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総務・警察常任委員会管外調査(平成28年11月9日~11日)

多言語支援センターかながわ(神奈川県横浜市)

「多言語支援センターかながわ」の外国人支援の取組について

神奈川県内には、県民の1.9%を占める17万4千人の外国籍県民が暮らしているため、同県ではお互いの多様な文化を尊重しながら共に生きる「多文化共生社会」を築くことが必要であると考え、その実現のための方策として、多言語による情報提供が極めて重要であると認識されています。

外国籍県民の増加に伴い、多言語による情報提供のニーズが高まる中、市町村においては対応が困難なケースが見受けられました。また、通訳の派遣依頼に対して十分応えられない事例も増加したことから、それらの諸課題を解決するため、「多言語支援センターかながわ」が設置され、平成28年6月から運営を開始されました。

同センターの主な業務には、外国籍県民や来県外国人のためのコールセンター(多言語ナビかながわ)の運営があり、保健医療、子育て支援、災害などに関する問合せに対し、英語、中国語、タガログ語、ベトナム語のほか、やさしい日本語でも対応されています。そのほか、通訳者が不足している希少言語(ベトナム語やタガログ語等)の人材を確保するとともに、通訳者育成のためのスキルアップ研修を実施しているほか、地域で外国籍県民を支援している方を対象とした研修を行っておられます。

なお、同センターは県有施設である「かながわ県民センター」に設置されていますが、その運営主体は、「公益財団法人かながわ国際交流財団」と「NPO法人多言語社会リソースかながわ」です。このNPO法人は、県からの委託により通訳派遣事業を実施しており、とりわけ医療通訳派遣事業は年間5千件を超える派遣実績があり、多言語支援センターかながわではこれらの事業と連携した取り組みを行っておられます。

また、多言語支援センターかながわは、今後、外国籍県民等に対する情報提供を充実するとともに、災害発生時には同じ建物に入居する「災害救援ボランティア支援センター」と連携して、確実な支援体制を確立することを目指しているほか、通訳の需要が高まっている希少言語の通訳者の人材を直接雇用することにより、通訳派遣のニーズ増に対応していきたいとのことでした。

主な質疑

  • センターの運営における県、財団、NPOの役割分担について
  • 外国人犯罪への対応状況について
  • 政令市との連携状況について など

多言語支援センター概要説明

多言語支援センター視察

概要説明を聴取した後、センター内を視察

警視庁(東京都千代田区)

テロ対策東京パートナーシップの取組等について

警視庁では、平成19年に東京都が発表した「『10年後の東京』への実行プログラム2008」の施策のうち、「最先端技術の活用と官民パートナーシップの構築によるテロ対策」に基づき、東京都など関係行政機関と民間事業者が連携して、テロに対する危機意識の共有や、大規模テロ発生時における協働対処体制の整備、その他首都東京にふさわしい高精度でスマートなテロ対策を総合的に構築・推進するため、「テロを許さない社会づくり」をスローガンに平成20年11月、「テロ対策東京パートナーシップ推進会議」を立ち上げられました。

同推進会議では、「テロを許さない社会づくり」のために、以下の6つの取り組みを定め、活動されています。

  1. 合同訓練の実施(テロが発生した際、被害の抑制等、効果的な対応ができるよう訓練を実施)
  2. 合同パトロール・キャンペーンの実施(合同パトロールやキャンペーンの実施を通じ、テロ等の未然防止のほか、都民に対する理解と協力の呼びかけ)
  3. 検討会・研修会等の実施(テロ情報や専門知識を共有し、危機管理体制の強化を目的として実施)
  4. テロ情報ネットワークの構築(情報共有や意思の疎通を図るためのネットワークを構築し、連携を強化)
  5. 非常時映像伝送システムの構築(民間防犯カメラを活用し、テロ等の大規模災害発生時に被害状況を把握できるシステムを構築)
  6. テロ対策相互協定の締結の検討(テロ等の発生に備え、必要な協定の締結に向けた検討)

さらに、平成21年には、地域の特性に応じた形でより実践的、効果的に推進するため、品川警察署、東京空港警察署、丸の内警察署管内をモデル地区に選定し、「地域版パートナーシップ」の構築、活動を開始されました。

