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1 環境の世紀を拓く環境先進地・京都の創造【環境基本計画】

 (1)京都の資源を活かした環境施策の推進

京都の大学・学術研究機関・ベンチャー精神等を活かした施策を推進するとともに、府が府内各地で進めるプロジェクトについても、環境に十分配慮し、また、モデルとなるような環境施策を推進します。

ア 学術・研究

 あらゆる知識分野を網羅した47の大学・短期大学や関西文化学術研究都市に立地する研究機関の集積、優れた技術力を蓄積する企業群など京都が持つストックを活かした環境施策を展開していきます。
  このため、環境分野に係る大学や国公立、民間研究施設等の研究者等の幅広いヒューマンネットワークを構築し、情報・ノウハウ等の相互の活用を図るとともに、府がこれを環境施策全般 に結びつけていくようなシステムづくりを進めます。

イ 産業

 国際的な水平分業の進展と産業活動のグローバル化の中で、日本の産業構造にも大きな変化が生じてきていますが、京都はこれまで京都の産業がものづくりに関して蓄積してきたノウハウをはじめ多くのポテンシャルを活用し、次代の産業を創造するパワーに転化させていく必要があると考えられます。
  このため、成長が見込める環境関連産業を重点的に育成することとし、環境ベンチャーへの支援をはじめ、京都にある先進的な環境関連技術シーズを活かした取組や環境の視点からの環境産業を推進していきます。
  また、自然をいつくしみ、生活の中に取り込みながら生きてきた先人の「環境の知恵」に着目し、「環境文化産業」とも呼べる新しい産業分野を切り拓いていきます。

ウ 国際性

 環境面における京都の国際的役割への期待に応え、積極的に国際協力を推進します。
  特に、環境技術に関しては、京都産業の有する環境技術や大学等の研究成果 を活かした京都ならではの地方版ODA等についても検討を進めます。
  また、地球温暖化防止京都会議を契機に府内外から「京都」への関心・期待が集まる中、様々な環境関連情報を京都から世界へ向けて積極的に発信していきます。

エ 歴史・文化・自然が調和する京都の環境

  先人から受け継がれてきた京都の優れた自然や歴史・文化を守り、より豊かなものとして未来に伝えていくため、人と自然の良好な関係を維持する取組を府民一体となって進めていくことが重要です。
 そのため、自然への負荷をできるだけ軽減し、自然を保全するための取組のほか、京都の自然のすばらしさを再認識し、自然への理解を深めるための自然環境学習や、府民が自然をより身近なものとして感じることができるよう、エコ・ツーリズムなどの自然とふれあうための様々な取組を進めます。
  また、京都では、人々の暮らしの中で受け継がれてきた生活文化が今も守られており、そこには、生活資源や身近な自然環境を大切にしてきた生活の知恵が生きています。このような地域固有の優れた生活文化を再評価し、継承するとともに、21世紀の新しいライフスタイルの素材として活用する取組を推進します。

オ 主要プロジェクト

 先導的な基盤整備であった疏水開削等に倣い、21世紀のモデルとなる環境像を、次のような府の主要プロジェクトの中で具体的に示していきます。
  このため、関西文化学術研究都市においてゼロ・エミッション等を実現するモデル的な都市づくりを進め、また、北部中核工業団地等についても環境に配慮した産業拠点づくりを目ざします。
  また、多自然環境を活用する丹後リゾートの諸施設における環境教育・学習の充実等府内の既存又は、今後整備予定の施設相互の連携を図り、京都府域全域にわたり環境重視の考え方を浸透させる取組を推進します。

関西文化学術研究都市 歴史・文化・自然環境に恵まれた京阪奈丘陵において文化・学術・研究の新たな拠点づくりとして、文化や環境に配慮した都市づくりが進められています。
丹後リゾート構想の推進 丹後の海、高原などの美しい自然やロマンあふれる説などの恵みを活かし、四季を通 じて観光・保養ができる手作りのリゾートづくりが進められています。
京都北部中核
工業団地の建設、
新光悦村構想の推進
府中北部地域の雇用を創出し、活力を喚起する環境にも配慮した新しいタイプの産業拠点づくりが進められています。
木津川フィールドミュージアム
等の広域連携支援
地域の歴史や自然、魅力を市町村が広域的に連携することによって効果 的に情報発信し、集客等による活性化を進める取組が南山城地域をはじめ、様々な地域で展開されています。

