更新日:2025年10月22日

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【インタビュー記事】安心できる居場所を目指して―認定NPO法人happinessの歩み 第1回

※このページでは、認定特定非営利活動法人として認定された団体については「認定NPO法人」と記載しています。

happinessへのインタビューの様子

認定NPO法人happinessは、「子どもや若者が孤立しない地域社会」をつくることを目的に、京都市南区を拠点に活動する団体です。その歩みの背景には、代表理事・宇野明香(うの さやか)さん自身が幼少期に体験した「安心できる居場所のなさ」が深く刻まれています。
本稿では、団体が誕生したいきさつや背景について、宇野さんの言葉や思いを交えながら紹介します。

幼少期から青春時代の過酷な生活

宇野さんの幼少期は、常に不安と隣り合わせでした。
3歳のとき母親が再婚し、家庭には新しい父親が加わりましたが、彼はアルコール依存、実の母親はギャンブル依存を抱えていました。両親は日中ほとんどをパチンコ店で過ごし、幼い宇野さんはパチンコ屋の警備員に遊んでもらうのが日常。
家に帰れば、夜ごとに響くのは夫婦喧嘩の声でした。

 水道のイメージ写真

「毎晩、家の中には、口論の声、物が壊れる音が響き渡っていました。仲裁に入っても、“誰のおかげで飯を食っているんだ”と言われ、押し入れに閉じ込められることもありました。電気や水道は止められている、当時はそれが普通だと思っていたんです」と宇野さんは振り返ります。

その「普通」が、友人の家庭に遊びに行ったとき、大きく揺らぎました。明るく綺麗に整えられている部屋、自分の部屋があって自分の机がある。そしてわざわざ自分のために出されるお菓子。
小さなこと一つひとつが、宇野さんの目にはとても幸せそうに映りました。

中学生の時には金銭的な事情で転校。転校先の学校も荒れており、安心できる環境には程遠いものでした。
自分で生きていくために14歳から年齢を偽ってアルバイト。一日5,000円を稼ぐことで「これで生きていける」と思えるほど幼かったのです。
学校へ通うことよりも、働くことが生きる術となりました。

そして17歳のとき、母親が倒れます。その後すぐに父親も姿を消し、宇野さんは妹と二人きりに。まだ十代でありながら、自分と生活を守るために必死で働き続けました。自立を迫られた青春時代は、安心や安定とは無縁のものでした。

結婚、出産

しかし、20歳で結婚し、夫やその家族との出会いが、宇野さんの人生を大きく変えます。夫は「ごく普通の家庭」で育ち、義両親は宇野さんを温かく迎えてくれました。自分の境遇に後ろめたさを抱えながら挨拶に行ったときも、過去について詮索されることはなく、新しい家族はただ受け入れてくれたのです。

さらに子どもを授かった際には、義母が腹帯を用意し、寺社への祈願参りなどにまで同行してくれました。そうした支えの一つひとつに、宇野さんは「人生で初めての安心感や充足感」を覚えます。

そして子育ての中でも、同じマンションに住む同世代の母親たちと助け合う日々を過ごしました。毎日のように誰かの家に集まり、互いに子どもを見守り合う。その何気ない時間が、孤立して生きてきた宇野さんにとってかけがえのない居場所となりました。

 子育てのイメージ画像

「頼れる人がいることが、こんなにも心を軽くするんだと知りました。安心して頼れる関係があれば、人は前を向いて進んでいける。だからこそ、同じように孤立している子どもや親に、その安心感を届けたいと思うようになったんです」

こうして宇野さんは、自らの体験を力に変え、子ども食堂や居場所づくりへと歩みを進めることになります。

次回、第2回では、宇野さんが立ち上げた子ども食堂や、そこから広がった多彩な支援活動の詳細をご紹介します。日常の小さな居場所から生まれる笑顔や学び、地域とのつながりが、どのようにして「安心できる社会」の実現につながっているのかを、活動の現場からお届けします。

(取材:齋藤)

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happinessのロゴ画像

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