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株式会社フィルノット(京都企業紹介)

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光ファイバーによる光衣装・光装飾と「スヌーズレン」

(令和3年5月13日、ものづくり振興課 足利・濵田)

スヌーズレン
「スヌーズレン」リーフレット(PDF:2,083KB)

株式会社フィルノット(外部リンク)(本社:大山崎町)の小崎幹太代表取締役様と、妹の稲森麻子専務取締役様にお話をおうかがいしました。

「結び」の技で、光ファイバーの側面を光らす

--もうかれこれ10年来のお付き合いですが、このたびは「助け合いの輪」補助金もご利用いただきまして、改めて御社をご紹介させてください!まずは会社概要から。

小崎)1965年に母が始めた編み物教室からスタートし、現在は、主にエンターテインメント用の「光る衣装」、舞台やコンサート用の「光る装飾」を、光ファイバーを駆使して行っています。

ギア 大衆演劇 装飾

--光ファイバーの「側面」を光らせる技術ですね。その仕組みをご説明ください。

稲森)光ファイバーは、中心のコアと2層の被膜による3層構造になっており、光がコアの中を被膜との境界面で反射しながら伝送されるものです。しかし、境界面に対し大きな角度で光が突入すると、境界面を越えてしまいます。この原理を活用するため、光ファイバーを曲げることで、光が境界面に突入する角度を大きくし、そこから光を漏らしているのです。

結び目

--なるほど。

稲森)そして、その曲げる技法として、マクラメという「結び」の技術を用いています。マクラメとはアラビア語で発祥の結びの手芸で、日本でも縄文時代の遺跡からも発見されたりと歴史は古いです。ファッションやインテリアで用いられる装飾的な手芸技法で、糸、紐、ロープ等を用いて幾何学的な文様を生み出します。今もこういった仕事もしていますよ。

ファッション インテリア

設計力と職人技と3Dプリンタ

--光が漏れるということは、光源から離れるに従い光が弱くなってしまう?

稲森)そのとおりです。ですので、複数の光ファイバーをどのように組み合わせ、全体として光を維持するかが大事でして、そこが当社の大きなノウハウですね。

模様1 模様2 模様3

--設計はCAD

稲森)いいえ、手描きです。この型紙に合わせて熟練スタッフによる手作業で結んでいくのです。

設計図 作業

--光ファイバーの先に付ける光源や電源はどうしているのですか?

小崎)さきほど申しましたように、エンターテインメント業界、芸能関係に対応することとなりますので、電飾業の企業と衣装関係の企業をパートナーにしています。この辺りは、京都商会議所さんにかなり支援していただいたところです。

--そうでらっしゃいましたね。

小崎)そして、今回、光源部や電源部のカバーなどを、その場で作れるようにということで、「助け合いの輪」補助金で3Dプリンタを導入させていただきました。

3Dプリンタ

思わず結んだ!スポーツ新聞に載った!

--ところで、編み物教室から光ファイバー事業への事業変換の経緯というのは?

稲森)母は、マクラメを編み物教室でも教えていたのですが、研究熱心で、銅線などに至るまで様々な素材でマクラメを試していたんです。なので、細長い繊維状のものを見ると、ついつい結んでしまうというのが体に染みついていたんでしょうね、ある時、光ファイバーを使ったオブジェを作ってらっしゃる工房に行った際にも、思わず光ファイバーを結んでしまったんです。

--光ファイバーのオブジェって、先端部が光るものですよね。

稲森)そうです、そうです。ファーっとしてて、結んだりなどするものではないので、「やめてください!」って注意されてしまいましたが、その光ファイバーを結んでみたら、なんと結んだところで側面が光ったんです。

--なんと!

稲森)しかし、光源から遠ざかるほど、光が漏れる分、減退してしまうので、「なんだ、使えない」となってしまうところだったのですが、母は違って、さきほど申しましたように、複数のファイバーを組み合わせ、うまく設計することでそれを克服する手法を編み出したのです。

オブジェ1 オブジェ2 オブジェ3

--なんと!

