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製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン及びその概要

令和元年度の医薬品医療機器等法改正のうち、令和3年8月施行分において、許可業者等の法令遵守体制の強化が行われます。

厚生労働省において、これに合わせ、「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン」の発出を予定しており、この度、その案についてパブコメを実施、その結果及び結果を踏まえた修正案が公表されています。
令和3年8月の施行に向け、製造販売業者、製造業者におかれては、本ガイドラインを参考に、役員を含む法令遵守体制の整備(見直し等)を行う必要があります。

ガイドライン(パブコメ結果の別添:外部リンク)(外部リンク)

厚生労働省パブリックコメント結果(意見及び厚生労働省の見解)(外部リンク)

各遵守事項等について箇条書きにまとめましたので、参考にしてください。
枠で囲った部分は、パブコメ結果の抜粋(厚生労働省の考え方(主なもの))です。
なお、製造業にも適用される内容等を明確化するため、一部文言を置き換えています。
(例: 総括製造販売責任者等 → 責任者等、製造販売業者等 → 事業者)

(目次)

第1 基本的考え方
第2 事業者の法令遵守体制

第3 薬事に関する業務に責任を有する役員
第4 責任者等

ガイドラインの前提

  • 医薬品等の許可等業者のうち、製造販売業者及び製造業者(以下「事業者」)が法令遵守体制を構築するための取組みを検討し、実施するに当たっての指針
  • 具体的な取組みは、事業者の業態や規模に応じて実施することを想定

(厚生労働省の見解)

  • 本ガイドラインは、製造販売業者等が、製造販売業者等の法令遵守体制等に関する規定に基づく措置を講じるに当たっての基本的な考え方、実施が求められる措置の内容及び実施することが望ましい事項等を示す指針として策定するものです。
  • 本ガイドラインにおいて、製造販売業者等が遵守しなければならない事項として示した内容は、本規定に定められた事項及び本規定に基づく政省令に今後定められる予定の事項についての解釈を示したものです。
  • 第2以下においては、以下の1.~3.の事項について、それぞれ以下の表現を用いています。
    1. 本規定及び本規定に基づき今後定められる予定の政省令に基づき遵守しなければならない事項
      「・・・なければならない」
      「・・・必要がある」
      「・・・求められる」
    2. 1.の事項の例示
      「・・・が考えられる」
    3. 1.の事項を遵守するために推奨される事項
      「・・・重要である」
      「・・・効果的である」
      「・・・望ましい」
  • 本ガイドラインが示す指針の中で、医薬品の製造販売業者が、製造販売に関する業務のうち、医薬品の品質管理及び製造販売後安全管理に係る業務を、薬事に関する法令の規定を遵守して適切に実施するために、どのような社内体制を構築すべきかを検討するに当たっては、本ガイドライン及び「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について」(平成29年6月26日薬生発0626第3号)(以下「三役留意事項通知」)は相互に補完する関係にありますので、本ガイドラインに加え、三役留意事項通知に留意する必要があります。

 

第1 基本的考え方

1 許可等業者の責務

医薬品、医療機器等は国民の生命・健康に関わるものであり、保健衛生上の危害の発生・拡大の防止の観点から、これらを製造販売、製造、販売する者には高い倫理観と関係法令を遵守して業務を行うこと

  • 薬事に関する法令とは、薬機法、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)並びに薬機法第5条第3号ニに規定する薬事に関する法令をいいます。

 

2 法令違反の発生と法令遵守に向けた課題

  • 責任者と役員の責務や相互関係が法律上明確でなく、それぞれが行うべき業務が適切に実施されないことにより、法令遵守のための改善サイクルが適切に機能していない
  • 事業者内部において法令遵守体制等の構築・運営等の責任の所在が不明確

3 薬機法が求める法令遵守体制

令和元年の法改正により、次の3点を法律上明記

  • 法令遵守体制の構築を義務付け、法令遵守のためのプロセスを機能させることを要求

[法令遵守のためのプロセス]