現状

  • 京都は、千年有余を超える長期間、政治・経済・文化の中心に位置する中で様々な学術・文化を育み、近世まで最高水準のモノを生み出す人材や「巧み」(ノウハウ)等を蓄積してきた伝統を持ち、その伝統は現在の京都の暮らしや経済にも脈々と活きつづけています。
  • また、伝統を守るだけでなく、京都は長い歴史の中で、進取の気風を持って、時代を先取りする先駆的なことに積極果 敢に取組み、新しい活力を創り出してきました。明治期の琵琶湖疏水の開削や全国初の水力発電・市電・小学校の整備などをはじめ、古いものに拘泥することなく、新しい価値を創造していこうとする姿勢・気質は、今日の京都を支えている最も重要な資源であり、幅広い環境の保全・創造に向けて、今後の様々な政策課題に取り組んでいく上での基本に通 じるものと考えられます。

<京都の資源>

ア 学術・研究
  明治以降近代的な大学が相次いで整備され、世界をリードする多くの人材を生み、京都の精神風土を背景に自由と創造を尊ぶ独自のアカデミズムが形成されてきました。現在、京都府内には47の大学・短期大学が所在し、人口比でみた大学・短大数は全都道府県中最も多いなど他地域にない恵まれた集積を持っています。また、京都の南部、京阪奈丘陵では21世紀のパイロット・モデル都市として関西文化学術研究都市の建設が進んでいますが、研究機関の集積を活かし、関西全域に広がりを持つリサーチ・コンプレックスのメッカとして期待を集め、成果 を生み出してきています。世界的な技術水準を誇る地球環境産業技術研究機構(RITE)をはじめとする数多くの研究機関が既に立地し、今後も国立国会図書館関西館等の整備も予定されています。

イ 産業
  京都の産業は、高度な技術を磨き上げ、受け継ぎ、時代ごとの要請を巧みに昇華し、更新することにより、長年にわたり基幹的地位 を占めてきた伝統的産業を有するとともに、質の高さを求める気質、進取の気性、柔軟な思考など京都の精神風土を背景に知識集約や技術重視の特色あるベンチャー企業を輩出してきており、公害防止・環境保全関連機器や新エネルギー・省エネルギー機器等の著名な企業も集積しています。京都に根付いてきた創造性や生活に密着した中小企業の柔軟性・機動性は、今後、有望視される環境分野等の新たな市場を形成する大きな可能性を持つと考えられます。

ウ 国際性
  京都は日本で最初に設置された国立の国際会議場をはじめ、多様なコンベンション機能を備え、国際交流の舞台となってきました。また、数多くの文化遺産や大学、研究所、技術を有する企業群などはそれ自体が国際交流の資源でもあり、留学生や在住外国人の日本人に対する比率も他府県に比べて抜きんでており、京都がこれまで果 たしてきた国際的な役割は、極めて大きなものがあります。
 地球温暖化防止京都会議では「京都議定書」が採択され、21世紀に向かって本格的な地球環境保全の国際的な取組がスタートすることになりましたが、会議の開催を通 じて世界から多くの方が京都を訪れ、京都を知り、京都の国際的役割への期待が高まっています。

エ 歴史・文化・自然が調和する京都の環境
  京都は南北に長く、多様な地域特性を有しているため、豊かな自然環境を基に、綿々と続く地域固有の歴史や文化が培われてきました。京都の歴史の中で生み出されてきた文化財は、世界文化遺産「古都京都の文化財」として登録されるなど、京都が多くの人々を引きつける最大の魅力ともなっています。 また古くから京都の人々は、その営みの中に自然を無理なく取り込み、歴史や文化に深く関わりながら、生活に欠かすことのできない身近な存在として自然と調和してきました。京都の文化には“環境文化”ともいうべき生活文化の真髄がいきづいています。

 生活の中にみられる“環境文化”(例)
<暮らし>
・縁側、庭坪、床の間などで、外界と交わり、屋内にまで自然を取り入れた日本家屋の構造
・ 障子、すだれ、泥壁、茅葺き屋根など、自然の素材を利用した温度・湿度調整、採光、空気循環等
・自然の素材や廃材をそのまま利用した白木の家具、そば殻まくらなどの和風製品
<健康>
・桜のもつ硫黄、燐を取り入れて健康増進を図った「花見」「桜湯」の習慣 京都ならではの先進的な学術・研究や産業などは、このような歴史や文化の上に培われた、京都の人々の知恵により生み出されたものといえます。
  京都の人々が長い歴史や文化の中で作り上げてきた「自然とのつきあい方」を再認識し、京都の自然を未来に引き継いでいくため、府では「緑と文化の基金」を創設し、優れた自然環境や文化遺産などの貴重な歴史的遺産を守り、より豊かなものとして将来の府民に継承するための様々な取組に活用しています。

