学生交流や今後の派遣予定について  など

林業大学校説明聴取

実習棟の視察

説明聴取した後、実習棟を視察

京都新光悦村(於:南丹広域振興局(南丹市))  

京都新光悦村職人工房について

江戸時代初期、本阿弥光悦によって京都洛北・鷹ヶ峰の地に形成された「光悦村」には、さまざまな分野の工人が移り住み、交流機会が創設され、次々と新しい技や表現が生み出された拠点になったと言われています。

「京都新光悦村」は、日本の芸術や工芸の発展に大きく貢献したこの「光悦村」の精神を継承し、これからの産業やものづくりのあり方を示す新しいスタイルの産業拠点を目指しています。平成18年9月から分譲を開始し、現在、京都の伝統と文化に根ざした、ものづくり企業や工房など9者に、18区画(全体の約37%)が分譲され、工場や工房として稼働しています。また、工房・アトリエ向けの小区画では、職人さんなど個人の方も立地が可能です。分譲地は、平成27年7月の京都縦貫自動車道全線開通により、阪神方面だけでなく、舞鶴港をはじめ府北部地域や日本海沿岸地域へのアクセスも向上しています。

この京都新光悦村の一画に、この度、府内産木材を活用した、移動可能なトレーラーハウス型の職人工房が2台整備されました。同工房は、6.5畳程度の広さで、アルミ製の骨格の外壁面を府内産の杉で覆い、エアコン、LED照明器具、作業机、椅子、ピクチャーレール等の付属設備がついています。床下には4輪のタイヤがあり、自動車がけん引してイベント会場に移動することも可能です。府のイベントなどで、工芸品の展示や販売スペース、芸術作品の制作活動の場や会議や打合せスペースなど、様々な用途で活用できる工房です。

また、平成28年6月から一般貸出を開始し、利用を募っています。

同工房が、新光悦村に整備され、様々なイベントなどで活用されることなどを通じて、伝統産業の職人をはじめ芸術関係者などに新光悦村へ関心を持ってもらい、誘致の促進となることが期待されるとのことでした。

主な質疑

  • 新光悦村の入居状況について
  • 入居促進に向けた会社訪問等の働きかけの状況について
  • 伝統産業に関する企業の入居状況について
  • 当初の計画とコンセプトについて
  • 家族移住と雇用についての考え方について
  • 作家同士が刺激し合う場の設置状況と成果について
  • 職人工房の活用と新光悦村への入居促進との関係について  など

職人工房説明聴取

職人工房視察

説明聴取した後、京都新光悦村内の一画に設置された職人工房(トレーラーハウス)内を視察

京北プレカット株式会社(京都市右京区)

府内産木材の生産振興について

京都府では、「成長型林業構想」(計画期間:平成27年度~平成30年度)に取り組んでいます。同構想は、林業・木材産業の成長産業化に向け、京都府における木材の生産・流通・消費の10年先の目指す姿と施策展開の方向性を示す計画で、府内の豊富な森林資源を有効活用することを目的とする大型木材加工施設等の整備指針として活用されています。また、木材加工施設の体制強化などの施策にも取り組むこととしています。  

京北の地域は、昔から京都の木材生産の中心地で、府内の森林率74%を大きく上回る93%という山深い地域です。森林組合や木材市場があり、木材を切って搬出する一般の素材業者も多い地域です。なかでも京北木材総合センター(主に製材加工を行う京北森林組合などの事業体で構成されている)では、京北地域の木材生産拠点として製材や丸太加工等が行われています。

その隣接地にある、京北プレカット株式会社は、木材の生産から流通部門の連携強化、加工経費の低減、品質規格の統一を図り、「京北材の銘柄化」を確立し、地域の活性化につなげるため、平成3年9月に、京北町、京北町森林組合、京北木材総合センター等出資の第三セクターとして設立され、現在は、株式会社かつら木材グループとなっている会社です。同社は、府内産木材等のプレカット加工を行い、府内外の工務店等に提供しています。プレカット加工とは、木造住宅の柱や梁の継ぎ手などを、工場であらかじめ加工することで、建築現場での加工作業を最小限にするものです。平成27年度には、今後需要の拡大が見込まれる国産材利用の公共建築物や非住宅の大型建築物への対応を強化するため、木材を事前に加工し、金物を取り付けておく金物工法やCLT(直交集成板)、大断面集成材の加工にも対応する、より高度な特殊加工機を導入されたとのことでした。同社は、京北木材総合センターとの連携を図りながら府内産木材の需要拡大に取り組んでいます。

調査事項に係る説明聴取後、同社の工場でプレカット加工等の現場を視察しました。

主な質疑

  • 工場の特徴と加工機械の性能について
  • 府外から搬入された木材の運送費と価格の関係について
  • 新たに購入した機械とプレカットによる今後の付加価値向上について  など

プレカット加工の説明聴取

プレカット工場視察

プレカット加工の説明聴取した後、工場を視察

 

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398