  1. 法令遵守を重視する統制環境を構築
  2. 事業者において規範を策定し、事業者内に周知徹底
  3. 当該規範に基づき業務を遂行
  4. 当該業務の監督を通じて問題点を把握、改善措置を実施
     
  • 薬事に関する業務に責任を有する役員(責任役員)」を法令上位置付け、その責任を明確化

[責任役員のすべきこと・責任]

  1. 法令遵守体制の構築
  2. 薬事に関する法令を遵守するために主体的に行動
  3. 事業者の法令違反について責任を負う
     
  • 責任者等(総括製造販売責任者、製造管理者等)ついて、現場における法令遵守等の問題点を最も実効的に知り得る者として、許可等業者に次の事項を義務付け

[責任者等に関する事業者の遵守事項]

  1. 必要な能力及び経験を有する者を選任すること
  2. 責任者等の意見を尊重し法令遵守のために必要な措置を講じること
     

第2 事業者の法令遵守体制

(厚生労働省の考え方)

  • 法令遵守体制について、「このような体制を構築すれば十分である」というテンプレートは存在しません。逆にいえば、提示されたテンプレートに当てはまる体制を取り入れたからといって、製造販売業者等ひいては責任役員が、自社の法令遵守体制をどのように構築すべきかを検討し、必要な措置を講じるという責任を免れるものではありません。
  • 各製造販売業者等が、薬事に関する法令を遵守して業務を行うために、どのような社内体制を構築すべきかは、各製造販売業者等の業務内容、事業規模、役職員の状況、社内組織の状況等の様々な個別の事情により異なるものです。各製造販売業者等は、自社において法令等の違反が生じるリスクを評価し、そのような違反が生じないためにどのような対策を行うべきかを検討し、不断の改善を行うべきです。
  • 本ガイドラインは、各製造販売業者等がそのような検討等を行うに当たっての参考なるよう、本規定の解釈、基本的考え方に加え、検討すべき観点や体制の具体例を示しています。
  • 第2に示した法令遵守体制に関する事項は、必ずしも、新たな社内規程を作成することや、新たな業務の監督に係る体制を構築すること等を求めるものではなく、製造販売業者等において、薬事に関する法令だけでなく、会社法その他の法令等を踏まえ、既に構築している体制を活用していただくことを想定しています。
  • 重要なのは、薬事に関する法令を遵守して業務を行うことを確保するために、既に構築している体制で十分かどうかを、製造販売業者等ひいては責任役員において不断に検討し、不十分な点がある場合には、新たな体制の構築や既存の体制の改善等の措置を講じることです。

 

 1 法令遵守体制整備の考え方

法令遵守体制の基礎となるのは、事業者の全ての役職員に「法令遵守を最優先して業務を行う意識」が根付いていること

  • 法令遵守に係る意識の浸透のため、責任役員は、次の事項を行うこと

[事業者内における法令遵守に係る意識の浸透のために必要な事項]

  1. あらゆる機会をとらえて、法令遵守を最優先した経営を行うというメッセージを発信
  2. 自ら法令遵守を徹底する姿勢を示す
     
  • そのため、事業者ひいては責任役員は、従業者に対して法令遵守のための指針を示すこと

[指針の明示方法(例示)] 

  1. 法令遵守の重要性を企業行動規範等に明確に盛り込む
  2. 1.の企業行動規範等を従業者に対し、継続的に発信する
     
  • 事業者は、社内規定等において責任役員の権限や分掌する業務・組織の範囲を明確に定め、その内容を社内に周知しなければならない

[権限・責任範囲の明確化の重要性・必要性] 

  1. 責任役員が法令遵守の徹底に向けて主導的な役割を果たして行動する責務を有することを深く自覚するため
  2. 法令遵守について責任役員が主体的に対応するという姿勢を従業者に対して示すため
     
  • その上で、責任役員には、2以降で示す法令遵守体制の構築及びその適切な運用のためにリーダーシップを発揮することが求められる。(不十分な場合は改善命令の対象となりうる)


