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Noster株式会社(京都企業紹介)

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京都品質QOL向上支援新商品サービス提供企業群

日本初!生きた乳酸菌をチョコレートに!

(掲載日:令和3年11月15日 聞き手・文:ものづくり振興課 矢島)

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Noster株式会社(外部リンク)(向日市)のマネジメント室 グループリーダー 久景子様にお話をお伺いしました。

乳酸菌を生きて腸まで届けるチョコレートの開発

―昨年度、「乳酸菌含有チョコレートおよびその製造方法」で京都府発明等功労者表彰を受けられましたが、研究がスタートした経緯や苦労された点など教えていただけますか。

久) Noster株式会社は2020年5月に日東薬品工業株式会社から研究部門を分社化して設立されましたが、この開発をスタートさせた時点は、私は日東薬品工業の研究統括本部に在籍しておりました。日東薬品工業では、錠剤や薬剤等の一般用医薬品をメインとして開発、製造していましたが、特に整腸薬では、原薬となる乳酸菌、酪酸菌なども自社で製造しており、創立から70年以上、これらの培養技術、安定化技術を培ってきました。
 今回の製品は、あるきっかけで株式会社ロッテ様と、弊社の主力である乳酸菌を使ったお菓子をテーマとして共同開発のお話が上がり、そこから、どういった商品なら開発可能か検討がスタートしました。
 これまで、弊社では、医薬品の製造を主としており、食品を製品化した経験がなかったため、非常に難易度の高いチャレンジでした。医薬品は、味よりも機能性(菌の安定性や薬効)を重視しますが、食品は、美味しく召し上がっていただくことが大前提であり、味や舌触り、またパッケージの見た目も重視されます。そのような評価軸の違いや、美味しさを保ちながら、賞味期限の間、乳酸菌の安定性を担保する必要があるなど、苦労の連続でした。

 

―美味しさと機能性のどちらも実現するのは難しかったですか。

久) はい。乳酸菌は水分に弱く、水分が多いと安定性が悪くなり、一方、チョコレートは粒子の均一性やサイズが味に大きく影響します。私も知らなかったのですが、チョコレートもクッキーなどと同じように吸湿(湿気る)し、その吸湿性はチョコレート粒子の均一性と関係があることが分かりました。当初、乳酸菌をチョコレートでコーティングしてしまえば、吸湿せず安定性を保つことができると簡単に考えていましたが、試作をしてみると想定以上に菌の失活がありました。美味しくて、舌触りも良くて、なおかつ吸湿しにくいという、ゴールの見えない長い旅路へ迷い込んでしまった感覚でした。

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乳酸菌ショコラ(発明品)のラインナップ(左からミルク、ストロベリー、カカオ70%)

 

―乳酸菌自体はどんな味ですか。

久) 基本的には味はありません。いわゆるヨーグルトなどは酸っぱいと言われることがありますが、それは乳酸菌自体の味ではなく、乳酸菌が出している乳酸が酸っぱいことによるものです。弊社の製品は菌体のみの粉末なので、それほど味への影響は大きくなく、開発当初に株式会社ロッテの担当者からも、「思ったより全然酸っぱくないですね」と言われたことを覚えています。したがって、乳酸菌は摂りたいけれど、ヨーグルトは酸っぱいから苦手という方にもおすすめの商品です。

 

―乳酸菌にも株の種類が多数あると思いますが、何種類ぐらい試されましたか。

久) 弊社では、当時は約200株の乳酸菌ライブラリーを保有していました。乳酸菌といっても種類や株によって性質は様々で、酸に対する耐性も違います。今回のテーマの場合、「生きて腸まで届ける」ことを目的としており、チョコレートで乳酸菌をコーティングすることによる胃酸からのダメージ低減を狙っていましたが、基本的な性質としてライブラリーの中から耐酸性の強い株を選抜しました。また、ここでのポイントは、「生菌」を扱うということです。
 パッケージに「生きて腸まで届ける」と記載していますが、この表現に至るまで、実はかなりの紆余曲折がありました。皆さん、乳酸菌は善玉菌の良いイメージが強いと思いますが、食品業界では、乳酸菌であっても、いわゆる雑菌と同じで品質上は菌に汚染されているという評価になります。そのため、他製品に乳酸菌の混入がないように、菌を扱う工程は専用ラインでの製造が必要となるなど、製造工程の管理にも苦労しました。

構想から商品化まで5年の苦闘!