 (2)高まりを見せる府民の環境気運・NGO等との連携

高まりを見せる府民の意欲を一過性のものに終わらせることなく、地球環境京都宣言を具体化し、社会を構成するすべての主体に共通 な行動指針として活かしていくため、行政・府民・事業者等が主体的に参画する仕組みづくりを進めます。
 地球温暖化防止京都会議で一定培われたNGOとの協力関係をステップに、相互の問題意識、情報の交換を行う中で、より良いパートナーシップを築くための日常的な相互連携とそのための基盤形成を行います。
 環境にやさしい様々な生活行動を根付かせるための手法を個人・団体など様々なレベルの実践活動から汲み上げ、これを広範に広げていくような環境教育・学習を推進します。

現状

  • 阪神・淡路大震災やロシア船籍タンカーの重油流出事故でめざましい活躍を見せたボランティアは社会を担う大きな力になるものとしてその重要性が広く認識されてきており、府でも災害や国際交流など幅広い分野でボランティアの参画を求め、また、ボランティアが参加しやすい条件づくりが進められています。
  • また、全国で8万5千を超える団体数にも及ぶとされるNPOについても、「特定非営利活動促進法」が成立し、NPOに法人取得の道が拓かれることとなり、今後、一層の活動の活発化が予想されます。
  • NGOの地雷防止国際キャンペーン(ICBL)が昨年のノーベル平和賞を受賞したことに象徴されるように、既に国際社会においては、NGOの活動が極めて大きな力を発揮していくことが常識となってきています。
  • 地球温暖化防止京都会議では世界から多くのNGOが参加し、京都議定書採択に向けて活発な活動を展開しましたが、京都でも全国の市民・NGO等のネットワークとして「気候フォーラム」が結成され、行政とも一定協力、協調を図りながら地球温暖化防止の取組を推進する大きな原動力として活躍しました。
  •  地球温暖化防止京都会議を契機に、NGOと行政との協力関係が前進するとともに、個人・団体を問わず、様々なレベルで地球環境問題の重要性が広く認識されてきています。 府では、こうした状況を捉え、環境を守る活動が一層広がりを見せるよう、活動相互の情報交流が図れるネットワーク組織として、「京都エコクラブ」を誕生させましたが、会員数が急激に増加するなど、身近なところから環境を守る活動に取り組もうとする府民の意欲が着実に高まっていることがうかがわれます。

(3)地球環境保全の推進

ア 地球温暖化防止対策の推進

「京都議定書」を受け、地球温暖化を防止するために温室効果 ガスの排出状況を把握し、産業部門、民生部門(家庭系、業務系)、運輸・交通 部門等各分野における温室効果ガス排出抑制対策を推進します。このため、府においても、国の動向に留意して、新たな具体的数値目標を早急に設定し、それを達成するための計画を策定します。また、特に、温暖化への影響が最も大きい二酸化炭素については、発生源対策の推進による排出量 の削減、電気、ガス等のエネルギー使用量の削減による省エネ、廃棄物の減量 化・リサイクル、電気自動車等の低公害車の導入、太陽光発電等の新エネルギーの導入とエネルギー利用の効率化等による排出抑制対策を推進するとともに、二酸化炭素の吸収源としての森林や緑地の適正な保全・管理と育成などの整備、熱帯木材資源の使用の抑制や府内産木材の育成・有効利用を推進します。
 さらに、保健環境研究所、中小企業総合センター、農業総合研究所等府の試験研究機関における地球温暖化防止に関する技術開発や調査研究を推進するとともに、財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)や大学、民間の研究機関等における二酸化炭素固定化技術等の革新的・先端的な技術開発、調査研究に対する支援・連携等を促進します。
  また、フロン回収、メタンガスや亜酸化窒素の発生抑制等により、二酸化炭素以外の温室効果 ガスについても、排出抑制対策を推進していきます。 地球温暖化の原因は、ライフスタイルや事業活動に深く関わっているため、森林の役割等の啓発や環境フェスティバル等のイベントの開催や環境家計簿の普及等各種広報媒体の活用等により、府民や事業者の意識が高まり、各主体が主体的に参加する具体的な地球温暖化防止対策の実践につながるよう、民間団体等や市町村等関係機関と連携しながら、きめ細かな普及・啓発を推進します。

施策体系

地球温暖化防止
対策の推進
(1)二酸化炭素排出抑制対策(省エネ、ごみ減量化・リサイクル、新エネルギーの導入等)の推進
(2)二酸化炭素吸収源対策の推進(植林・保育、緑地整備等)
(3)メタンその他の温室効果ガスの発生抑制対策の推進
(4)技術開発、調査研究の推進
(5)温暖化防止に関する意識の普及・啓発及び各主体参加型地域づくりの推進

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