 2 事業者の業務の適正を確保するための体制の整備

 (1) 事業者の業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制

1) 役職員が遵守すべき規範の策定
 事業者の役職員が遵守すべき規範を社内規程において明確に定める必要がある。

  • 適正に業務を遂行するための意思決定の仕組みの規定

[仕組みに含まれうる事項]

  • 意思決定を行う権限を有する者及び当該権限の範囲
  • 意思決定に必要な判断基準
  • 意思決定に至る社内手続
     
  • 意思決定に従い各役職員が適正に業務を遂行するための仕組みの規定

[仕組みに含まれうる事項]

  • 指揮命令権限を有する者
  • 当該権限の範囲及び指揮命令の方法
  • 業務の手順等
     
  • 意思決定及び業務遂行の仕組みの随時見直し

[見直しのタイミング(例示)]

  • 業務の監督の結果
  • 法令の改正 

(社内規程)

  • 社内規程とは、社内において、役職員が業務を行う上で遵守しなければならないものとされている全ての規範を指します。したがって、社内規程には、GQP省令等に基づき作成する業務手順書等も含まれます。
  • 事業者ひいては責任役員は、薬事に関する法令を遵守して業務を行うことを確保するために、既存の社内規程で十分かどうかを不断に検討し、不十分な点がある場合には、新たな社内規程の作成や既存の社内規程の改定等を行う必要があります。

(グループ会社等との関係)

  • グループ会社において法令遵守体制に係る機能を分担している場合には、当該各機能を活用することを含めて、製造販売業者として法令を遵守できる体制が構築されていればよく、製造販売業許可を受けている法人のみで必要な全ての機能を有する必要はありません。

 

 

2) 役職員に対する教育訓練及び評価

 

  • 1)の社内規定の内容の役職員への周知及びその遵守の徹底

[周知及びその遵守の徹底の方法(例示)]

  • 役職員に計画的・継続的に行われる研修の受講
  • 業務の監督の結果や法令の改正等を踏まえて行われる研修等の受講
  • 法令等や社内規定の内容や適用等について役職員が相談できる部署・窓口の設置

(相談部署・窓口)

  • 法令等及び社内規程を実際に適用し、適否を判断することは、単に法令等及び社内規程の内容を知っているだけでは困難な場合も少なくありません。そのような場合に、役職員が法令等及び社内規程を遵守して業務を行うことを確保するための体制として、本ガイドラインでは、法令等及び社内規程の適用等について役職員が相談できる部署・窓口を設置することを例示するものです。
  • そのような部署・窓口を設置する場合は、各製造販売業者等の業務内容、規模等を踏まえ、役職員が相談しやすく、適切な相談対応ができる部署・窓口となるよう、社内の組織上の位置付け等を検討することが重要です

 

  • 役職員による法令等及び社内規定の理解やその遵守状況を事業者として確認し、評価する

[確認・評価の必要性]役職員が法令を遵守して業務を行うことを動機づけるため
 

3) 業務記録の作成、管理及び保存

  • 業務記録の作成、管理及び保存の方法等の文書管理に関する社内規程を定める
  • 社内規程の適切な運用を行う
  • 適切な情報セキュリティ対策を行う(事後的に記録の改変等ができないシステムとする等)
     

 

(記録)

  • 業務記録は、製造販売業者等として、役職員が行った意思決定及び業務遂行の状況を把握し、適切に管理するために、極めて重要な社内資料です。
  • 役職員が、教育訓練を通じて周知徹底された法令等及び社内規程を遵守して業務を行っているかどうかを、製造販売業者等としてモニタリングするためには、役職員が行った意思決定及び業務遂行の内容が適時かつ適切に記録されていることが重要です。
  • また、業務記録が適時かつ適切に作成されていれば、法令等の違反や違反のおそれがある場合に、製造販売業者等において、速やかな事実関係の調査を行うことが可能となるため、違反行為の是正、原因分析、再発防止等の必要な措置を講じるに当たって、有効な社内資料として機能します。
  • いかなる業務について、どの程度詳細な業務記録を作成すべきか、また、業務記録の保存期間は、上記の業務記録の意義に鑑み、対象となる業務の重要性や、法令等の違反が生じるリスクに応じて、各製造販売業者等において検討し、文書管理に関する社内規程を定める必要があります。なお、法令により保存期間が定められている文書の保存期間については、当該法令に従う必要があります。
  • 電子的な方法による文書管理を含め、適時かつ正確な業務記録の作成、管理及び保存を行う観点から、各製造販売業者等において、適切な文書管理の方法を検討することが重要です。

