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レグセル株式会社(京都企業紹介)

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京都品質QOL向上支援新商品サービス提供企業群 

制御性T細胞による医療革命

(掲載日:令和2年3月9日、ものづくり振興課 足利)

レグセル企業イメージ 

 レグセル株式会社(外部リンク)(設立:2016年、所在地:京都市、CTO:坂口志文氏(京都大学名誉教授兼大阪大学名誉教授))代表取締役の半田恭彦様、坂口教子様にお話をおうかがいしました。

全く新しいアプローチ

--制御性T細胞Treg:Regulatory T cellに関してお聞きするならば、免疫学の世界トップ研究者であり、Tregの発見者である坂口志文先生の技術をベースに免疫制御治療法の実用化を目指してらっしゃる御社しかないと思い、参りました。

半田)最初に結論を申し上げると、従来のものとは「全く」と言っていい程、違うアプローチのものです。

--どういうことでしょうか。

半田)それをご理解いただくために、当社が実用化しようとして進めているTregを応用した治療法の例を、いくつか説明していきましょう。Tregというのは「免疫反応を抑える特殊なT細胞」であり、その利用法には大きくは、「Tregを増やす」という方向性と、「Tregを減らす」という方向性があります。

Tregえお増やす減らす

これまでにない抗原特異的な免疫抑制をTregで

--はい。

半田)まず前者は、活性化T細胞による過度な免疫に対し、Tregを増やすことによって制御する、いわばブレーキをかけるというもので、自己免疫疾患治療、移植免疫寛容、アレルギー緩和などの「免疫制御領域」に適用できるものです。

--自己免疫疾患と言いますと。

半田)例えばリウマチですね。免疫システムに異常が生じ、関節の内側を覆う「滑膜」にリンパ球、つまりT細胞が集まって、滑膜を外敵だと攻撃してしまうことがきっかけで起こるものです。患者数が国内で約100万人、欧米で約420万人と、自己免疫疾患の中で最も患者数が多いと言われており、既に数多くの医薬品が提供されているものの、既存治療法では寛解に至らない患者様がいらっしゃります。リウマチに限らず多くの自己免疫疾患は未だ根治療法が存在せずアンメットなニーズが存在しているのです。また、免疫抑制剤による治療は副作用の問題も根強く、QOL低下も問題となります。その点、Tregによる治療は、リウマチにおける炎症惹起細胞の活性を抑えるという、病態の根源に働きかける方法であり、さらに副作用も軽減できると考えています。

--どういうことでしょうか。

半田)T細胞は、樹状細胞のMHC分子上に提示された抗原を、T細胞の細胞表面に発現している受容体(TCR)で認識し、免疫反応を誘導するシグナルが伝達されて活性化します。これが活性化T細胞と呼ばれ、様々な機能を発揮します。

--はい。

半田)TCRの種類、すなわち反応性には膨大な数があり、ひとくちにT細胞と言っても表面に発現しているTCRは様々で、1つのT細胞の表面には、1種類のTCRが発現しています。つまり、1つの細胞が認識できる抗原は1種類だけで、これを抗原特異性といいます。

--はい。

半田)そして、ある活性化T細胞が発現しているTCRが認識する抗原と同じものに対して反応するTCRを持つTregもあります。

--そうなのですね。

坂口)そこで、例えば自己抗原に対応するTCRを発現しているTregを投与する、そうすることでその抗原に対してのみTregの持つ免疫抑制能が発揮され、同じ自己反応性を持つ活性化T細胞の免疫反応だけを特異的に抑える事が出来ます。これがTregの重要な働きである「抗原特異的免疫抑制」です。

--なるほど!

半田)これまでは、例えばステロイドなどのように、免疫が全般的に抑制されてしまうわけですが、この方法ですと、根源的で副作用の少ない免疫抑制が可能になります。

「自家」で安全に、原因不明でも!! --活性化T細胞からTregに変換

--素晴らしいですね!

半田)そして現在取り組んでいるのは、自己免疫疾患を起こしている活性化T細胞からTregへの変換です。

Tregへの変換

--そんな転換ができるのですか?!

坂口)体内で炎症性の活性化T細胞が制御性T細胞に変化する現象は知られています。TCRの反応性はそのままに、T細胞本体部分を、活性化T細胞からTregに変えていくものです。私達はその現象を効率よく起こす方法を発見しました。独自の技術により、人工的に試験管内でTreg分化のマスター遺伝子である転写因子Foxp3を安定に発現させ、抗原特異的Tregへの変換を誘導していくのです。

--そうなのですね!