稲森)それから、光ファイバーを使った独自の衣装や装飾を作って展示会に出展して回る日々だったのですが、その中で「スポニチ」の記者さんと知り合いまして、面白いからと、ある時、記事にしてくださったんです。

水着

--スポーツ新聞に!(笑)

稲森)それで業界の方に知ってもらうことになったきっかけなんです。

--「縁」ですねえ。

稲森)それで、光ファイバー事業の方が忙しくなったので、編み物教室は解散したのですが、不眠不休の日々と言っていいくらい忙しかったので、再び編み物教室の生徒さんらに戻ってきていただき、手伝ってもらうこととなりました。繊維と光ファイバーの違いはあれど、結ぶということは同じですから。

--それって、斬新なビジネスモデルですよ!翻訳の業務を語学学習者にさせることで一挙両得なモデルを作っている海外のスタートアップ企業がありますが、同じですよ!

稲森)その後、私は、出産があったり主人の海外赴任に付いていったりと、数年会社を離れて、また戻ってきたりとしていたのですが、とにかく編み物教室から、いきなりこうしたビジネス、しかもそれなりの業界とお付き合いするお仕事をするのだから、「経営」というものをしっかり構築しようということで、商工会議所の門をたたいたわけです。

人気のオリジナル予防衣

--しかし、新型コロナウイルスの蔓延が起きてしまった。エンターテインメントや舞台など、影響が直撃しています。

稲森)そうなんです。そんな中で、去年、知り合いの医療関係者から、当社が編み物をやっていることを知ってて「予防衣がなくて困っているし、作れないか」と相談がありました。それで「助け合いの輪」補助金でミシンを導入しました。既に300枚近くを販売できました。

ミシン

--それは良かったです。

稲森)今となっては予防衣の不足も解消されているから、もうないと思うでしょ?!しかし、そんなことなくて、今でも注文が来続けているんです。

--そうなんですか?!

稲森)当社のはオーダーメードなので、「こんなところにポケットが!」「オリジナルでいいだろう!」などと、口コミで広がっていって、先生の中にインフルエンサーのような方がいらしゃって、広まっているんです。

スヌーズレン

--素晴らしい!

稲森)それと、もう1つの新規事業が「スヌーズレン」です。

--ス、スヌーズレン?!

稲森)一言で言えば、障害をお持ちの方向けのセラピーです。光、音、匂いなどの多重感覚刺激の環境を提供し、リラックスあるいは活性させるものです。光るものとか、バブルとかもそうですし、砂をさらーっと垂らすことなどが効果がある方もいらっしゃるなど、いろいろ幅広いです。そして、高齢者の介護、自閉症や発達障害の子どもの教育、癒しを必要とする人の治療、あるいは広く子どもの保育などにも応用されてきています。

--そうなのですね。

稲森)ただ、今の方式では、スヌーズレンの光機器は大きく、施設の中に専用ルームを設けるというものです。これでは、自宅でリラックスさせたい時にはどうしようもないです。かと言って自宅等にそういう施設を作るのはコストの面でも厳しいでしょう。重度障害等でベッドから離れられない人もいるわけです。

--ふーむ。

稲森)そこで、光る衣装のノウハウ、面の光をつくる技術、独自に開発された小さな光源を使うことで、小型かつ設置が簡単なスヌーズレングッズの開発を進めています。

玉 バー レース

--なるほど。

稲森)こういった、パーソナル空間を施したようなものもありますよ。この生地づくりには、さきほどのミシンを活用しています。

--それは良かった!濵田さん、ちょっと入ってみて。どう?

--なんか、落ち着きます。というか、寝てしまうくらい心地いいかもです(笑)

個室風

--仕事、疲れてる?!(笑)。さて、このきっかけは?

稲森)もともと、光ファイバー事業では、エンタメの世界で人々に、「驚き」「楽しさ」「興奮」を提供してきました。しかし、この「柔らかい光」は、「癒し」にも力を発揮するのではないかと、以前から漠然と思っていたのです。仏像のデザイン等では、展示会で1時間たっても、ずーっと眺めてる方いらっしゃるんです。

仏様1 仏様2

--そうなのですね。

稲森)地域にも障害をお持ちのお子さんがいて、ずっと、ママ友さんらと「何かできないかなあ」と話してきました。そうした中から調べを尽くしましたら、東洋大学の嶺先生に行き当たったというところです。

--いいですね。最後に今後の展望は?

小崎)コロナで当社も大変ですが、もっと大変な方も大勢いらっしゃいますので、そういう現場のお役に立てればいいなと思っています。

 

 

今後の展開が楽しみです。

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商工労働観光部ものづくり振興課

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