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株式会社ShinSei(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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ハンディな金属分析装置

(令和3年5月18日、ものづくり振興課 鴨井)

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株式会社ShinSei(外部リンク)の芦田竜太郎 代表取締役にお話をお伺いしました。

ハンドヘルド蛍光X線分析機 『VoXER』

-この度、関西ものづくり新撰2021(外部リンク)に選出されました御社のハンドヘルド蛍光X線分析機『VoXER』についてお話をお聞きします。まず、蛍光X線分析がどういったものか教えてください。

芦田)X線を材料に照射した際、物質を透過するX線と、物質から跳ね返る蛍光X線が発生します。一般的にX線装置といえば透過X線を用いたレントゲン装置を想像する方が多いですが、材料分析の観点から、蛍光X線は金属材料の分析に幅広く利用されています。

原理について簡単に説明しますと、図のようにX線が物質に当たると電子が飛ばされ、外側の殻から空いた内側の殻へ電子が移動します。このとき電子がL殻からK殻へ移動する際に放出される蛍光X線をKα線、M殻からK殻へ移動する際に放出される蛍光X線をKβ線といいます。この反応は元素によって固有のものであるため元素を特定することができます。図のように、検出されたKα線とKβ線のピークが元素によって違うことから、蛍光X線を利用することで含有成分を分析することができます。

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-この蛍光X線ですが、現場ではどういった活用をされているのですか?

芦田)蛍光X 線分析の用途はスクリーニングから工程管理まで活用されており、主成分分析からppmオーダーの分析まで幅広く用いられています。例えば、EUでは2006年にRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令が施行されていますが、EU加盟国へ製品を出荷するためにはRoHSの定める6種の有害物質の製品含有量を指定値以下にする必要があります。蛍光X線分析装置は非破壊かつ非常に早い時間で測定出来るため、有害物質のスクリーニングなどで重宝されています。

-蛍光X線は特に金属材料の分析でよく使われているイメージですね。

芦田)はい。金属加工において材料の特性は非常に重要なものになります。必要な性質を有さない材料を使用することで強度不足、腐食または外観不良を起こして製品品質に大きな問題を起こします。現在は、材料のトレイサビリティをとることが主流となってきていますが、材料は海外含めて様々なルートで流通するため、現物を検査する以外に品質を保証することが難しくなっています。

他にもステンレスは含有物の量や熱処理による温度変化によって、様々な結晶構造に変化します。結晶構造が変化することで、性質もさまざまに変化しますので、用途にあわせたステンレス製品を作ることができます。日本で使われるステンレスはJIS規格のものが一般的で、各ステンレスの表記はJIS記号で「SUS***」と表記し、Steel Use Stainlessの頭文字と、3ケタの数字で表記され、オーステナイト系やフェライト系、マルテンサイト系など、その種類は多岐にわたります。

-確かに見た目だけで判断するのは難しいですね。

芦田)この問題を解決すべく活用されているのが現場での簡易的な成分分析による合金判定の検査です。成分分析と言えば研究機関等で高額な装置を使用することをイメージされるかと思いますが、最近ではハンディタイプで手軽に分析可能な装置も流通しています。ハンディタイプであることで現場だけでなく、客先や検査室等でも場所を選ばず分析できます。またハンディタイプは測定時間が短く30秒程度で測定できるものがほとんどです。

-ハンドヘルド蛍光X線分析機『VoXER』はハンディタイプの分析装置ということですね。どういった装置か教えてください。

芦田)本装置は、固体材料の摩擦、砂糖や結晶の破砕、粘着テープの剥離などに見られるトライボルミネッセンス​という技術を用いています。2008年にUCLA(米カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のチームが、真空中でセロハンテープを秒速3センチメートルの速さで剥がすことでX線撮影が可能な強度のX線発生を観測した技術です。

通常、X線を発生させるためにはX線管に高い電圧をかける必要があり、結果として大きな電源が必要となってしまいますが、本技術は摩擦の力を利用してX線を発生させていることから、コンパクトかつ軽量な装置の実現が可能です。装置自体はアメリカで開発されたものですが、その製造・販売ライセンスを国内で唯一保有しているのが弊社になります。

