ホーム > 産業・しごと > 商工業 > 京都府の産業支援について > 食道具 竹上(京都企業紹介)

ここから本文です。

食道具 竹上(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順) 京の食 京都府の産業支援情報

「料理が変わる!一生もんの庖丁」を提供

(更新日:令和元年7月30日 聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋、足利)
(掲載日:平成30年11月1日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)

写真:食道具竹上の従業員

平成30年度「知恵の経営」認証企業、食道具 竹上(外部リンク)(南丹市)の代表・庖丁コーディネータの廣瀬康二様にお話をおうかがいしました。

庖丁の製造・修理から庖丁及び食文化の魅力までを伝える庖丁店

―まずは、御社の概要を教えてください。

廣瀬)弊社は、2010年に創業した庖丁店です。業務内容としては、(1)庖丁の製造、(2)庖丁の更生修理、(3)講座やセミナーを通じた庖丁及び食文化の魅力発信・教育の3つを行っています。本社の立地場所である南丹市八木町は祖父母が薬局店を営んでいた思い出の地であり、その際の屋号であった「竹上」を引継ぎ、創業しました。店名を「庖丁店」ではなく「食道具」としたのは、『食』という漢字は「人」の中に「良」と書きますが、人を良くする食のための道具=庖丁を造り続けて、人々のお役に立ちたいという思いからでして、その結果、「食道具 竹上」と命名しました。

―庖丁店を営まれたきっかけは何だったのでしょうか。

廣瀬)大学在学中に京都のマグロ卸問屋でアルバイトをしておりましたが、その時のマグロ職人を私は「人生の師匠」と慕い、懇意にさせていただいていたのがきっかけです。というのも、その方がある日突然マグロ用の刺身庖丁を宝物であると見せてくれました。その時の庖丁に老舗庖丁店の銘が刻まれており、庖丁店を知るきっかけとなったのですが、その後にたまたまその庖丁店とご縁があり、これは何かの運命ではないかと思い、修行させていただくことになりました。その後、独立し、起業する運びとなりましたが、その際に人生の師匠に庖丁を造らせていただいたことは、私の誇りでもあります。

日本で唯一の「庖丁コーディネータ」

―そうなんですね。ところで名乗られている「庖丁コーディネータ」がすごく気になります。

廣瀬)私自身の仕事としては、単に庖丁を製造・修理するだけでなく、個人の職種や使い方に応じたパーソナル診断を行い、その人に合った庖丁の選び方・使い方等をアドバイスするとともに、「更生修理」と申していますが、持っている庖丁のクセを見抜き、全体のバランスや歪みの補正などのメンテナンスを行うことで、購入したとき以上の「切れ味」と「使いやすさ」を追求し、庖丁を生まれ変わらせます。ある著名な洋食シェフが「庖丁の切れ味と使いやすさが、料理の味と仕上がりに大きく影響する」とおっしゃっていますが、質の悪い庖丁は切り口が悪く素材の良さを殺します。「食道具 竹上」では、素材の良さを殺さず引き立て「料理が変わる」、また使うほどに体の一部のようになっていく「一生もんの庖丁」を提供しています。


更生修理例(左:更生修理前、右:更生修理後)

廣瀬)それらに加えて、庖丁及び食文化の発信・教育にも力を入れており、庖丁の研ぎ方から文化までを伝えています。また、京都府の「きょうと食いく先生」にも認定されており、京都府内の学校で出前授業等もさせていただいております。これらを総じて、「庖丁職人」ではなく、日本で唯一の「庖丁コーディネータ」と名乗らせていただき、職務に励んでおります。

―素晴らしいお取り組みですね。また、京都府の「きょうと食いく先生」についても誠にありがとうございます。庖丁の研ぎ方及び文化を伝える中で、重要視されている点はありますか。

廣瀬)プロの料理人でも本式の庖丁の研ぎ方を御存じない方が多く、自己流の研ぎ方をされているケースが多いのが現状ですので、実演を交えてしっかりと研ぎ方をお伝えするようにしています。また、それに加えて「守り(もり)」の大切さもお伝えしています。「守り」とは、「モノの立場になって、心を寄せて見守る」ことです。「守り」の気持ちで庖丁に接することにより、手に馴染む使いやすい庖丁になっていきます。食に対する意識が薄れている中で、庖丁及び日本食文化の魅力を伝えるとともに、食生活を支える道具のあり方・大切さについて、しっかりと伝えるように心がけています。


左:プロの料理人への実演の様子、右:講座の様子

庖丁大国 日本!