そして、このような取組を都内全域において展開・推進するため、平成22年6月末までに、102全ての警察署単位で「地域版パートナーシップ」を発足させ、「テロを許さない街づくり」をスローガンに、テロ等を想定した合同訓練や都民の理解と協力を呼びかけるためのキャンペーン等の広報活動などを行っておられます。

そして、平成23年12月に策定された「2020年の東京」、「『2020年の東京』への実行プログラム2012」でも、引き続き、テロ対策東京パートナーシップ推進会議において、様々な課題や対処方策を検討するとともに、地域に根ざした官民一体のテロ対策を効果的に推進していくこととされました。

警視庁としては、今後も引き続き、「テロを許さない社会づくり」、「テロを許さない街づくり」を合い言葉に、様々な取組を行っていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 警察組織内部の連携について
  • 不審物、不審者に対する対応について
  • 海上保安庁や自衛隊との合同訓練における課題について など

 

茨城県議会(茨城県水戸市)

茨城県のネット広報戦略について

茨城県は全国都道府県で唯一、民間の県域テレビ局がないため、県民が映像により地域情報に触れる機会が少ない状況でした。テレビ局開局には莫大な経費がかかりますが、インターネットの普及により、動画配信環境の整備が進んだことから、国の緊急雇用対策事業等を活用し、平成24年10月1日にインターネット動画サイト「いばキラTV」を開局されました。

同局では、茨城県の県政情報や地域の魅力を伝える動画を制作し、インターネット等を通じて情報発信することにより、県民の郷土に対する愛着心や一体感を高めるとともに、同県の魅力を国内外に発信し、交流人口の拡大やUIJターンの促進、県内産業の海外展開等の取組を支援し、広げることを目的とされています。

オンリーワン又はニッチなジャンルで、テレビとは違う画面の小さなモバイル端末で視聴されることを意識した動画作りを行い、検索の際に見つけやすいタイトルを付け、短い動画尺で速いテンポ、印象的なシーンを冒頭に持ってくる等、離脱されにくい構成にしたところ、YouTubeを活用した自治体の動画サイトとしては、本数、視聴回数、チャンネル登録者数ともに、日本一になりました。

また、YouTubeを活用した動画配信は、動画をアップロードするサーバーの維持コストが低くて済むことや、SNSへのリンクや埋め込み等が容易で、ユーザー層や視聴環境等の詳細な分析が可能です。文字や写真では伝わりにくい情報も、映像により視覚的にわかりやすく伝えることが可能であり、地理的制約がないインターネットの特性を活かし、県内だけでなく日本全国や海外への情報発信も可能です。テレビと異なり、いつでもどこでも視聴できて、新聞購読率の低下等により広報紙を含む既存の広報媒体の到達度が低下傾向にあるなかで、若年層をはじめとして利用度の高いインターネット動画は重要な広報媒体になりつつあり、インターネット動画配信の意義は高いとのことです。

今後の課題としては、「いばキラTV」の認知度のさらなる向上と、インターネット動画の理解促進を図り、茨城県の魅力をさらに発信する必要があるとのことでした。

主な質疑

  • 予算規模について
  • 県内の事業者への発注について
  • 情報を発信する側が注意すべき点について など

茨城県議会概要説明

 

西武園競輪場(埼玉県所沢市)

埼玉県競輪事業の包括委託について

埼玉県は、西武園競輪場と大宮競輪場の2か所の競輪場を運営しています。西武園競輪場は西武鉄道が設置した競輪場で、競輪を開催する際は、競輪主催者である埼玉県が、同社から施設を借り上げて運営しています。平成27年度の同競輪場の開催日一日平均の入場者数は2,113名ですが、これは全国43か所の競輪場のうち、上から10~11番目の順位に位置するとのことです。

また、同県は平成19年度以降に、県内の7つの市営競輪の開催を引き受けていますが、当時、市営競輪の年間収支はすべて赤字であり、県が直営で開催した場合でも年間2,600万円の赤字になることが判明したことから、より効率的な運営を行って経営基盤を強化する必要がありました。そのため、施行者(埼玉県)固有の業務(競輪開催日、選手賞金等の決定)や競技に関する事務(自転車の競走前検査、審判業務等)を除く業務を、一つの業者に包括的に委託する「包括民間委託契約」を導入することになりました。包括受託事業者の業務は、車券の発売・払戻、警備、清掃、イベント、広報・宣伝、投票機器の保守整備、従業員の雇用など運営業務全般となっています。