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-画期的な技術ですね。

芦田)はい。ただ、簡単そうに見えますが、X線を発生させるためには高い真空度を維持する必要があるなどノウハウが詰まっており、精密金属加工が可能な弊社だからこそ、実現できた製品です。そのため、本装置のコア部分は弊社で作製しており、メイドイン京都の製品だからこそ、低価格での装置提供が可能です。日本にも蛍光X線分析装置を作っているメーカはたくさんありますが、実は中のディテクタ等は、そのほとんどを海外からの輸入に頼っていることから、結果的に装置価格が高くなってしまいます。

-他にはどんな特徴があるのですか?

芦田)特徴として軽量、コンパクトはもちろんですが、使いやすさとメンテナンス性にも配慮しています。大型タッチパネル操作で安心誤動作防止機能を搭載することで、使いやすさ・安全面で配慮された設計を実現し、かつ、X線管にワンタッチカートリッジ方式を採用することで保守性を向上させ、交換費用を低減させることで、初期導入コストと合わせて、抜群のコストパフォーマンスを実現しました。

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-装置によっては線源の交換自体に何時間もかかってしまう場合もありますので、ワンタッチカートリッジ方式は便利ですね。

芦田)X線源はワンカートリッジで約2000ショット程度使用できますが、消耗品のため、交換頻度も少なくありませんので、ワンタッチでの線源交換は利用者の負担を軽減します。もちろん、使用後のカートリッジは弊社で回収し、再利用するなど、環境にも配慮した製品になっております。

-ありがとうございました。今後の展開についてはいかがでしょうか。

芦田)今回、ご紹介しました『VoXER』やむし歯早期診断システムなど、弊社は絶えず新製品の開発に取り組んでいます。最新鋭の設備でミクロンオーダーの要求に対応し、「精密加工技術の造る」と「サイエンステクノロジーの創る」を融合させ、モノづくりの枠を超えた新世界の未来へ大きく飛躍し、地域経済の活性化や社会貢献を行い、新たな価値を創造できる企業を目指しています。今後も、京都「ものづくりのプロフェッショナル」として、開発に努めて参ります。

-今後の御活躍が楽しみです!

シェアリング事業で支援! - 幅6mm、長さ120mmの角パイプ型カトラリー

(令和元年11月19日、ものづくり振興課 足利)

株式会社ShinSei(外部リンク)(城陽市)が、Makers.Kyoto様の角パイプ型カトラリー開発を、シェアリング事業にてサポートされました。

シェアリング事業 - 人(知と技術)と機械のシェアリングで、世の中のシーズをカタチに!

(掲載日:平成30年12月27日、ものづくり振興課 足利)

株式会社ShinSei(外部リンク) (城陽市)が実施された「平成29年度中小企業共同型ものづくり事業(シェアリング事業)」の概要です。 

シェアリング事業概要図。人と機械のシェアリングで世の中のシーズをカタチに

驚きの手法と多彩な人材が創造する精度・スピード・新製品「Steam REVO」

(掲載日:平成29年10月2日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

平成29年度経営革新企業・株式会社ShinSei(外部リンク) (本社:城陽市)の芦田代表取締役社長樣、山内部長樣にお話をおうかがいしました。

高難易度の鍛造用金型から成形用の超微細金型まで--トップレベルの加工精度と開発スピード

-最初に、Shinseiという会社名の由来からお聞きしていいでしょうか?

芦田)「新世」の意味で名付けたのですが、2004年創業当時、この漢字の名前を付けてらっしゃる企業様が結構周囲にもありまして、ちょうど法人登記上、アルファベット表記が認められた頃でしたので、その流れでアルファベットにしたのです(笑)

-なるほど!では、御社の概要について教えてください。

芦田)鍛造用、切削用、樹脂成形用などの各種金型の製造、射出成形加工の試作・量産のほか、さらに最近ではスチームとラップなど自社商品の開発を開始しています。関連会社を含めて、この本社工場、宇治の工場、開発ラボのほか、けいはんなラボ棟にもラボを借りており、現在約35名態勢です。そのほか、中国・大連にも関連会社を設立し、ほぼ同数の体制で工場を稼働しています。

-社員さんの数も急激に増えてらっしゃいますね、その話の前に、まず、金型製造についてお聞きしたいと思います。鍛造用金型というのは?

