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クレソン愛にあふれる齊藤仁さん、クレソン畑の前で
クレソン農家を志して移住、お試し住宅第1号利用者の齊藤仁さん
移住したきっかけを教えてください。
若い頃からものづくりに興味があり、7年前、農業で起業しようと思い立ち、それ以来、京都府の各地をあちこち回っていました。手掛けようと考えていた作物の栽培条件が「山間部で寒冷な地域」ということ、また、「京都市内の妻の実家にも近い」という条件を満たしていたので、こちらに移住してきました。
宇治田原町へ引っ越す前にも、西京区・大原野地区で約3年間、農業研修を行いましたが、「クレソン」に目覚めたきっかけはハーブ専門の農業研修でした。
様々な料理への付け合わせ・スパイスとして存在感を発揮する「ハーブ」の世界観に魅かれていき、中でも、「クレソン」は料理の飾り付けなど脇役の中でも魅力を発揮する存在で、ますます興味を抱きました。
京都市内の先輩農家さんを見渡しても「クレソンに特化した作り手はいない!」と考え、クレソンを栽培する適地を探して宇治田原町へと移住しました。
そのうちに、「宇治田原町でクレソンを作っているヤツがいる」と行政機関や地元紙に取り上げられ、問い合わせが増えてきました。営業はほとんど行ってきませんでしたが、インスタなどSNSで情報発信することで認知が広がってきて、現在では京都市内の飲食店(約30店舗)、地元のスーパーなどへと卸しを行っています。
クレソンには一定の需要があり、また単価も比較的高いことから、生計に悩む農家さんにもお勧めしたい野菜です。私自身も栽培するまでクレソンを食べたことがなかったのですが、「パクチーサラダはないけれど、クレソンサラダならイケる」と思います。これからもクレソン愛を更に究めたいと思っています。耕作放棄地を譲り受け、一帯をクレソン畑にしようと計画中です。
旬のクレソンは、鮮やかで瑞々しさを発揮します。
地域の魅力について、お聞かせください。
この町は「まちいなか」という感じですね。自然が豊か、というのはもちろん、適度にコンパクトなので、買い物にも不自由はしません。南部エリアとの交流も盛んで、様々な方々とつながりができています。京都市内ともほど近く、週末には家族と実家暮らしを送っています。
移住に際して、行政等の支援で役立ったことをお聞かせください。
京都府南部地域を拠点に農業で起業することを決意した時、住まいを探そうと「京都移住コンシェルジュ」へと登録しました。そのうち、担当者から「宇治田原町でおためし住宅制度を実施しており、現在、登録前の物件が出ている」と聞きつけ、早速訪れて契約を行いました。後で聞くと、おためし住宅の第1号だったそうです。
この制度を利用したことがきっかけで、行政をはじめ、様々な地域の方たちとつながりができました。3か月契約・最長6ヶ月間の時限制度で、おためし移住にはちょうど良い企画と思われます。
移住して感じた、移住前の想像と違ったところ(ギャップ)をお聞かせください。
「クレソンを作る」という目的が明確だったので、特にギャップを感じませんでしたね。仮に「クレソン」がなくとも違う作物を探して栽培していただろう、とは思います。
これから移住を考える人へ、先輩移住者としてのアドバイスをお願いします。
移住先にも様々なコミュニティがあるから、不安がらずに入ってきてください。先輩移住者の方から、町の任意団体「21お茶のふるさと塾」を紹介していただき、参加しました。
町民、移住者、役場の方…と様々な立場の方がおられる「ニュートラルな団体」として、心地よさを感じています。年齢も様々で、多様な価値観を持った人たちと出会うことで、地域の方々との距離感が一気に縮まりました。団体つながりで、地元の茶葉を利用し、化学肥料を使わない宇治田原町産「無農薬クレソン栽培計画」などにも挑戦したいと思っています。
そして、人を頼ることも大事ですね。いざ、田んぼを始めようにも田の代搔きができないとか、できないことばかりですから…。
こうして人の温かみを感じることが出来て、その想いを後進につなげていく。それで、世代の連鎖ができる様に思います。もうひとつ、田舎ほど起業しやすいように感じています。
大きな都市に居ると人が多くて目立ちにくいのですが、小さなところでは新しい仕事を立ち上げると「オンリーワン」となり、注目を浴びます。私も、無農薬・自然栽培による「人と環境に優しい京都クレソン・ブランド計画」を目指して、この地で頑張ってまいります。
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