 

 

(2) 役職員の業務の監督に係る体制

 

役職員が法令等及び社内規程を遵守して意思決定及び業務遂行を行っているかどうかを確認、必要に応じて改善措置を講じるための監督に関する体制が確立し、機能する必要

[そのために必要な事項]

  • 役職員の業務をモニタリングする体制の構築
  • 役職員の業務の状況について責任役員に対する必要な報告が行われること

[監督に関する体制]

  • (例示)業務を行う部門から独立した内部監査部門による法令遵守上のリスクを勘案して策定した内部監査計画に基づく内部監査の実施、法令遵守上の問題点について責任役員へ報告を行う体制
  • (例示)内部通報の手続きや通報者の保護等を明確にした実効性のある内部通報制度
  • (重要)監査役による情報収集等が十分に行われる体制とし、監査の実効性を確保すること
  • (重要)製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する法令遵守上の問題点を最も実効的に知り得る者である責任者等による業務の監督及び意見申述が適切に行われる体制(第4の2参照)

(責任役員に対するモニタリング)

  • 事業者が、従業員だけでなく責任役員の業務も監督しなければならないことは、本規定において法律上定められている事項です。責任役員は、自ら、製造販売業者等の法令遵守の徹底に向けて主導的な役割を果たすべきですが、責任役員による意思決定や業務遂行が法令等及び社内規程を遵守して行われることを確保するためには、責任役員に対しても監視やモニタリングを行う仕組みが機能していることが重要です。
  • 責任役員の業務に対する監視やモニタリングは、取締役会及び他の取締役による監督のほか、監査役による監査等(株式会社の場合)を含め、実効的な責任役員の業務の監督に関する体制について、各製造販売業者等において検討する必要があります。

(内部監査)

  • 役職員の業務の監督に係る体制としてどのような体制を構築する必要があるかについては、各製造販売業者等において、事業規模、業務内容、法令等の違反が生じるリスク等を踏まえ、実効的な監督体制のあり方を検討する必要があります。
  • 役職員の業務のモニタリングを、業務を行う部門の利害に捉われずに、客観的な立場から実施する観点からは、業務を行う部門から独立した部門による監査を行うことが効果的と考えられることから、本ガイドラインでは、独立した内部監査部門による内部監査の実施を、製造販売業者等の監督体制の例として示しています。
  • 製造販売業者等の製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する業務については、GQP省令等に基づき、自己点検を行うことが求められているため、その結果を活用することも含め、監督体制のあり方を検討する必要があります。
  • グループ会社(外国企業を含みます。)における内部監査機能を活用することにより、実効的な内部監査が可能であると製造販売業者等として判断できる場合に、当該機能を活用することは、差支えありません。

(責任役員の確認の範囲)

  • 責任役員が、法令遵守の観点から、役職員による業務の状況を確認する必要があるのは、法令違反又はそのおそれがある場合に製造販売業者等として行うべき措置を検討することや、より実効的な法令遵守体制の構築及び運用について検討することが求められるためです。そうした観点からは、一般的に、正常に製造された場合の製造記録や品質管理記録を、責任役員が全て確認する必要があるとは考えられません。

 

(3) その他の体制

  • (効果的)事業者全体としての法令等の遵守(コンプライアンス)を担当する役員の指名
  • (望ましい) 事業者の部署ごとの特性を踏まえた法令遵守について中心的な役割を果たす者として、各部署にコンプライアンス担当者を置くこと
  • (効果的)コンプライアンス担当役員の指揮のもと、法令遵守についての取組みを主導する担当部署としてのコンプライアンス統括部署の設置(事業者の規模等に応じ全社的な取組みが必要と判断する場合 