山内)例えば、自転車の部品を作るためのものです。競技用自転車などは、軽量で、大変な負荷に耐えることが必要ですし、どんどん高い性能が求められている分野ですので、ある意味では自動車部品以上にシビアな面もあります。そうした自転車部品を鍛造で作るための金型づくりは、大変難易度が高いのです。

-そうなのですね。では、樹脂成形用は?

芦田)例えば、レンズ鏡筒に使われる様々なプラスチック部品を成型するための金型ですね。こんなものです。医療系のカテーテルに使用される部品です。

-えっ?!この、小さい粒ですか?というか、粒よりも小さい「点」ですね。これが金型なのですか?!(写真でお見せできないのが残念!)

芦田)そうです。これで0.3mmほどの大きさで、しかも顕微鏡で拡大してご覧いただくと分かりますが、単なる点ではなくて、それ自体が複雑な異形をしています。こうした0.3mmとか0.1mmとかいった微細精密加工技術が金型に盛り込まれて成形する高精度部品が、カメラのレンズ鏡筒には数十個と使われています。カメラは未だに日本が世界一のレベルにあるのは、こういうことなのです。

-すごいですね!

山内)また、金型は製作した後、更に微調整をするのですが、それは1ミクロン単位で行います。

-そうなのですね!そうしたレベルの加工ができる会社はほかにもあるのですか?

山内)国内でも数社で、カメラレンズ鏡筒部品用の金型を作っているのが実態ですね。この部品精度とスピード対応が当社の強みですね。

マシンの特性をここまで徹底的に把握する!--驚きのものづくり技術

-その強みはどうやって生み出されているのでしょう?まず、そもそも、金型の加工はどうされているのですか?

芦田)普通のマシニングセンタを用いています。

-えっ?!そうなんですか?!

芦田)マシンの特性を把握し尽くしているのです。材料、熱、回転数、回転の共振、切削スピード、刃物工具など様々な変動要因について、季節や時間帯ごとに全て数値データを保有し、活かしています。例えば、電源を入れた際には何ミクロン動くとか、工場の前の道路を車が通った時には何ミクロン動くとか、そういうことまで全て把握しているのです。だから、条件によって加工時間帯も配慮するなどしています。

-すごいですね。そこまでの把握は、聞いたことがありません。

芦田)創業前に、京都の上場企業、TOWAさんで働いており大変お世話になったのです。とても素晴らしい会社でして、そこでこうしたことを含め、様々なことを学ばせていただいた経験が生きています。

-そうでらっしゃったのですね。

山内)実は、私はパナソニックからの出向社員としてShinSeiで働いております。ShinSeiが創業間もない頃から知っているのですが、当時から、ShinSeiの部品は、上型と下型の勘合(クリアランス)も、金型部品加工の配慮があり精密加工技術の取組みが図られている会社として、驚きを感じていました。又その当時は、「えっ、3、4人の会社なんですか?!」とびっくりしたのを覚えています。その後も部品加工、樹脂成形など拡大行い、顧客要望としても、中国でもサポートしてほしいということになり、大連に進出を図り今や日本と同じ会社規模で運営を行っております。

 

豊富なアイデアとスピードを生む多彩なドクター人材 - 人材が人材を呼ぶ

-そうだったのですね。しかし、マシンの特性、挙動の把握の追求って、先ほどのお話でもとても奥深いわけですが、どうされているのですか?

芦田)当社も今後は、自社製品の開発を目指していまして、高分子、材料、電子、医療系など様々な分野のドクターが、国籍も含めて豊富におります。そうした彼らの知識、知見がマシンにおいても、どんどん深いレベルで把握していっています。分子レベルで分析していますね。

-なるほど。

芦田)それに、例えば「電子がこうならどうだ」「このプレッシャーならこうだとか」「この治具には、材料は何で」とかいった具合に、多彩なドクターどうしで、どんどんアイデアが出てくるので、商品開発のスピードもとても速いですよ。

-しかし、今の世の中、人手不足です。どうされているのですか?

