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更新日:2018年3月28日

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府民生活・厚生常任委員会管内調査(平成29年11月21日から22日)

るんびに学園綾部こどもの里(綾部市)

施設の概要及び運営方法について

児童心理治療施設は、心理的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに学校教育との緊密な連携による総合的な治療・支援を行う施設で、京都府内にはるんびに学園のほかに京都市内にもう1施設あります。

同園は、中高生の問題行動をなんとか解決したいという思いから、平成14年に法人認可を得て、翌年の6月に綾部市に開園されました。定員は30名で、現在、小学生11名、中学生13名、高校生1名が入所しています。それぞれ児童相談所の判断のもと入所してきた京都府内や近隣府県出身の子どもたちです。

施設内には心理治療室や食堂がある本館棟、子どもの暮らす居住棟、また学校教育施設である綾部市立東綾小学校・東綾中学校の分教室(特別支援学級)があり、児童指導員やセラピストなど20数名がそれぞれ働いています。

同園では、個別またはグループによる心理的治療が行われ、気になる行動や症状の原因(不安、心の傷)を取り除けるよう取り組まれているほか、併せて家族の育児相談、教育相談も行い、退所後の家庭生活に備えています。そのほかにも開園以来、和太鼓活動に積極的に取り組み、地域の皆様の支援のもと各地のイベントに出席するほか、サッカーやお茶などの活動を通じて子どもたちが自信を得て、家庭や地域へ戻れるようさまざまな取り組みを実施しています。

当委員会では大阪市内にある同様の施設(聖家族の家)をすでに視察しており、同園においては、都市部と違った環境にあるメリットやデメリット、近隣府県から入所している状況、家族との関係などについて質問がありました。

施設では、開園20周年を迎えるにあたり、さまざまな支援を仰ぎながら施設の改修などを進めていきたいと考えられています。これからも入所している子どもたちが順調に回復できるよう、自立支援に取り組んでいかれたいとのことでした。

主な質疑

  • 学園への入所及び退所基準について
  • 施設への府の支援、関わりについて
  • 当該施設が山間に立地していることのメリット・デメリットについて
  • 施設の利用者数及び出身地域について
  • 退所後の生活支援について
  • 児童受け入れ等に関する府県間協議について など

施設内を視察

リフレかやの里(与謝郡与謝野町)

農福連携の取組について

これまでから府内の地域に密着した福祉事業所において、障害のある方がその特性に応じて就労の場として農業に関わり、京野菜などの農作物や加工品、宇治茶を使ったお菓子などを地域で生産し、販売してきた実績がありました。こうした農福連携事業は、障害の能力に応じた適正な働き方が可能になること、また、農業に携わる人材の減少にも対応できること、さらに障害のある方が地域に参加することで交流が生まれ相互理解が進むことなどの効果が期待されています。こうした状況を背景に、府では本年5月に「きょうと農福連携センター」を立ち上げ、京都式農福連携補助金の創設や技術指導を中心にさらなる農福連携の推進に向けて本格的な取り組みを始めました。全国的にも農福連携事業は広がりをみせており、都道府県が連携してこうした取り込みを地域に定着させるための「農福連携全国都道府県ネットワーク」が設立されています。(京都府は発起人)

視察しました「リフレかやの里」は、与謝野町において農産物加工所、レストラン、浴場、宿泊施設が一体となった複合施設で、地域の農産物を活用し、障害のある方や地元の住民などがともに働ける場となっています。同施設は閉鎖されていた施設の再生を目指して平成23年に福祉と地域と行政が連動し、就労継続支援事業A・B型事業所として、利用者20名、職員6名で再スタートしました。現在A型では14名の方がレストラン厨房、ホール、フロント、清掃、農業に従事しており、B型においては7名の方が農産加工(ジュース、ジャム、ドレッシング等)、パン・菓子の製造に取り組んでいます。

出席いただいた九条ネギの生産をされている農家の方によると、九条ネギの加工をリフレかやの里で行い、付加価値を付けて販売できるようになったことに本当に感謝されているとの感想なども聞かせていただき、着実に地元の農家さんと連携され、事業を進められていることがうかがえました。

リフレかやの里での意見交換の後、「野田川共同作業所」を視察し、九条ネギの育苗の様子を見学しました。九条ネギの苗が一つ一つ丁寧にハウスで栽培されており、援農活動を通じて地域の農家から大変感謝されているとの話も伺いました。

町では、過疎や高齢・少子化、就労場所の不足、獣害、農業の後継者不足、地場産業の衰退といった課題を抱えていますが、農福連携の取り組みはこうした地域の課題を解決する可能性があり、府と連携してさらに事業を進めていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 九条ネギ栽培を選んだ理由について
  • 販路開拓について
  • レストランで提供する食材の産地について
  • ネギ栽培の技術支援について
  • 農福連携による町全体への効果(雇用等)について
  • 今後の方向性(規模拡大等)について など