半田)この方式のすごいところは、まず、原因分析など無しに自己免疫疾患を治せるということです。普通は、抗原が何で、だからどんな対策をしようという分析が行われていくことになります。しかし、自己免疫疾患は、先ほども申しましたように、難病も多く、アンメットと言いますか、原因不明なのも多いわけです。よって普通どおりの手法では対応できないのですが、本方式であれば、自己疾患が起こっている患者さんが有している活性化T細胞を変換するので、着実に原因となっている抗原目掛けてTregが作用するわけです。

--なるほど!

半田)それに、今申しましたように「自家」であり、安全面で大変優れています。遺伝子をいじるわけでもありません。

--おお!

半田)さらには、開発コストも抑えられます。抗原を同定して、ということになれば、抗原ごとに対策をとらねばなりませんが、本方式であればそれも不要です。

--いいですね!

半田)一方で、課題として「自家」故のコスト増加と言う点はあります。また細胞製剤のため現状ではCPC(細胞培養加工施設)も必要となります。そこで、更なる発展的事業として、より安全で簡便な作製手法の確立を目指しており、技術的・資金的な協力者も必要としているところです。

Tregを抑えて、すべてのがんの完全寛解にを

--そうなのですね。

半田)次に「Tregを減らす」という方向性についてです。Tregを減らすことによって、活性化T細胞による免疫について、ばんばんアクセルを踏むということですね。がん治療などの「免疫賦活領域」に適用できるものです。

--がん治療ですか。

半田)例えば、イマチニブという慢性骨髄性白血病(CML)の薬があります。随分以前から使われてきたがん細胞の増殖を抑制する薬です。当社は、この薬が、Tregの機能や増殖も抑制することができると考えています。そうなると、従来のがん細胞への直接的な作用に加えて、Tregを抑える作用もあいまって活性化T細胞にどんどんがん細胞を攻撃させることができ、完全寛解が実現できると考えています。

--どうしてTregの機能や増殖を抑制できるのですか?

半田)イマチニブが、Tregの内部で伝わるTCRのシグナル経路を断つからです。TCRのシグナルは、TCRを構成するタンパク質がリン酸化することで伝わっていくのですが、そのうちの1つ、Lckをイマチニブは阻害するのです。

--しかし、それは類似のTCRを持つ活性化T細胞であっても、同じく機能しなくなるのではないのですか?

半田)Tregの方が、活性化T細胞よりも、Lckの量が少ないのです。よって、前者のLckの量を阻害できる量のイマチニブを投入すれば、後者のLckは量が多い分阻害されずに機能する余地がある、つまり、選択的にTregだけを抑制することができるというわけです。

先を行き過ぎる故の「壁」

--なるほど、すごい話ですね!実現するには手法を確立していく必要があるのでしょうか。

半田)それもそうですが、何よりも、創薬メーカーがなかなか腰を上げません。いや、上げたくても上げられないのです。

--ええー!?こんなに画期的なものなのに?!どうしてですか?

半田)医薬品としての臨床応用を目指すということで、そのためには治験が必要です。しかし、イマチニブは、随分以前からある薬であり、もはや特許も切れていますし、今回の私どもの提案している手法についても新しい特許の対象にはならないのです。ということは、創薬メーカーからすると、莫大なお金で治験を行っても、特許で守られないので、他社にフリーで使われてしまうことになってしまう。この事業を推進することで国としての医療費削減やがん患者様のQOL向上に資することがわかっていても、最初に治験を行う者だけが損してしまうということで、誰も実行できないのです。

--なんと!

坂口)なんとか、この問題を解決したいです。分野を問わず、様々な方に、この問題を知っていただき、ご支援いただければと切に願っています。

--最初におっしゃったように、従来のものとは「全く」違う故の、先駆者故の苦しみといったところでしょうか。

半田)ご説明しましたとおり、当社のプロジェクトは方向性の二面性はあれ、2つともにアプローチ、考え方、戦略が従来の治療法と全く違うのです。まず1つは、活性化T細胞だけではなく制御性T細胞も含め、免疫全体のバランスをとる全体最適化を図っているということ、次に、抗原特異的な免疫制御でありながら、抗原を限定せず、多様な抗原に対応できる、未解明の抗原にすら対応できるということ、そして3点目として、とは言え、先ほども申しましたように「自家」のもの、自然に体内に存在する細胞を用いることができ安全性が高いというものであり、免疫細胞療法にパラダイムシフトを引き起こすものと確信しています。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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