―構想から商品化まで何年程度かかりましたか。

久) 商品化まで5年という長い期間を要しました。菌の選定において胃酸にも強い乳酸菌を選びましたが、乳酸菌は時間が経過すると吸湿し、次第に死滅するため、長期間安定させ、なおかつ生きたまま腸内に届けるということは、非常に困難なことでした。
 医薬品の製剤化技術として吸湿防止、接触回避、耐酸性向上が可能となる油脂コーティング技術があり、それを応用して「乳酸菌をチョコレートでコーティングする」手法を採用することには時間はかかりませんでしたが、先ほどもお話したように、チョコレートの粒子径が1㎛違うだけで、耐酸性、安定性に大きく影響しますので、最適な粒子サイズ、均一性を見出すために、幾度となく実験を繰り返しました。試行錯誤の上、チョコレートの吸湿を防ぎ、胃酸や水分からも「生きた乳酸菌」を守ることができるようになりました。

特許取得も難航、進歩性に欠ける?!

―特許は、どの段階で出願されたのですか。

久) 特許は、製品化する以前に株式会社ロッテと共同で出願し、更に追加で出願しました。当時、お菓子に生きた乳酸菌を混ぜるという、あまり前例のない製品であったため、弊社としても、できるだけ広い範囲で特許を抑えておきたいと思っていましたが、特許取得も予想以上に難航しました。
 今回の開発製品のポイントは、食品としてチョコレートを食べると乳酸菌も摂取できることですが、食品に乳酸菌を混ぜるということ自体は、これまでにもあった技術であることから、この発明は「進歩性」に欠けると特許庁から指摘されてしまいました。
 そのため、チョコレート粒子の分布ピークや平均粒子径といった、チョコレートの中で乳酸菌が生きた状態で安定になる条件を特許請求の範囲で明確にすることにより、特許の登録が認められ、特許技術を用いた商品として販売が可能となりました。

―大変なご苦労の連続により商品化されましたが、一番のアピールポイントを教えてください。

久) やはり、お菓子に「生きた乳酸菌」が入った製品ということですね。最近では、乳酸菌が入った食品も販売されていますが、当時は乳酸菌といえばヨーグルトだけといっても良いほどでした。また、お菓子などに乳酸菌が入っているものは、ヨーグルトのように賞味期限が短く冷蔵保存が必要か、もともと殺菌した菌体を配合している場合が多いです。これは、生菌の管理には高度な工程管理技術が必要となるため、他社では敬遠されており、生きた菌の製品化は、弊社のオリジナルといえると思います。

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―ちなみに、入社から何年目で今回の事業を担当されたのですか。

久) 私は2006年の入社で、2010年頃から担当しました。

―御社では、入社後比較的早い段階から開発に取り組めるものなのですか、または、ある程

度下積み期間が必要なのでしょうか。

久) 弊社では、入社後1年目から即戦力として研究開発に携わっています。もちろん、社員一人に全て任せてしまうということはなく、上司のサポートを受けながら、チームとして取り組みます。そうした体制であるからこそ、研究者として成長することができます。

微生物の研究は、病気ではないけれど困っている人を助けることができる

―ご受賞のテーマやお仕事の進め方についてご説明いただきありがとうございました。ここからは、少し個人的な面をお伺いしたいと思います。
 まずは、研究開発業務のやりがいや魅力をお聞かせいただけますか。

久) もともと薬学部を卒業して薬剤師の資格を取得しており、薬に携わる仕事ができるということで、弊社に入社しました。整腸薬などは、病気を治療する薬というよりは、生活の質を向上させるような性質のもので、他の人にとってはそれほど深刻ではないものであっても、毎日便秘で苦しんでいる方にとっては切実な悩みとなります。
 製品の売上実績があるということは、それだけニーズがあるという証明であり、病気ではないけれども日常生活において困っている方に対して、弊社の製品を提供して症状が改善されたときなど、一番分かりやすい成果だと感じます。
 基本的に、薬は治療のために摂取するものであり、摂れば摂るほど良いとお薦めするものではありません。一方、食品は、生活の質を向上させるために積極的に摂ってほしいとお薦めできるものであり、微生物の研究開発者として今回のような開発に携われたことを誇りに思っております。

進路の選択、文系?理系?

