更新日:2025年12月8日

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【インタビュー記事】信じる・待つ・愛するがモットーのフリースクールー認定NPO法人夢街道国際交流子ども館

※このページでは、認定特定非営利活動法人として認定された団体については、「認定NPO法人」と記載しています。

夢街道国際交流子ども館

夢街道国際交流子ども館(以下「子ども館」という。)は、子どもたちが「生まれてきてよかった」と想えるように、主に不登校の子どもたちのためのフリースクールを運営しています。
他にも講演・研修・相談事業等、子どもに関わる大人たちに向けて学びの場を提供するなど、不登校やひとり親家庭等、子どもに関する課題解決に取り組んでいます。
取材を通して、団体の成り立ちや子どもたちへの熱い想いをお聞きしましたので紹介します。

子ども館の人たちの集合写真


子ども館があるのは、奈良県との県境に近い木津川市加茂町です。
最寄り駅から、活動場所に向かって歩いていくと、開けた住宅街の中に青々と茂る芝生と畑が見えてきます。
子ども館に着くと、ちょうど、エプロン姿でレモンの木の手入れをしていた館長の比嘉冶代(ひがはるよ)さんが、あたたかく迎えてくださり、子ども館の周りで育てている植物を紹介してくださいました。

子ども館の植物の写真子ども館の中は、外の光がよく入って明るく、たくさんある扉が開放されていて、そこにいるだけでのびのびと自由な気分になりました。

 

 

 

 

団体の成り立ちと活動の背景

「2002年にフリースクールを始めた当時は、全国に約13万人の不登校生がいましたが、今は35万人を超えています。日本の教育の偏りに対して、子どもたちがNOを突き付けているということだと思います。」理事長の比嘉昇(ひがのぼる)さんは子どもたちを取り巻く教育環境について、こう語ります。

もとは中学校の教師だった昇さん。フリースクールをつくった背景には、校長として赴任したある学校での体験が深く関わっています。
その学校はとても荒れており、昇さんが赴任する前は、生徒から逮捕者が出る状態でした。
昇さんは、先生たちと生徒たちとの溝を少しでもなくしたいという思いから、校長通信の発行や校長室の開放等、先生と生徒の敷居を下げる改革を行いました。その結果、保護者による校門での挨拶運動やさまざまな子どもたちとの交流が行われ、荒れていた中学校も徐々に平穏を取り戻していきました。
しかし、昇さんには当時20人近くいた不登校生には何もしてあげられなかったという思いが残っており、退職後、同じく教育に関わっていた妻の冶代さんと、2001年にNPO法人夢街道国際交流子ども館を設立し、2002年にフリースクールを開始しました。

これまでの利用者は150人を超え、「信じる・待つ・愛する」という姿勢を大切に日々活動をしています。

冶代さんの活動する様子【冶代さん】

 

「やっと見つけた俺の居場所」

「やっと見つけた俺の居場所だ」
子ども館に通っていた子が、言ってくれた言葉だそうです。

現在は、13名の子どもたちが子ども館を利用しています。自分の存在が思うように周りに認めてもらえないと感じている子や人との折り合いをつけることが不得手な子など、不登校の理由はさまざまです。

子どもが子どもらしく好きなように過ごせる時間を大切にしたいという考えから、子ども館では、体験による学びを重視しています。
例えば、畑を耕し、そこから収穫した野菜を子どもたちみんなで調理し、お昼ご飯を作ります。
夏には、竹を切るところから流しそうめんを自作したり、軽トラックの荷台にプールを自作したりするそうです。
そうしているうちに、野菜等をおいしく作るにはどうしたらよいか、刃物や炎がどのように危ないか等を実体験から学ぶことができます。

子ども館の子どもたちの様子


また、自由に同好会や部を作ったりしています。現在は、畑のきゅうりのお世話や川でアウトドア活動等を行うカッパ部と仮面ライダーの考察研究や映画鑑賞等を行う仮面ライダー同好会が二大勢力だそうです。

素敵なスタッフの方々

子ども館で活動する2名のスタッフさんの想いも聞くことができました。

子どもたちにとって頼れる兄貴的存在の阪野さんは、お兄さんが子ども館に通学していたご縁で、現在、スタッフとして活動されています。ふるさと納税に係る京都府との事務的手続きについても、阪野さんが窓口をされています。

不登校の背景には、学力・能力主義の中で、比べられて競わされてしまうことへの余裕のなさや不自由さがあるのではないでしょうか。人によってでこぼこがあって当然なのに、今の学校教育では、一律の学力や能力を求めていて、少し疲れて休んだらハイスピードで過ぎていく。そんなあり方の中で、子どもたちがゆっくり学ぶには、やはりフリースクール等学校の外の学びが重要なのだと思います。」と語ります。

もう一人のスタッフである以呂免(いろめ)さんは、元アスリートだそうです。取材に伺った日も、以呂免さんと卓球をしたい子が「まだかまだか」と取材現場を覗いていました。また、以呂免さんは子ども館が発行する「夢の樹通信」の編集もされています。子どもたちの活き活きした様子がわかる素敵なニュースレターです。

「学校の競争と管理の中で、生きづらくなる子どもたちもいます。子どもたちには自分のやりたいことを受けとめてもらえて、形にできることややってみたらできたという感覚が大事だと感じています。学校で体験したつまづきを子ども館で追体験しても、スタッフ等周りの人が寄り添うことで、子どもたち自らが超えていける。それがまた自信につながっていきます。」そう話しておられました。

【阪野さん】

阪野さんの活動する様子

 

 

 

 

以呂免さんの活動する様子

【以呂免さん】

 

京どねーしょんについて

阪野さんに、京どねーしょんへの期待について聞いてみました。

「京どねーしょんがきっかけで少しでも多くの方々に、子ども館のことを知ってほしい。輪が広がって、つながっていけたらいいと思います。」

子どもがいつでも来られるようにしたいとの想いから、子ども館は、週5日開校しています。全国各地の支援者の方々の寄附によって続けてくることができましたが、さらに多くの子どもたちの笑顔を取り戻すためには、まだまだ応援が必要です。

京どねーしょんを通じて、子ども館を全く知らない方々へ少しでも活動について届けば、応援の輪が広がるのではないかと、寄附対象団体として登録することを決めました。
現在、京都府の伴走支援事業も活用し、ファンドレイジングのノウハウを積極的に取り入れながら、応援の輪の拡大に力を入れています。

まとめ

「目は口ほどにものを言う」。取材の中で昇さんが何度も話されていた言葉です。

「子どもが自分らしくいられる場所、自分のペースで成長できる場所、そんな場所になりたいと思って活動しています。ここで日々を過ごすにつれて、どの子どももみんな目に光が灯り、輝きが増していく姿を見てきました。そんな瞬間に立ち会えて、私たちスタッフもとても幸せで、この輝きをいつまでも守っていきたいと思っています。」

「何をするかわからないところが、子どもの魅力です。間違えながら大きくなっていくのだから、それを支えるのが教育者の仕事なのです。」昇さんの優しい笑顔が心に残りました。

(取材:薬師寺)

活動応援のお願い

認定NPO法人夢街道国際交流子ども館では、どんな子どもたちも自分らしくのびのび成長できる居場所づくりに取り組んでいます。ふるさと納税を通じ、ぜひ応援をよろしくお願いします。

→寄附ページはこちら

 

お問い合わせ

文化生活部文化生活総務課 府民協働係

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4230

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