ここまでお聞きしておきながら、この質問で大変恐縮ですが、「和庖丁」と「洋庖丁」ってどう違うのでしょうか。

廣瀬)まず、料理ごとに庖丁を使い分けているのは、日本だけです。魚をさばくときは出刃庖丁、刺身を造る時は正夫、などなど使い分けて、たくさんの種類があるのは日本だけなのです。

そうなんですね。

廣瀬)また、海外の庖丁はたいてい「両刃」ですが、日本の庖丁は「片刃」です。

両刃ですか。上下どちらでも切れるのでしょうか。

廣瀬)そうではなく、刃の両面から切り込みがあるか、片面から切り込みがあるかの違いです。片刃の方が刃の厚みが薄いので、食材の品質を守ることができます。海外は、分かりやすく言うと、食材をただ切り分けることが目的であるのに対し、日本は美味しく美しく切ることを目的としていると言えます。

両刃と片刃

(左:両刃、右:片刃)

恥ずかしながら、いずれの話も全然知りませんでした。

廣瀬)そうでしょう。日本の方でもあまり御存知ないですよ。逆に、日本の庖丁を求めてやってこられる海外の方のほうが、最近はよく御存知かもしれません。

そうした「庖丁大国」日本で唯一の「庖丁コーディネータ」ということは、必然的に世界で唯一の庖丁コーディネータということですね。

廣瀬)ここ十年くらいは、海外の世界的シェフも日本の庖丁を求めて来られてますね。飛行機の機内には持ち込めませんが、個人で買われて持ち帰れますので。

御社の生産や販売ルートはいかがでしょうか。

廣瀬) 私は、伝統産業で言う悉皆業に当てはまりますが、企画をし、様々な庖丁に応じた鍛治職人のネットワークを駆使して生産しています。販売に関しては、料理人向けのプロショップでして、直接料理人と対話しながらコーディネートしているため、自分のところでのみ販売しています。

今後の展望を見据え、過去・現在・未来を整理

―なるほど。次に『知恵の経営』に取り組まれたきっかけを教えてください。

廣瀬)今後、京都市内にアンテナショップのオープンを予定していますが、その前に一度立ち止まって、頭の中で思い描いているだけでなく、過去・現在・未来を可視化して整理をしたいと思っていた矢先に、南丹市商工会からお声がけいただきまして、取り組むこととなりました。

―実際に取り組まれてみていかがでしたか。

廣瀬)取り組んでみて本当に良かったと思っています。自分の頭の中で思い描いてた際に分かっているつもりであったことが、書面に落とし込んでみると意外に自分でも分かっていなかったことがあったりと、気づきのきっかけにもなりましたし、可視化することでしっかりと整理することができました。また、自分は経営者ではありますが、庖丁職人でもあり、どちらかというと技術職寄りです。『知恵の経営』報告書を作成していく中で、御支援をいただいた南丹市商工会の経営支援員さん、中小企業診断士の方ともじっくりとお話をしましたが、庖丁の世界とは異なる外部の視点、また経営者側の視点でもアドバイスをいただき、中小企業ではなかなかできない外部の視点を取り入れた自社の経営の見直しができたことも大変良かったと思っています。

―アンテナショップのお話も出ていましたが、最後に今後の事業展開について教えてください

廣瀬) 現在の本社は工房として残しながら、平成31年に京都市内にアンテナショップのオープンを予定しています。アンテナショップにはキッチンスタジオも併設し、かねてからお付き合いのあるプロの料理人さんに使っていただいたり、食にまつわる講座も提供していきたいと思っています。単に京都市内に庖丁店ができたというだけでなく、「食」をキーワードに様々な職種の人が集まるハブ拠点のような場所にしたいと考えております。

―今後の展開が楽しみですね!

 

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?