(コンプライアンス担当責任役員)

  • 法令等の遵守(コンプライアンス)を担当する役員を置くことは、製造販売業者等において、各部門や部署の担当分野に捉われない全社的な法令遵守のための取組みを積極的に行うことや、製造販売業者等として法令遵守を重視する姿勢を役職員に示す等の観点から、効果的な措置と考えられるため、本ガイドラインでは、法令遵守のために推奨される事項として記載しています。
  • 製造販売業者等においてコンプライアンスを担当する役員を置く場合に、その担当する範囲に、薬事に関する法令の遵守に係る事項が含まれるときは、当該コンプライアンス担当役員は、薬機法上、責任役員に位置付けられます。

(コンプライアンス担当者・部署)

  • 本規定に基づき、製造販売業者等は、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に係る業務に限らず、その他の製造販売又は製造に関する業務を含め、薬事に関する法令を遵守して業務が行われることを確保するための体制を構築することが求められます。
  • したがって、製造販売業者等において、コンプライアンス担当者を置くかどうかを検討する対象となる部署は、品質保証部門や安全管理統括部門に限定されるものではありません。
  • 典型的には、製造販売業者等の全社的な法令遵守のための取組みを行うコンプライアンス統括部署に対し、各部署のコンプライアンス担当者は、担当部署において、業務の特殊性や専門性を踏まえた法令遵守のための取組みを行うことが考えられます。その場合、全社で統一的に対応すべき事項についてはコンプライアンス統括部署が、各部署に特有の事項については各部署のコンプライアンス担当者が主導して取組みを行うなどの役割分担が考えられます。

 

 3 責任者等が有する権限の明確化

製造販売業者

  • 総括製造販売責任者が有する権限の範囲を明確にし、その内容を社内において周知すること

[総括製造販売責任者が有する権限]

  1. 製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対する業務の指示及び業務の監督に関する権限
  2. 医薬品等の廃棄、回収、販売の停止、注意事項等情報の改訂、医療関係者への情報の提供又は法令に基づく厚生労働大臣への報告その他の品質管理又は製造販売後安全管理に関する措置の決定及び実施に関する権限
  3. 製造業者、外国製造業者その他製造に関する業務(試験検査等の業務を 含む。)を行う者に対する管理監督に関する権限
  4. その他、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する権限
     

製造業者

  • 製造管理者又は責任技術者が有する権限の範囲を明確にし、その内容を社内において周知すること
  • 第2の3は、製造販売業者は総括製造販売責任者について、製造業者は製造管理者又は責任技術者について、その有する権限の範囲を社内で明確にすることとしています。これは、第1の2にあるように、事業者において、責任者等と役員のそれぞれが負うべき責務や相互の関係が明確でないために、法令遵守のための改善サイクルが機能しにくくなっているという課題に対応するため、責任者等の権限の範囲を社内で明確にすることを求めるものです。
  • 事業者について明らかにすべき権限の範囲は、GQP省令等において責任者等が行うものとされている事項をはじめとして、事業者の法令遵守の観点から責任者等が担うことが適切と考える事項は何かについて、各事業者において検討すべきです。その際、第2の3に示した、責任者等に付与するかどうかを検討すべき権限の例が参考となります。
  • 責任者等の権限の範囲を明らかにし、社内で周知する必要があるのは、責任者等の業務が、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する業務に従事する者の理解の下で、円滑かつ実効的に行われるようにするためです。その趣旨を踏まえ、責任者等の権限の範囲が、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に明らかとなるよう、明確化及び周知のあり方を検討してください。

 

 4 GQP、GVP、QMS、GMP、GCTP省令を遵守するための措置

(1) 責任者等に対する必要な権限の付与

権限が不十分であることにより製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に支障が生じ法令違反が発生することがないように以下のことを行う

  • 責任者等が各省令に係る業務を行うために必要な権限を付与し、その権限の範囲を社内において明確にすること
  • 各責任者等にいかなる権限を付与する必要があるかを検討すること
      