―そもそも理系に進もうと思われたきっかけなどエピソードがあれば教えてください。

久) 20年以上前に遡りますが、生物が好きだったということが影響していると思います。理系というと主に数学や化学のイメージがあると思いますが、私は、どちらかというと生物系の方が好きで、子どもの頃に「なぜ目は見えるのだろう」、「なぜこんな形をしているのだろう」と生物学的なことに疑問を持っていたこともあり、特に悩むことなく、理系に進みました。

会社のバックアップ

―仕事面で女性研究者として苦労されているところなどはありますか。

久) 私は独身で、仕事に打ち込める環境にあります。弊社には、他にも女性研究者がおりますが、産休取得後仕事に復帰している者もおります。私が入社した15年前は、社内の人数が今より少なかったこともあり、産休で1人欠員となると他の社員への負担が大きく、女性社員の出産に向けたサポート体制が取りづらい状況でした。しかし、今では他からサポートできる体制が整備されており、働きやすい職場だと思います。まだ、男性社員の育休制度取得などの実績は少ないですが、必要に応じて働き方の調整も可能となっており、大変ありがたいと思います。

 

―女性社員や女性研究職の比率はどのくらいですか。

久) 女性は3割程度です。会社自体が小規模なこともあり、自分の専門分野以外の業務にも携わることもあり、男女関係なく課を跨いで担当することもあります。

今後の目標

―それでは最後に、今後の目標をお聞かせいただけますか。

久) 現在、私は研究業務を離れて、マネジメント室に所属し、研究広報担当として、弊社の研究内容を社外に発信する業務に携わっています。弊社、Noster株式会社では「腸内菌叢と生命をつなぐ」をビジョンとして、腸内菌叢をターゲットとした創薬開発を進めていますが、病気で困っている方々に、いち早くお薬として届けるためには、自社だけでなく、他の企業や大学などの研究機関との共同研究・開発を進めることが重要であると考えています。そのために、自社の研究内容を的確に広報、伝達することは、とても重要な役割だと考えています。
 また、企業が事業を継続するためには、まずは売上を確保し、そして伸ばしていくことが重要となります。私としては、弊社の研究開発成果を広報することで、売上向上に貢献し、そして、その売上を研究に還元させることができるように役割を果たして行きたいと考えています。
 また、腸内細菌に関わる世界の若手研究者を顕彰するため、昨年度から、世界的に権威のある学術誌Scienceを発行する米国科学振興協会と共同で、「NOSTER & Science Microbiome Prize」という腸内細菌研究奨励賞を日本企業として初めて設立し、去る、2021年9月3日に第2回の授賞式を開催しました。
 今後も、Scienceと連携し、最先端の腸内細菌叢の若手研究者を支援、表彰することで腸内細菌研究の発展に貢献していきたいと思っています。

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Noster株式会社の皆さま(左から3番目が久様)

日本初!に続けて、京都から世界へ向かって活躍のフィールドを広げる久さんの、今後さらなるご活躍を期待しています。

 

CUMEC® (HYA®-50)

腸内菌叢をターゲットにした革新的治療薬の開発

(掲載日:令和2年6月9日、ものづくり振興課 足利、中原、岩橋)

Noister企業イメージ

Noster株式会社(外部リンク)(向日市)の北尾浩平代表取締役CEOにお話をおうかがいしました。

腸内菌叢解析による創薬

―まず、事業の概要を教えてください。

北尾)Noster株式会社は、「腸内菌叢と生命をつなぐ」をビジョンとして2020年5月15日に日東薬品工業HD(外部リンク)のグループ会社として設立しました。腸内菌叢(そう)をターゲットにした革新的治療薬の実現を目的としています。例えば、難培養の腸内細菌を直接経口投与する微生物製剤の開発や、乳酸菌などの腸内細菌が産生する脂質の代謝物(ポストバイオティクス®)「HYA®(エイチワイエー)」の開発です。