野田川共同作業所を見学

宮津総合実習センター(宮津市)

介護福祉人材の育成について

府と福知山市、舞鶴市、宮津市では、北部地域で不足している介護・福祉人材を確保するため、それぞれが人材養成校の設置や研修、実習の場の確保などの役割を担い、若年者にも魅力があり、現任職員の資質向上にもつながる全国初の京都式モデル「京都府北部福祉人材養成システム」に合意・協力して取り組んでいます。

視察しました同実習センター「Ma・Roots」(マ・ルート)は、この取り組みの一環として、宮津市内における高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉の現場で実践教育を可能とする「現場一体型人材養成拠点施設」として本年開設されました。

同実習センターには、実習施設・福祉施設、特別養護老人ホーム、保育所、障害者・児施設(就労継続支援B型、生活保護、放課後等デイ)があり、高齢・障害・保育を総合的に学べる(実習)空間となっています。施設名称「Ma・Roots」(マ・ルート)には人と人を結びつける「ごちゃまぜ」の意味があり、多様な人々の心のふるさと(居場所)となるようにという思いが込められています。設置者である社会福祉法人みねやま福祉会では、まさに多様な利用者がいることで、地域の人々や学生がつながり、支え合う場所として機能していくことを目指しておられます。

府では、京都府介護・福祉人材確保総合事業において、平成27年度~29年度の3年間、北部地域において、1,000人の人材確保を目標としており、北京都ジョブパークの福祉人材カフェとこのシステムをしっかりと連携させ、養成した人材の確保・定着を目指して取り組みを進めています。現在、平成27年~28年度の2年間で712人の実績を上げています。

福祉の現場は閉鎖的でイメージが良くないと思われていますが、働いている職員にとってはやりがいがあり、良い職場であることを地元の小中高生にさらにアピールしていくことも重要です。そのように教育機関とさらに連携し、地域に開かれた施設にすることで福祉人材の確保につなげていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 地元の学校との連携について
  • 有資格職員数について
  • 受入希望の大学の所在地について
  • 福祉施設での労働条件の実態について
  • 宮津市内の介護施設の人材の募集状況について
  • 宮津市内の空きベッド数について
  • 離職理由について
  • 北部での福祉人材確保計画(27から29年度の3カ年で1000人)の根拠について など

施設内を視察

福知山市消防本部(福知山市)

わがまちの消防団強化・応援事業について

府では大規模災害等発生時に備えて府内市町村の消防防災体制の強化を図るために、地域防災力総合支援事業として多機能型消防車等整備事業、救助資機材等整備事業を実施し、消防設備の充実を図っています。

視察しました福知山市は、ここ数年、毎年のように風水害が発生しています。こうした災害に対応するため、地域防災力総合支援事業を活用してポンプ車を多機能型積載車に更新するとともに、救助用アルミボートの導入、簡易デジタル無線の整備などに取り組んできました。そのほかにも風水害対策として研修会の開催をはじめ、救助用ボートの操舟訓練、ライフジャケットの整備などを進めています。

同市の消防団は昭和22年に結成され、平成18年の市町合併により29分団となりました。消防団員数は条例定数2,160人のところ、実員は1,855人で定員の充足率は85.9%、団員のうち女性は20人となっています。団員の年齢別構成では40歳以上50歳未満が一番多く、続いて30歳以上40歳未満となっています。そのほかに女性団員で構成する「ふくちやまファイヤーエンジェルス」があり、消防団本部付けとして「カラーガード隊」と「ファイヤーガード隊」で組織されています。それぞれ、地域で行われるさまざまなイベントに出演することで、防火の啓発活動や地域防災意識の啓発活動に取り組むなど、防災広報の一翼を担っています。こうした活動は地域の安心安全に貢献したとして、平成29年度「京都府あけぼの賞」を受賞されました。

いずれの市町村も抱えている課題は消防団員の確保であり、府でも市町村と協働して団員確保に向けてさまざまな取り組みを進めています。同市においても地域の安心安全を守るため、消防団員の確保とともに消防設備の充実を図り、風水害に備えて日頃からの消防活動に取り組んでいくとのことでした。

主な質疑

  • カラーガード隊、ファイヤーガード隊の効果、報酬について
  • ボートの管理、団員のボートの操縦可否について
  • ポンプ車の更新(多機能型積載車への更新)について
  • 消防職員数について
  • 台風災害時(台風21号)の対応について など

中央分団で多機能型消防車を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398