(2) 責任者等の業務の監督

  • 事業者は、責任者等が付与された権限を適切に行使し、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する業務を適正に行っているかどうかについて監督し、必要に応じて改善措置を講じる
     

 5 その他の「業務の適正な遂行に必要な措置」

事業者は、第2の1(法令遵守体制の整備についての考え方)のとおり、法令遵守のための指針を従業者に対して示すこと、責任役員の権限及び分掌する業務を明らかにすることに加え、以下の措置を講じる

製造販売業者

 

(1) 承認等の内容と齟齬する医薬品等の製造販売が行われないための措置

 

  • 医薬品等の製造方法、試験検査方法その他の医薬品等の品質に影響を与えるおそれのある事項の変更に関する情報を収集し、承認又は認証の内容と製造等の実態に齟齬が生じている場合には、承認又は認証の内容に合わせた製造等とすること
  • 一部変更承認・認証を取得すること等の必要な措置
     

(2) 副作用等報告が適正に行われるための措置

  • 安全管理情報の収集、検討及び報告等がGVP省令に従い適切に行われるための人員の確保及びシステムの整備等並びに業務の監督その他の必要な措置を講じること
     

(3) 医薬品等に関する適正な情報提供が行われるための措置

  • 以下の事項を確保するために必要な業務の監督その他の措置を講じること
    1. 医薬品等に関する情報提供が科学的及び客観的な根拠に基づく正確な情報により行われること
    2. 法第66条から第68条に違反する広告等が行われないこと
       

 

(販売情報提供活動ガイドライン)

  • 第2の5(3)の措置として、医療用医薬品を製造販売する製造販売業者については、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて」(平成30年9月25日薬生発0925第1号)に基づく社内体制の構築等を行うことが想定されています。また、その他の製造販売業者が、当該措置を検討するに当たって、販売情報提供活動ガイドラインを参考にすることは差し支えありません。

 

製造業者

(1) 承認等の内容と齟齬する医薬品等の製造販売が行われないための措置

  • 医薬品等の製造方法、試験検査方法その他の医薬品等の品質に影響を与えるおそれのある事項の変更に関する情報を収集し、承認又は認証の内容と製造等の実態に齟齬が生じている場合には、承認又は認証の内容に合わせた製造等とすること
  • 必要な情報を製造販売業者等(承認・認証の取得者)に対して連絡すること等の必要な措置 
     

 第3 薬事に関する業務に責任を有する役員

1 責任役員の意義

  • 事業者の代表者及び薬事に関する法令に関する業務を担当する役員は、事業者による薬事に関する法令の遵守のために主体的に行動する責務があり、当該責務は、第2(事業者の法令遵守体制)に示す法令遵守体制の構築及び運用を行うことを含む。
  • 事業者の代表者及び薬事に関する法令に関する業務を担当する役員は、上記責務に反し、事業者が薬事に関する法令に違反した場合には、法令違反について責任を負う。
  • 事業者の代表者及び薬事に関する法令に関する業務を担当する役員は、法律上の責任役員として位置付けられ、業許可申請書に氏名を記載する必要がある。
  • 薬事に関する法令に関する業務を担当しない役員は、責任役員に該当しない。
  • 執行役員は、責任役員に該当しない。
  • 薬事に関する法令に関する業務とは、薬機法その他の薬事に関する法令の規制対象となる事項に係る業務をいい、法令の遵守に係る業務を含む。

 

(責任役員)

  • 事業者において、各役員が分掌する業務の範囲を決定した結果、その分掌する業務の範囲に、薬事に関する法令に関する業務(薬事に関する法令を遵守して行わなければならない業務)を含む役員は、薬機法上の責任役員に該当します。
  • つまり、事業者において「責任役員」という者を選任や指名する必要があるわけではなく、各役員が分掌する業務の範囲を決定した結果として、責任役員に該当する者が決まるということです。
  • また、会社を代表する役員は、当然に責任役員に該当します。
  • 代表取締役以外の取締役に、薬事に関する法令に関する業務を担当する取締役が存在しない場合は、代表取締役のみが責任役員となります。その場合に、責任役員である代表取締役の責任及び管理の下で、従業者に、製造販売業者等の法令遵守を確保するための措置を行わせる体制とすることを否定するものではありません。