埼玉県の包括民間委託契約の場合は、まず、収益先取り方式により包括委託料の計算を行っていることです。収益先取り方式とは、事業収入から義務的経費と売上連動の収益率によって計算した施行者利益(総売上×0.6%~0.32%)を控除した残りの額を包括委託料とするもので、施行者の収益額の最低保証は1億円と定めています。

収益先取り方式を採用することで、車券売上の減少や義務的経費の増加などによる様々な経営上のリスクに左右されることなく、確実に収益を確保できます。また、車券の売上が増加すると委託料も増加するため、包括受託事業者は積極的に車券売上の向上に取り組むという利点があります。

包括民間委託契約の導入による効果としては、集客、宣伝、ファンサービス等の効果的な展開や、専門性の高いスタッフによる安定した事業運営など、民間のノウハウや経営資源の活用による効率的な事業運営の実現があります。契約期間が複数年に設定されていることもあり、償還可能な機器であれば、契約期間中に受託業者が自ら整備するなどの効果もみられ、経営基盤の強化が図れるとのことでした。

なお、包括民間委託契約の課題としては、県の方に個別業務に係るノウハウが蓄積されにくくなり、主体的な指導が難しくなることや、契約期間満了間近になると、売上向上(県収益に連動)が実現できる新たな取組であっても、事業者の投資意欲が減退することなどが挙げられるとのことでした。

また、施行者として積極的に売上向上に向けた努力を行うため、平成29年1月から「ミッドナイト競輪」を開催するとのことでした。

主な質疑

  • 委託契約の条件について
  • 委託後の雇用状況について
  • 防疫活動との連携について
  • 中長期的な設備の改修計画について など

西武園競輪場概要説明

西武園競輪場視察

概要説明を聴取した後、競輪場内を視察

 

NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(神奈川県横浜市)

オープンデータを活用した「LOCAL GOOD YOKOHAMA」の取組について

LOCAL GOOD YOKOHAMA(以下、ローカルグッド)は、市民の力を合わせて地域課題を解決するITプラットフォームです。ローカルグッドは、地域住民や企業、NPO法人などの民間団体が中心となって、顔の見える関係を大切にしながら、サービスや情報の循環の構築を目指し、地域を良くする活動に多くの方が参加するきっかけをつくっていますが、以下の4つの機能があります。

  1. 課題を知る、投稿する、投稿された課題を見る(人口371万人の政令市・横浜市の18区それぞれの課題、子ども・若者、ダブルケア、郊外住宅団地の再生などのテーマごとの取り組みを知るコンテンツを提供し、投稿できる機能)
  2. データを見る(横浜市のオープンデータも活用し、各種のデータをイラストやグラフ等で分かりやすく「見える化」)
  3. 活動を知る(地域を良くする取組を、取材記事やインタビューで紹介)
  4. 支援する(必要な資金を多くの市民から集める「クラウドファンディング」と呼ばれる仕組みで資金提供したり、提供できる技術などを登録できるスキルマッチング機能を使って仲間になることが可能)

なお、ローカルグッドの運営主体は、会員数約500人の横浜コミュニティデザイン・ラボというNPO法人で、横浜市を中心とした各地域を舞台に、市民の公共の利益増進に寄与することを目的として平成14年に活動を開始しました。

LEARN(学ぶ)、MAKE(つくる)、SHARE(共有する)をキーワードとして、市民が地域社会に創造的に関与する機会をつくることを目指しながら、まちづくりに関する調査・研究・コンサルティング事業やコミュニティビジネスの研究・開発等の事業を実施されています。

特に、オープンデータの利活用については、横浜市と連携して積極的に推進していますが、大学の研究者やIT技術者の方に働きかけて、「横浜オープンデータソリューション発展委員会」を立ち上げるなど、行政や民間が持つデータを共有・活用する仕組みづくりに取り組んでおられ、今後も引き続き、市民や企業、大学等のリソース(資源)を積極的に取り入れて、事業を進めていきたいとのことでした。

 

主な質疑

  • 神奈川県との連携状況について
  • NPO法人立ち上げ時の活動資金について
  • 発信情報の正確性の担保について など

横浜コミュニティデザイン・ラボ概要説明

横浜コミュニティデザイン・ラボ視察

概要説明を聴取した後、作業スペース等を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398