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ドゥオモ(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。

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唐櫃越に佇む刺繍工房

(令和4年2月7日、ものづくり振興課 牧)

株式会社ドゥオモ(外部リンク)(亀岡市)の岩井左木子代表取締役様にお話をお伺いしました。

 

―まず、御社の概要から教えてください。

岩井) 弊社は、先代の岩井武治がレース業界で修行を積んだ後、主に紳士服や婦人服の刺繍加工を手がける刺繍工房として亀岡・唐櫃越(からとごえ)の地で創業したのがはじまりです。1991年には株式会社ドゥオモを設立。刺繍の技術、丁寧な仕上がりが評価され、徐々に受注が増加していきました。

 2001年には、海外ブランド需要の高まりを受けて、東京にショールームを構え、私の留学経験も生かして、ヨーロッパのファッションブランドの輸入卸も始めました。
 その後、中国やアジアの経済成長に伴う需要増に対応し、海外向け代理店業務も行っていました。

 

―アパレル業界も大きく変わったと伺いますが。

岩井)そうですね。

 2000年くらいまでは国内製造が多かったのですが、服装の嗜好の変化や低価格競争の激化により、製造拠点が中国や東南アジアへシフトしました。国内での製造はどんどん減少し、刺繍加工の受注も減少が続きました。

 こうした中で、「受注」に頼ることなく、これまで培った技術を生かした自社製品づくりができないか模索し始めました。

 

「京東都」

―そこで生まれたのが、「京東都」ブランドの展開なんですね

岩井)はい。

 私は、高校卒業後、ヨーロッパに留学し、帰国後も東京を拠点に生活しておりました。
 外から「京都」を見ることで、京都にいたときには気付かなかった「京都」というブランド力の強さを明確に感じることができました。

 そこで、この京都のブランド力を生かして、小さな刺繍工房が新しい文化継承のかたちや刺繍の可能性を発信していけるのではないかと考え、「京東都」(きょうとうと)というブランドを、2007年に立ち上げました。

 「京東都」は、ニッポンの伝統=「京都」と、ニッポンの今=「東京」を掛け合わせたブランドネームで、「京都発、東京経由~世界行き」で発信していこうとの想いを込めています。

 2010年、私は出産を機に、東京から地元・亀岡に戻り、「京東都」事業に本腰を入れ始め、2013年には京都・東山に「京東都 本店」をオープン。続いて、東京での2号店進出の際に、私が代表取締役となりました。

 

新たなブランドの下、どのような製品を展開されているのですか

岩井)刺繍を施した雑貨やアパレル、京都の伝統や文化をモチーフにした「刺繍和片(ワッペン)」のほか、コートやシャツ、ストール、靴下などの衣類、タオルや雑貨まで幅広い製品を取り扱っています。

刺繍和片(ワッペン)が壁一面 埋め尽くしていますね。

岩井)刺繍和片(ワッペン)は、これまでに約800種類を製造しています。

 京都の祭事や文化、百鬼夜行の妖怪、京野菜など京都にちなんだものをはじめ、お寿司などもあり多種多様です。

 珍しいものですと、「きのこ」シリーズとして50種類も取りそろえており、きのこファンには垂涎ものです。

 なお、裏面がアイロン及びシール加工されており、衣類だけでなく、
カバンやスマホケースなど、簡単に貼り付けることが出来ます。

 価格は1つ400~600円が中心で、弊社の東山の「京東都 本店」や
京東都 東京スカイツリータウン・ソラマチ店」で、観光客を中心によく売れています。

 現在、刺繍のデータ作成も内製化し、全ての工程を自社で完結していますので、お客さんのニーズや反応に応じて、すぐさま商品化することや、レアなアイテムの発注にも即座に追加製造することが可能です。

 

地域ブランドづくり

コロナ禍で新たな取組をなさったそうですね。

岩井)障害者支援を行う社会福祉法人松花苑が亀岡で「みずのき美術館」を運営されているのですが、同館が所蔵する絵画作品を地域資源として、複数のものづくり企業と連携し、地域ブランド化を目指して新たな商品を開発しました。

 絵画作品をモチーフに、有限会社スリーミン(外部リンク)が製品デザインを提案し、みずのき美術館の監修の下、弊社が刺繍和片(ワッペン)を、加藤良株式会社が袋小物を製作しました。

 

お客様の反応はいかがでしたか。

岩井)製作した商品は、絵画作品とともに、「京東都 東京スカイツリータウン・ソラマチ店」において、展示を行いました。

 多くの方が立ち寄っていただき、綺麗な色遣いや大胆な構図など自由な作風に感激されていました。また、作家の思いなどを汲み取りながら、楽しそうに商品を選んでいただけた様子でした。短い期間でしたが、100点以上の商品の販売に繋がりました。

 

京都産業21の支援を活用されたそうですね

岩井)はい。今回の取組については、京都産業21「危機克服緊急連携支援補助金」を活用しました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って来店客が減り、店舗での売上は大きく落ち込みました。製造を縮小して従業員を休ませようかと思っていたところ、補助金のことを知り、ピンチだけど時間のある今こそ、次へのチャレンジを進めようと思い、関係の皆さんの御理解と御協力も得て、取り組むことができました。

 

ニッチだけど唯一無二

今後の展望はいかがでしょうか。

岩井)「京東都」ブランドのもと、ニッチかもしれませんが、地域の文化や伝統コンテンツを用いた弊社でしか提供できない自社オリジナル商品を今後も展開し、京都・亀岡を、東京経由で世界に発信していきたいと考えています。

 

今後の展開が楽しみですね。

 

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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