(法令違反についての責任)

  • 例えば、株式会社の取締役は、会社に対する善管注意義務(会社法330条、民法644条)に基づき法令を遵守する義務を負うと考えられており、取締役が法令違反をし、他の取締役に対する監視義務を怠り又は内部統制システムの構築を怠る等により会社に損害が生じた場合は、任務懈怠責任(会社法423条)等の法的責任を負いうる立場にあります。
  • このように、責任役員は、製造販売業者等に薬事に関する法令に違反する行為があった場合に、個人として、対外的に責任を負いうる立場にあるというのが、第3の1において「法令違反について責任を負う」としていることの意味するところです。

(執行役員)

  • 責任役員が、自らの責任及び管理の下で、いわゆる執行役員に、製造販売業者等の法令遵守を確保するための措置を行わせる体制とすることを否定するものではありません。

 

2 責任役員の範囲

[株式会社]

  • 会社を代表する取締役
  • 薬事に関する法令に関する業務を担当する取締役

[指名委員会等設置会社]

  • 代表執行役
  • 薬事に関する法令に関する業務を担当する執行役

[持分会社]

  • 会社を代表する社員
  • 薬事に関する法令に関する業務を担当する社員

[その他の法人]

  • 上記に準ずる者

 

(責任役員の範囲)

  • 責任役員には、その分掌する業務の詳細を全て把握することが求められているのではなく、その分掌する業務が薬事に関する法令を遵守して適正に行われるような体制を構築し、運用することが求められています。
  • 医薬品の承認申請に関する業務について薬事に関する法令の違反があった場合に、内容が高度で専門的であるために業務の詳細を把握していないことは、責任役員が当該法令違反に関する責任を免れる理由とはなりません。
  • 海外在住の者であっても、会社を代表する役員又は薬事に関する法令に関する業務を担当する役員は、責任役員に該当します。
  • 総括製造販売責任者が取締役である場合は、薬事に関する法令である薬機法並びにGQP省令及びGVP省令に関する業務を担当する取締役であるため、当該総括製造販売責任者は責任役員に該当します。

 

 

 第4 責任者等

1 責任者等の選任

  • 事業者は、医薬品等の製造管理・品質管理・製造販売後安全管理のための必要な業務を適正に遂行できることができる能力及び経験を有する者を責任者等として専任しなければならない
  • そのためには、第2の3(総括製造販売責任者等が有する権限の明確化)及び4(1)(責任者等に対する必要な権限の付与)のとおり、責任者等にどのような権限を付与する必要があるかを検討し、その権限の範囲を明確化した上で、当該権限に係る業務を行うことができる知識、経験、理解力及び判断力を有する者かどうかを客観的に判断しなければならない。
  • 製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する各部門と密接な連携を図りながら、当該部門の責任者及び担当者に対する実効的な指示及び監督を行うことができる指導力を有しているかどうかや、下記2のとおり、責任役員に対して忌憚なく意見を述べることができる職務上の位置付けを有するかどうかについても十分に考慮する

 

(対象となる責任者等)

  • 第4の1において「医薬品等の製造管理・品質管理・製造販売後安全管理のために必要な業務を適正に遂行することができる能力及び経験を有する者を、総括製造販売責任者等として選任しなければならない」としている選任の対象者は、製造販売業者における総括製造販売責任者及び製造業者における製造管理者又は責任技術者です。

(客観的な判断)

  • 事業者が、責任者等を選任した理由を合理的に説明できることが重要です。例えば、社内において、責任者等を選任するに当たっての客観的な基準を定めている場合に、当該基準を満たす者であることは、合理的な理由と考えられます。

(職務上の位置付け・職位)