―微生物そのものが「プロバイオティクス」、そのエサが「プレバイオティクス」、その代謝物が「ポストバイオティクス®」ですね。

北尾)そうです。ヒト腸管には1,000種、100兆を超える腸内細菌が共生していると言われ、ヒトだけでは代謝できないものも、こうした腸内細菌が代謝してくれており、これまでの研究で、乳酸菌やビフィズス菌をはじめとした腸内細菌が人間の健康に有益な効果をもたらすことはわかっていましたが、最新の研究では、糖尿病や腎疾患などの基礎疾患、免疫系疾患や癌等と関連する腸内細菌の特定や腸内細菌が産生する代謝物が生体の免疫応答や代謝経路に重要な働きをしていることが明らかとなってきました。

―「マイクロバイオーム(微生物叢)」の研究から創薬を進めてらっしゃるところは他にあるのですか?

北尾)創薬をメインで進めているところは世界中を見渡しても珍しいと思います。当社は、科学雑誌「Science」を出版する米国科学振興協会AAASとの共同プライズ「NOSTER & Science Microbiome Prize」を設立しており、腸内菌叢研究の発展に貢献する若手科学者をサポートし、腸内菌叢をターゲットにしたグローバルな治療基盤の確立を目指しています。

賞

―えー!すごいですね。あの有名な「Science」と!?マイクロバイオーム創薬を先導していかれるわけですね。

北尾)分子レベルで有効成分を確認する従来の創薬とは異なりますから、既存の製薬メーカーでも難しい分野だと思います。当社は、長年培ってきた微生物の培養技術に基づいて、腸内細菌とポストバイオティクス®の機能を解明する研究を進めています。

―Nosterには何名くらいの方がいらっしゃるのですか?

北尾)30名弱で大半が研究者です。研究開発に会社の未来を先導させるという意思決定に基づいて事業を展開していますが、研究者だけでなくマーケティングや広報など、必要となる専門人材は外部からも招いています。引き続き研究開発の拡大を図っていきます。

オンリーワンを支えるプロバイオティクス

―さて、菌のことについてもお伺いしたいのですが、自社株をお持ちだとのことですね。

北尾)植物や発酵食品由来の乳酸菌等を400株以上、またヒト由来の腸内細菌は、1,600株以上の菌株をライブラリーに保有しています。

―「2,000」ですか?!

北尾)京都は発酵食品の文化が進んだ土地ですので、すぐき漬けや菜の花漬けなどの珍しい漬物がたくさんあり、種類も豊富です。そうした漬物や植物などから単離してきた乳酸菌やヒト腸管から分離した難培養の腸内細菌を自社内のライブラリーにストックしています。

    

―具体的にはどういう機能を有する菌をお持ちなのでしょう?乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り、その乳酸が腸内を酸性へとpHをコントロールして悪玉菌の発生を抑えたりするわけですよね。

北尾)はい、産業株として乳酸菌は4種類、フェカリス菌NT株(Enterococcus faecalis NT)、ブレビス菌T001株(Lactobacillus brevis NTT001)、ブレビス菌M003株(Lactobacillus brevis NTM003)、ロイコ菌M048株(Leuconostoc mesenteroides NTM048)を保有しており、乳酸を産生して腸内環境を整える作用の他、それぞれが異なった特徴を持っています。フェカリス菌NT株は悪玉菌の増殖を抑える作用、ブレビス菌T001株はナチュラルキラー細胞を活性化させて自然免疫を高める作用、ブレビス菌M003株はプリン体を分解して尿酸値を下げる作用、ロイコ菌M048株はIgA抗体の分泌を促進して粘膜バリア機能を強化することや免疫バランスを整える作用が報告されています。

―なるほど。

北尾)ほかにも、ヒトの腸内に生息する善玉菌で、酢酸を産生し、悪玉菌の増殖を抑制するビフィズス菌NT株(Bifidobacterium longum NT)や納豆から分離される善玉菌で、熱や酸に強く、芽胞を形成する納豆菌NT株(Bacillus natto NT)、腸管粘膜のエネルギー源や炎症抑制作用で注目されている酪酸を産生する酪酸菌NT株(Clostridium butyricum NT)があります。酪酸菌を事業化しているのは国内で当社を含めて数社だけです。また、これら7種類の菌を産業用として培養していることも日本では珍しいと思います。

―7種類というのは多いのでしょうか?つまり、菌を培養するのは難しいものなのですか?