芦田)まもなく、また数名ドクターが入る予定です。特に何もPRしていないのですが、人材が人材を呼ぶと言いましょうか、おかげさまで当社のことを、皆さんが探し出してきてくれて、人が来てくれます。もちろん、待遇もアップしていますよ、私自身の給料は少ないですけどね(笑)

蒸気使用プロセスの効率性・省エネ性を向上させる「Steam REVO」

-そして、自社製品第1号が、次世代型スチームトラップ「Steam REVO」ですね。まず、スチームトラップとは何ですか?

芦田)スチームトラップとは、蒸気の中からドレンだけを排出するために用いられる自動弁の一種です。蒸気が、輸送管や蒸気使用装置において潜熱を放出すると、凝縮してドレンになりますが、蒸気輸送、蒸気使用装置の熱効率を維持するためには、それを速やかに排除しなければならないのです。また、放っておくと、ウォーターハンマー(管内で圧力を持った水と水の衝突)の発生による配管破裂の原因にもなります。化学プラント、アグリ分野、船舶など、様々な産業、分野で使われており、市場も大きいです。

 -なるほど。そして、「Steam REVO」はどういう点が新しいのでしょう?

芦田)まず1つは、シンプルで新しい構造です。従来のベンチュリ原理(流体の流れを絞ることにより、流速を増加させ、圧力を低くさせる機構)に、コアンダ原理(粘性の流体が、近くの壁に引き寄せられる効果)、エジェクト原理(高速で流れる流体が、周辺の流体を引き込む作用の原理)の相乗効果を発揮します。これによりドレン排出のために開閉する弁機能を持たない、可変部ゼロの構造となっています。また、2つめとして、全てのパーツを圧延、焼きなまし処理を行ったステンレス製にしています。

-それらによる効果、ユーザーにとっての性能はいかがでしょう?

芦田)まず、効果的にドレン排出ができますので、ユーザーの蒸気使用プロセスについて効率性、省エネ性が高まるということですね。燃料費、給水費、添加剤費、CO2排出量などが削減できますね。次に、スチームとラップそのものがが、丈夫で錆びにくいですし、可動部ゼロのため摩耗や劣化の要素が少ないということです。そもそも、プラントなどの輸送管って、高所にあることもありますから、メンテナンスも大変なわけですが、10年超耐久しますので、メンテナンスも大幅に削減でき、保守費が削減できるということですね。3つ目は、既製品とのサイズ互換性も持たせておりますし、取り付け方向の制約を解消する形状としているなど、簡単設置、荷担保守管理を実現できます。

-一方、これだけ高性能ですと、お値段はちょっと高めということでしょうけれど、メンテナンスも大幅削減されますし、蒸気使用プロセスの効率性・省エネ性アップという、トータルで考えてください、ということですね。

芦田)その通りです。

知財の固まり・京都を活かして「本物」を築きあげたい!

-他にも開発を手掛けられているのですか?

芦田)マイクロマシン、人工骨、ラマン分光装置など、様々ですね。ドクター人材を中心に、様々な開発がハイスピードで進んでいくようになりますね。

-素晴らしいですね。しかし、創業当時はご苦労も多かったのでしょうね。

芦田)そうですね。試作をやろうと思っていましたが、仕事が全く来ず、仕方がないので、「仕事ありませんか」と、工具屋さんらを廻ったりしていましたね。事業の目途も立たないので、金融機関からもお金が借りられず、親戚から借りたりしましたね。

-さて、今後の展望はいかがでしょうか?

芦田)まずは、当社の要素技術を活かした機械を開発していって、メーカーになりたいですね。

-なるほど。

芦田)また、日本は、約25年前までは世界最強のものづくりの国であったわけです。京都からもオンリーワンの大企業が輩出されてきたわけです。しかし、その輩出が止まっていますよね。京都は、人口当たりに占める大学の数も多く、まさに「知財の固まり」なわけです。この知財、知見を生かして、「本物」を築きあげていく、そういう会社になりたいのです。

-今後の同社の活躍に目が離せません!

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