  • 第4の1において、責任者等の職務上の位置付けについて十分考慮することとしているのは、責任者等が、事業者ひいては責任役員に対して忌憚のない意見を述べることができる状況を、事業者として確保することが重要であるためです。
  • 具体的にどのような職位にあることが望ましいかは、各事業者の社内組織や人事上の事情等に応じて異なるため、各事業者において、上記の趣旨を踏まえて検討すべきです。

 

2 責任者等による意見申述義務

責任者等は、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に係る業務を公正かつ適正に行う必要があるときには、事業者に対し、意見を書面により述べなければならない。

  • 責任者等は、自ら主体的かつ積極的に法令遵守上の問題点の把握に努めなければならず、また、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理について広く法令遵守上の問題点を把握できるよう、関係する部門並びにその責任者及び担当者と密接な連携を図らなければならない。
  • 意見申述は、意見の内容が事業者に明確に示されるとともに、意見申述があったことが記録されるよう、書面により行わなければならない。
  • 緊急を要する事項についての報告が、一次的に口頭等で行われることを否定するものではない。

責任者等は、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に係る業務に関する法令及び実務に精通しており、また、当該業務の総括的な管理責任を負う者として、品質保証責任者・国内品質業務運営責任者及び安全管理責任者等と相互に密接な連携を行い、それらの者から各種の報告を受ける立場にあることから、製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する法令遵守上の問題点を最も実効的に知り得る者である。したがって、事業者が製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する法令遵守上の問題点を適切に把握するためには、総括製造販売責任者等が、自ら又は品質保証責任者・国内品質業務運営責任者若しくは安全管理責任者等からの報告により認識した問題点について、製造販売業者等に対して適時に報告するとともに、必要な改善のための措置を含む意見を忌憚なく述べることが求められる。

 

(意見の提出ルート)

  • 本規定において、責任者等は、事業者に対し、意見を書面により述べなければならないとされているのは、責任者等が、事業者ひいては責任役員に対し、直接意見を述べることを想定したものです。
  • これは、責任者等の意見が、直ちに、その内容が他の者によって変えられることなく、事業者に伝達されることが、事業者が製造管理・品質管理・製造販売後安全管理に関する法令遵守上の問題点を適切に把握するために重要であるためです。
  • 責任者等の職責や社内の指揮命令系統等により、通常の業務において、責任者等が事業者ひいては責任役員に対して直接意見を述べることが困難な事情がある場合であっても、上記の趣旨に鑑み、責任者等の意見が、速やかに、その内容が他の者によって変えられることなく、事業者に伝達されるよう、意見を受け付ける方法や体制を明確にすることが必要となります。また、緊急を要する場合や、法令遵守の観点から重要性が高い場合等においても、責任者等が事業者ひいては責任役員に対して直接意見を述べる方法が一切存在しないことは、責任者等の意見を尊重する体制として望ましくありません。

 

3 事業者による責任者等の意見尊重及び措置義務

  • 事業者は、責任者等の意見を尊重し、法令遵守のために措置を講じる必要があるかどうかを検討しなければならない
  • 事業者は、措置を講じる必要がある場合は当該措置を講じなければならない。
  • 事業者は、講じた措置の内容について記録した上で適切に保存しなければならない。
  • 事業者は、責任者等から意見が述べられたにもかかわらず措置を講じない場合は、措置を講じない旨及びその理由を記録した上で適切に保存しなければならない。
  • 事業者は、責任者等の意見を尊重するための前提として、責任者等が意見を述べる方法及び事業者において必要な措置を講じる体制を明確にする必要がある。

[明確にすべき体制(例示)]

  • 意見を受け付け、意見を踏まえて措置を講じる必要があるかどうかを検討する責任役員・会議体の明示
  • 当該措置を講じる責任役員の明示

 

(その他(施行等))

  • 本規定の施行日は、令和3年8月1日です。本ガイドラインについても、同日から適用されます。
  • 本規定に基づき求められる法令遵守体制の構築に一定の準備期間を要することを踏まえ、本規定の施行に先立ち、製造販売業者等が本規定に基づく措置を講じるに当たっての基本的な考え方、実施が求められる措置の内容及び実施することが望ましい事項等を示す指針として、本ガイドラインを示しております。

 


 

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