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リバーセル株式会社 (京都企業紹介)

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京都品質

T細胞製剤で、病気(がん、白血病、難病等)を迅速かつ安価に治す!

(掲載日:令和3年9月29日 聞き手・文 ものづくり振興課 石飛)

T細胞製造工場 作:河本宏教授 免疫細胞の循環 作:河本宏教授

リバーセル株式会社(外部リンク)(京都市上京区)の河本取締役(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 教授)と三宅事業開発部ディレクターにお話をお伺いしました。

汎用性キラーT細胞製剤を用いた治療法の確立を目指す!

―まずは、御社の概要・起業の背景を教えてください。

三宅)2019年10月に設立した、汎用性キラーT細胞製剤を用いた治療法の確立を目指すバイオ創薬ベンチャーです。社名の由来は細胞が生まれ変わるという「リバース(Rebirth)」に細胞の「セル(Cell)」を組み合わせたものです。がんをはじめとする、治療期間が長く多大な治療費がかかる病気で苦しむ患者とその家族を救いたく起業しました。もともとレグセル社(制御性T細胞を扱う⼤阪⼤学の坂⼝志文教授が設立)に河本教授が参画するかたちで始まりましたが、扱う細胞の種類等が異なることから独立・分社化しました。

―そうなのですね。「汎用性キラーT細胞」(獲得免疫系)とはそもそも何でしょうか。

河本)キラーT細胞は、その名の通り”殺し屋”として標的となるウイルス感染細胞やがん細胞を見つけて殺傷する能力に非常に優れています。この性質を利用して薬として使うわけですが、問題は投与された患者さんの中で自分以外の細胞に対しては拒絶反応が起こるという点です。そこであらかじめ免疫による拒絶反応が出にくいように加工したiPS細胞からキラーT細胞を再生することを試みており、その性質を汎用性と呼んでいます。

―どういった方法で、免疫拒絶反応が出にくいiPS細胞からキラーT細胞をつくるのでしょうか。

河本)まず、iPS細胞の中でも免疫拒絶がおきにくい細胞(日本人の6人に1人に適応される細胞)を使用します。それでも、HLA(白血球の血液型で、自他認識をする役割等がある)が違うと副反応が起こってしまいます。
そこで当社は、HLAをノックアウトする技術を研究しており、実用化されれば、日本人の大半に適応するT細胞を作ることができます。
その際、NK細胞(Natural Killer、自然免疫系)はHLAをノックアウトした細胞を殺してしまう為、NK細胞を抑える必要があり、その技術も開発しています。

―T細胞とiPS細胞による相乗効果により、さらに効果が高まるのですね。

河本)はい。さらに言えば、キラーT細胞が持つがん化した細胞だけを選択的に殺すという性質は、標準的な化学療法などに比較して「身体への負担が少ない」という点もメリットです。 

(キラーT細胞ががん細胞を殺している映像)

―それは良いですね。では、御社の強みをあらためて教えていただけますでしょうか。

河本)研究開発の速度や精度に関して言うと、私自身が元臨床医だったこともあり、今後の治験に向けて京都大学医学部付属病院(以下、京大病院)と密に協力できる点は強みだと思います。さらにはiPS細胞から高品質なキラーT細胞を作る培養技術に関して複数の特許を保有している点は、かなり大きなアドバンテージだと考えております。

―すごいですね。どのような特許ですか。

河本)代表的なものは、がん抗原を認識する遺伝子をiPS細胞に導入してそこから分化誘導してT細胞を再生するための特許(TCR-iPS細胞法)で、欧州と豪州および日本で特許が成立しています。さらに、高品質なキラーT細胞を作る培養法についても欧州と日本で特許が成立しています。これにより、世界に先駆けた開発・治験が可能となっております。

―そうなのですね。開発の計画予定はいかがですか。

河本)直近では治験に向けた細胞製剤の製造を進めています。2021年度中には治験に用いるT細胞製剤の材料となるiPS細胞を作製します。2022年度と2023年度は京大病院に設置されるクリーンな細胞製造施設でそのiPS細胞から本番で使用するのと同等の品質の細胞を作製して、その安全性(病原体を持たない、腫瘍化しないなど)と有効性(がん細胞を殺傷できるかなど)を検証します。2024年には急性骨髄性白血病を対象にした京大病院での医師主導治験を行って有効性を確認、2027年には製造・販売開始を目指しています。

コロナ治療にも期待されるキラーT細胞!

 

(当社のT細胞製剤)

 

―最近、TVでも御社の特集を見ました。御社の技術は、コロナ治療への応用も可能なのでしょうか。

河本)我々が実現を目指す汎用性T細胞製剤は、その原理から抗ウイルス薬としても活躍できると考えます。
具体的には新型コロナの回復者の血液から、新型コロナウイルスを記憶したTCR遺伝子(がん抗原等を認識するT細胞受容体)を抽出してiPS細胞に組み込み「汎用性ウイルス特異的再生T細胞」として培養することで、治療に活用することが可能と考えております。
また、2020年10月から、藤田医科大学と汎用性キラーT細胞を用いた新型コロナ治療法に関する共同研究を開始しております。2021年3月には、京都大学も加わり、3者で研究を進めております。

―実用化に向けてはどのような状況なのでしょうか。

河本)薬の開発には時間がかかりますので、最短でも3年後に臨床治験開始というスケジュール感です。3年後といえば新型コロナは収束しているかもしれませんが、この方法が確立されると、未知のウイルスによる次のパンデミックが起こった時には素早く対応できますし、現在どこかに潜伏しているSARSのような危険なウイルスに対してもあらかじめ細胞製剤を作って備えておくことができますので、取り組む意義は非常に大きいと感じています。

―最後に今後の展望をお聞かせください。

河本)未来は「病気になったら細胞製剤で治す」という世界になっているかもしれません。弊社の技術によってがんや感染症だけではなく、自己免疫疾患やアレルギーなども含めた、さまざまな病気を治すことができるよう研究・開発を進めてまいります。

―今後の展開が楽しみですね!

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商工労働観光部ものづくり振興課

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