北尾)はい、医薬品や食品として製造するには高度な微生物培養技術が必要です。当社の場合は、様々な菌を、その特性に合わせて培養しています。微生物という生き物を扱っているので、非常に高い技術力が要求されます。簡単には真似のできない技術です。特に腸内細菌は酸素がほとんどない環境に生息している嫌気性細菌であるため、自然環境下での培養は困難です。当社はこれら難培養の腸内細菌も独自の培養技術で培養できることが大きな強みとなっています。

新たな研究領域「ポストバイオティクス®」

―機密事項も多いと思いますが、差し支えのない範囲で、少しだけラボを拝見させてください。

北尾)はい。こちらは腸内菌叢を再現したラボです。ヒト腸管内は酸素がほとんど存在しない嫌気状態になっていますので、チャンバー内に酸素のない環境をつくり、様々な腸内細菌を培養しています。

―なるほど。

北尾)その培養方法の1つとして、マイクロ流体デバイスという特殊な装置で難培養の腸内細菌を包み込む方法です。PCの画面で丸く見えるのが直径30µmの油滴で、その中に1µm程の大きさの腸内細菌を一つずつ入れ、酸素に触れさせることなく培養しています。油で自動的に包み込む機構は、自社で独自開発したものです。この技術によってヒト腸管から腸内細菌を網羅的に分離することが可能になりました。

―この装置がなければ、これまではどうしていたのですか?

北尾)平板培地で培養した腸内細菌を1つずつ手作業で分離していました。これまでは培養に1日~2日、長いもので5日以上かかっていたことを思うと驚異的です。

―そうなのですね。この装置だと、自動で流れるように次々と・・・ですから、比較にならない程、スピードも量も向上しているわけですね。

北尾)「Science」の方々がこれをご覧になられて「クレイジーだ!」とおっしゃってくださいました。それくらい今までにない発想で取り組んでいるのです。これによって、PCRや次世代シーケンサーなどDNA解析工程に送る菌の分別も非常に速く簡単になります。

―なるほど。

北尾)そして、こちらは腸内細菌の代謝物である「ポストバイオティクス®」を創り出すラボです。冒頭にも申し上げましたとおり、菌は、ヒトが消化できないものを分解(代謝)し、ヒトの体に有益なもの、例えば乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作り出します。こうした代謝物には高い生理活性があり“プレバイオティクス”、“プロバイオティクス”に次ぐ“ポストバイオティクス®”として腸内細菌の代謝物が世界的にも注目されています。当社はこの分野でも最先端の研究を行っており、京都大学や神戸大学、慶應義塾大学など様々な研究機関と腸内細菌による脂質の代謝物である「HYA®」の研究開発を進めています。HYA®は植物油に含まれるリノール酸から乳酸菌の酵素反応によって作り出されるもので、肥満抑制効果やインスリン抵抗性改善効果を実験で確認しています。将来的には、革新的な治療薬として世界中の人々に届けたいと考えています。

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―いいですね!

北尾)もちろん、創薬開発には10年、15年と長い年月と多額の資金が必要ですから、ヘルスケア事業や腸内菌叢解析のサービス事業、知的財産権のラインセンス活動も並行して進めながら、アメリカやフランス等の企業や研究機関と連携を深めています。

2021年の1月には、D2Cブランド「CUMEC(キュメック)(外部リンク)」を新たに立ち上げ、HYA®を50%配合した世界初のポストバイオ®サプリメント「HYA®-50」の販売を開始しました。この製品は化学合成ではなく、自然由来の植物オイルに高密度で乳酸菌を反応することによって生産するため、生産時の環境負荷を軽減できるグリーンバイオプロダクトとしてSDGsの達成にも寄与できると考えています。

 

―ありがとうございます。最後に今後の展望を改めてお願いします。

北尾)既存治療では十分とはいえない医療ニーズに応え、正しいサイエンスを病気に苦しむ全ての患者さんに届けたいです。そのためにも科学に基づいた研究開発を推進して、腸内細菌とその腸内細菌が産生する「ポストバイオティクス®」による微生物・化合物ライブラリーを拡充します。腸内菌叢をターゲットにした革新的治療薬を日本発で実現したいですね。

 

革新的治療薬、楽しみです!!

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